17話
夢小説設定
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『私に何が出来るだろうか…』
「それは自分で考えろ。だが恐れるな、」
前へ踏み出す勇気を持て、と彼は言う。
『…勇気…、』
「貴様が恐れているのは何も出来ずに終わることだ。違うか、」
『……。』
シンへの復讐も、スラムに住む彼らを守ることも。
何も出来ずに終わることが自分にとって一番恐ろしい。
…前に踏み出す勇気、か……。
どちらにしろ、マルコーさんとスカーだけでもここから逃せば、頻繁に出入りしていた私が一番に疑われるのは目に見えている。
信用もすでに無いに等しい自分が違うと否定したこところで無駄だろうな。殺されるだけだ。
『…おかしな人だな、あなたは…。』
そう言ってサヤは困ったようにほんの少し、笑って見せた。
久々の笑顔である。
『…わかった。一緒に行こう、』
「よし。後ろを向け、縄を解く」
言われて思い出す。
そういえば拘束されたままだったのだ。
素直に従えばスカーは縄を解いてくれた。
「ここから出る、」
「いや、出るのはまずいっ」
焦るマルコーとは反対に二人は平然とした態度で。
『心配ない。』
「貴様が己れに殺されればいいのだろう」
さらっと言われた言葉にマルコーさんは顔を真っ青にする。
『スカー、あなたは分解だけで再構築の錬成は不可能だろう?』
「マルコーにやらせる。問題はない。娘、お前はここから出口までの道案内をしろ」
『……わかった。』
スカーにあれこれ指示されるのは違和感があったが、付いていくと自分から言った以上協力しなくては。
マルコーさんはスカーに言われた通り、見張り用の合成獣をそれとなく人間っぽく錬成して自分の服を着せ、それをスカーが判別出来なくなるくらい激しく破壊した。
うわぁ…、とそれを見て思わず引いてしまうサヤは開いた口が塞がらなかった。
壁にはVENGEANCE(復讐)の書置き。
「これでいい」
『準備はいいか?』
「あ、あぁ…」
「たのむ」
こうして三人は新たな目的のため、地下から脱出したのだった。
エンヴィーがこの部屋に来るのはあと一時間後のことである。
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第18話