16話
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意外な一撃を食らうリンことグリードにエドもつい油断してしまう。
まさかここで攻撃が当たるとは思わなかったのだろう。
しかしその一瞬で体制は逆転し、エドはグリードに拘束されてしまった。
「いででででで!」
「おい親父殿、捕まえたぜ!」
それと同時に勝手口からは捕まったアルと再生力を使い果たしたグラトニーが戻ってきた。
どうやらスカーとメイは逃した様子。そのことに心なしかほっとするサヤ。
「上に。二人ともラースのところへ連れて行け。」
「…ったく。余計なことばかりしてくれて…。おまえらが大人しくしていればこっちも手は出さないんだよ」
「兄さん…」
エンヴィーの言葉などまるで聞いてなかった。
開放されたエドのその鋭い視線の先は、グリード。
彼は何かに気付いたようだ。
「あいつ…、中にいる…」
―――。
あの襲撃の一戦から数日が経った。
新たな兄弟、グリードはプライドと会ったそうだ。あと2人いるのだが忙しくなかなか会えていない。
サヤは1人、珍しく中央司令部の屋上にいた。ずっと地下に籠もりきりだったので何となく久しぶりに外の空気を吸いたくなったのだ。
周りの建物よりも一際高い中央司令部から見る空はとても広く感じた。
…あの戦いの後、少しだがサヤはエドとアルと話をした。
お互いのことを。
サヤ自身のこと。
リンが探していた人であること。
シン国出身であること。
一族を滅ぼされ、国を追放されたこと。
ホムンクルスで、あること。
何故奴ら、ホムンクルス側に加担するかまでは話さなかったが、スカーという存在を知る彼らならおおよその検討はつくはずだ。
それからサヤはエドとアルの事も聞いた。
アルが元の体に戻れるという確信。
そしてその体が扉の向こうにいた、ということも。
エンヴィーと一緒にグラトニーの腹の中へ飲み込まれ、脱出方法として人体錬成で自身の身体を錬成し直す、という形で門(真理の扉というらしい)をくぐった時、前にも行ったことのある“向こう側”という場所に出たのだという。
そこにいたのだ。あの日のアルフォンスが。
『じゃぁ、通行料とやらがあれば…』
「そうだ。アルの体を取り戻せる。」
でもその通行料がなぁ…とエドは再び悩み始めた。こうなってはもう人の話は聞かないな、とサヤとアルは苦笑い。
『そっか…。元に戻れるのか…』
「うん。」
良かった。その言葉が顔に出ていたのか、兄弟はサヤの顔を凝視する。
あまりにもジロジロとみるものだから、なんだと言い返せばやっぱりサヤだ。とため息をつかれてしまった。
今思い出しただけでも、笑ってしまう。
『相変わらず失礼なやつ…』
それからアルがホテルに日記を忘れてたよ、と聞いた。近いうちに返したいと言われたが、サヤはいらないといった。
『捨ててくれて構わない。』
「捨てるって…」
いいの?とアルは再確認するが、サヤはいらないの一言。
「じゃあ僕が預かってていい?」
『?、人の日記なんか持っててどうする。』
「んー、なんとなく?」
珍しくアルにはぐらかされた。
捨てちゃいけないような気がするんだ。と彼は言う。いつか必要になる時が来るような気がして…。
まぁいいか、と思いサヤも構わないと了承する。
『もう旅に出たのだろうか…』
兄弟の行き先の知らない遠い空をひたすら眺めていた。
中央に吹く風がサヤの黒い髪をなびかせる。
…と、そこへ珍客が訪れる。
「…よう。先客か」
『…、…何しに来た。』
「そう嫌うなって」
グリードだ。
見た目はリンそのもの。なのに中身がグリードという彼。相変わらず慣れない。
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