17話
夢小説設定
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『スカー…、何故私を殺さない』
「……。」
スカーは何も言わない。
無言で見下ろされる視線。
サヤの表情はうつむいていたのでその視線が合うことはなく。
『貴方は知っているはずだ。私もホムンクルスだということを。』
「!…そんなっ」
知らなかったマルコーさんだけが驚く。
『ホムンクルスということは私の中に賢者の石があるということだ。その石がイシュヴァール人の命で出来ているかも知れないと考えないのか…、』
「……。」
私にトドメを刺さなかったことがどうしてこんなにも腹立たしくて、苛立たしくて、やるせないのか。普段から自分の本音なんて口にしたことないのに…。
…止まらない。
『私を殺して、石に使われたイシュヴァールの人達の魂を開放すればいい!』
まるで自暴自棄だ。
責め立てるような声でスカーに訴える。
彼になら殺されてもいい。そんなことをサヤは考えていた。
なにの彼は私を殺さなかった。なぜ?
ずっと胸の中にあるこのモヤモヤした気持ちも死ねば何もかも忘れられる。開放される。楽になる――…。
命の危機にさらされて初めて思った。
「お前は、死にたいのか…」
『嫌なんだ…、もう…。自分が何をしたいのか…。』
「…。」
『死にたい、のかな…。私にもどうしたいのか、わからなくなった…。リンが憎い…、私の家族を奪ったシン国が憎い…。そう思う気持ちは変わらないのに…。』
サヤの本音をすべて聞いた上でスカーは静かに話す。
「…己れはすでに死んだも同然の身だ。…だがこうして生きている。生かされたのだ。奇しくもアメストリスの者によってな…」
『アメストリス人に…?』
「生かされたということは何か意味があるはすだ。己れにも、そしてお前にも…」
『あるのかな、私に。生かされた意味が…。』
生かされた意味。
そんなこと考えたこともなかった。
すべて失い空っぽになった自分が生き残るために思いついたのが“シン国への復讐”。
その想いだけが空っぽな自分の心を埋めてくれた。
…それだけだった。
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