11話
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頼んだぜ、とエンヴィーに言われたのが数分前。今は中央司令部の廊下を1人とぼとぼ歩いていた。
『アイザック・マクドゥーガル、か…』
私達の目的に気づくなんて。
ずいぶん感の鋭い男なんだな、と思いながら、その男に関する資料と目撃情報の報告書に目を通す。
『中央駅から南の路上で目撃、か。こっちは軍本部から北西の廃墟…。どれも共通点は謎だなぁ』
とりあえず1番近い北西の廃墟に行ってみるか…。
廃墟
生産系の工場のようだった。
破棄されてずいぶんになるようだ。
床に散る素材などが今ではもう使われていないものばかりで。
パキっと廃材を踏んだ音が廃墟に響いた。
『生活の跡はなし、か。ハズレかなぁ』
雨風をしのげそうという考えから、廃墟に来てみたが生活の跡はまるでなし。
すると、
「誰だ…」
『…!』
ばっ!と後ろを振り返る。
気配に気付けなかった。
声のする方を振り返ると廃墟の入口に男が1人立っていた。
厳つい見た目と鋭い目つき。
その服装が…
『軍服…。まさかお前が氷結の錬金術師、アイザック・マクドゥーガル…』
「ほう…。俺を知っているのか。貴様は何者だ。何故こんなところにいる。」
黒髪でオールバック。エドのように長い髪を後ろで束ねた髪型。
目元から口元にかけてのシワが特徴的な厳つい印象の顔。
ところどころ破れた軍服がよけいに彼を目立たさせた。
『(その格好じゃ嫌でも目立つか…)』
「答えろ。貴様は何者だ。」
答えないサヤに、苛立ちを隠すこと無くアイザックの声のトーンが少し下がった。
『私は国家錬金術師だ。お前を逮捕しろとの大総統命が出ている。』
「な、んだと…っ」
『漆黒の錬金術師。サヤ・グレイスだ。アイザック・マクドゥーガル、お前を逮捕する。』
まさか目の前の小娘が国家錬金術師だと名乗るとは思いもしなかっただろう。人を見かけで判断しないとよく言うが、こればかりは想像もしてない返答にアイザックもその目つきの悪いそれを見開かせた。
サヤが国家錬金術師だと知ったアイザックは警戒を強め、敵意をこちらに向ける。
国家資格所持者は大きく2つに分かれる。
その知識の豊富さからなる場合と錬金術による戦闘力とのコンビネーション。アイザックはその後者に当てはまる。
そしてこの娘もまたその後者に当てはめられるだろう。
指名手配犯の逮捕に駆り出されるということは、そういうことだ。
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