09話
夢小説設定
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『ん……、』
あれ、ここって……、
脳が覚醒し、一気に現実に。
間違いがなければここはスラム街の、しかもスカーが傷を癒しているテントの中である。
「……起きたか。」
『……、やらかした…』
怪訝そうな顔でスカーが見てくる。
どうやらスカーが眠りについた後、薬を作っている最中に寝落ちしてしまったようで。
使いかけの薬品やら薬草やらが散らかったまま。
おまけに左手には本。
ずいぶん器用な寝方をしたようで、体のあちこちが痛んだ。
『はぁ、顔洗ってくる…』
「……。」
のそのそとテントを出ていくサヤをスカーは静かに見送った。
まさかスカーの隣で寝落ちすると思わなかった。
いくら重症だからといって気を抜きすぎである。エドに知れたらお説教ものだ。
死んでてもおかしくなかった。
昨日会話をしたせいで気を許してしまったのだろうか。
相手は殺人犯だというのに油断し過ぎである。
『ふぅ』
太陽が少しずつ顔をのぞかせる。
暗闇のスラムに太陽の光が差し込み、朝霧が幻想的にあたりを包んでいる。
朝の小川の水は冷たくて、寝ぼけた脳に冴えわたる。冴えてきたからこそ、先ほどの失態がだんだんサヤを落ち込ませた。
『はぁ…。気をつけよう。』
そう決意して再びテントに戻ろうと足を動かした。
「サヤ姉ちゃん?今日は早いんだね」
『リック、お、おはようっ』
スカーがいるテントに向かう途中でリックに会った。彼もスカーの様子を見に行くつもりだったらしく。
今日は早いね、などと言われてもスカーの隣で寝落ちしてしまったのだから早いもなにもない。
リックの鋭いツッコミにサヤは苦笑いするしかなかった。
『だから、何も無かったと言っている』
「えーほんとかよー」
これだからクソガキは。
なんの拍子か、うっかりバレてしまった。しかも一番めんどくさいヤツに(リック)
サヤのうっかり発言と散らかったテントの様子でリックは気づいたようで、さっきから追求が鬱陶しい。
そんな2人のやり取りを完全スルーで修練とやらをするのはスカー。
一体誰のせいだと…。
『さっきから何してるっ』
「……。」
もはや無の境地。
仕方ないので強行手段に出た。
ガシッ!
「…!」
『何をしている、と聞いてるんだ』
「見てわからんか」
いや、わかるけど。
石のダンベルを持つ手を掴んだサヤ。
彼女の手では掴みきれない鍛えられた太い腕が伝わる。
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