13話
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〇月✖日・晴れ
病室にお世話になってもう2週間も経つ…。
この入院中にいろんなことが起きた。
マスタング大佐の中央への移動。
南方、ダブリスにて我らの同志“強欲のグリード”の捕獲。
ラストが言うには一世紀前に出ていった顔、だそうだ。
そして、ヒューズ中佐の殉職……。
すべて入院中に見舞いに来たエンヴィーからの情報だ。
『ヒューズさんが…!?』
「ラストが危険だ、って。…、なんだよその顔は。」
『ヒューズ中佐の件は私の仕事のはずだ!なぜラストが出てくる!』
病室でサヤの荒ぶる声が響いた。
そんな彼女の様子にエンヴィーはめんどくさそうな顔をする。
「そんな体たらくでよく言うよ。アイザックにボロボロにやられたくせに。」
『う…。でも!どうして…、なにも殺すことなかったはずだ!』
「あのさー。お前、一体どっちの味方なわけ?」
『―――…!』
エンヴィーの冷たい言葉にサヤは押し黙る。
「俺たちのやろうとしてることに協力する代わりにお父様が力を与えてやったんだ。」
『……。』
「協力しないってんなら、その体の中にある“賢者の石”返してもらうよ。」
『そ、それは…っ』
「もっとも、そんなことしたらお前の体は消滅するけどねー」
それも面白いねーと他人事のようにエンヴィーは笑う。
…最初に出会ったときに言われたのだ。
力が欲しいと奴らに頭を垂れた時、賢者の石を与えられた。
それを肉体に受け入れるだけでもかなり危険な綱渡りだった。
結果、サヤの体に賢者の石が入った。
私はホムンクルスになったのだ。
それと同時に裏切れば石は返してもらう、とも。
それはすなわち肉体の消滅を意味する。
「…で。どうする?おれは別にかまわないけど?」
『シンを、滅ぶすまでは石を返すわけにはいかない…』
「じゃ、退院後もよろしくねー」
お大事にーといつもの軍人姿に変身してエンヴィーはあっさり病室を出て行った。
人を脅すだけ脅しておいて。
エンヴィーに面白がられているなんてサヤ本人には微塵も知らなかった。
暗い顔をしたサヤが一人、病室に残される。
胸元の服を握りしめ、膝を抱えてうずくまる。
ふと何故かスカーの姿が思い浮かんだ。
辛い…、苦しい…、
あの人もこんな気持ちになっているのだろうか…。
今の私の気持ち、彼ならわかってくれるのだろうか…。
そんな淡い期待を胸に抱いて…。
ヒューズさん…、
薄情な私をどうか許してください…、
ごめんなさい…。
グレイシアさんや、エリシアに合わせる顔が無くなちゃったな…。
それでも私は、シンを滅ぼしたい──…、
なんて私は愚かなんだろう…。
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