09話
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『自分が怪我人だってことわかってるのか。まだ治りきっていないのに無茶をしないで』
「イシュヴァールの武僧は常に修練を、」
『いいから顔拭く』
スカーの言葉を遮って、しぼった布を強引に渡す。
最近スカーの扱い方が少しわかってきた気がする。強気で物申せば意外と彼は従ってくれるのだ。
「何故己れにかまう」
『何度聞いても同じことしか言わないから。私がそうしたいからだ。』
そうは言ってもスカーは納得がいかない顔をする。
いまだにサヤの前で気を許そうとしない。サヤ自身はどうであれ、スカーにとっては彼女は敵のままなのだろうか。
リックに手伝ってもらいながら、新しい薬と包帯を変える。
『リック、私は水を汲んでくるからこの人見張っててくれるか?』
「うん、わかったよ」
少年に見張りをたてられたことにスカーはさらに眉間にシワを寄せた。
そうでもしなければスキあらばまた修練とやらをしそうで油断ならない。
いくら錬丹術で傷を塞ぎ、通常よりは多少治りは早いといっても完治とまではまだいかないのだ。
やれやれと思い、再びサヤはテント出ていった。
水を汲み、食料を少し分けてもらおうとスラムを歩いていると突然後ろから声をかけられた。
振り返るとこのスラムでは見かけない人だった。ただ褐色の肌に赤い目、武僧の衣装からしてこの者もイシュヴァール人であるとサヤは判断した。
『私に何か?』
「ここのスラムにイシュヴァールの武僧がいると噂に聞いてな。黒髪の娘がその者を看病していると聞いた。それはお主のことで間違いないだろうか?」
わりと歳の過ぎた男だった。
同じイシュヴァール人であるし、別に隠す必要もないか、と思いサヤは素直に答えた。
『そうだ。ここの人達に看病を任された。貴方はその者に用があるのか?』
「あぁ。ここへ来たのは偶然だがな。生き延びているとは思わなかった。会って話がしたい」
『…わかった。案内しよう』
男を連れてサヤはスカーのいるテントへと戻った。
.