14話
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「まさか貴女ハ…!?」
黒装束の正体を知っているのはお使えする若の一族の除いて他に一人しかいない。かつ連丹術使いとなれば目の前の人が誰なのかほぼ確定だ。
「―ランファン!」
「…、…若!」
黒装束の下に、仲間と思しき者が現れる。
黒装束もサヤもその声の方へ向くと、黒髪の少年がグラトニーに追いかけ回されているところだった。
「若!」
『グラトニー!』
黒装束が少年の加勢に行こうとしたので、慌てて邪魔をしようとしたが、寸前でかわされ、少年と黒装束2人で投げ飛ばされたグラトニーがこちらに降ってきた。
『グラトニー!…くっ』
「あでっ」
グラトニーが目の前に落下してきた風圧で目深くかぶっていたサヤのフードが脱げ、素顔が晒される。
『……う、』
二人の前でサヤの素顔が晒される。
「…うそ、だロ…」
「若、間違いありませン」
「本当に本人カ?」
その時、サヤと少年の目が合った…。
『リン・ヤオ…』
「…サヤだよナ。お前はサヤ・グレイスだナ!」
『…エドが言っていた事は本当だったんだな…』
「そいつシンから来たっつってさ、サヤ・グレイスって名前の人探してるって」
「リン・ヤオってやつ。」
運命の再開というべきなのだろうか。
―リン・ヤオ―。
憎しみの元凶でしかないこの者との再開はまさに神のいたずら、とでもいうべきか。
彼の顔を見ただけでこんなにも胸の奥からどす黒いものが溢れてるようにこみ上げてくる。
それが怒り、憎しみの形を成す。
『…今更何しに来た。この国に何の用だっ。』
「賢者の石を探しに。それと、サヤ。お前の事も探しに来たんだっ。」
『…っ。笑わせるな!あの時私を見捨てたお前が今更探しに来ただと!?』
感情が荒ぶる。抑えられない。
憎い、憎い、憎い…。
止められない。…自分を、コントロール出来ない…。
『どうせ賢者の石も皇帝に取り入るための物なのだろう。』
「流石皇女。よくわかってるじゃないか」
『わかるさ。それを一番近くで体験したのはこの私なんだからな。』
忘れはしない、あの夜の事。
たった一夜で一族が滅ぼされたのだから…。
今も目に焼き付いて色褪せることはない。
『お前達がそんなことばかりしているから、あんな非道な事が起こるんだ!』
「……。」
サヤの悲痛な叫びにリンも何も返せなかった。
すべてが憎い。
殺してやりたい。
リンも、シン国すべての人も。
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