08話
夢小説設定
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『リック、悪いけど水を汲んできてるれるか?』
「わかった!」
薄暗いテントの中、治療した昨日からその場所に変わらずスカーがいた。よく眠っている…と思う。
サヤが中に入っても起きる気配は無く、深い眠りについているのだろうか。
ごつい腕。広い肩幅。高い背丈。
改めて見るとやはり体格がいいんだなと。そしてこの人と自分が戦ってよく無事でいられたもんだと今さら思う。
この体格の良さは少し羨ましい。
『…包帯を変えたいとは言ったけど、起きてもらわないと腹部の包帯は変えるに変えれないな。』
困った。
とはいえ、血で汚れた包帯をこのままにはしておけない。
とりあえず腕だけでも変えるか、と手を伸ばしたその時……、
ガシッ!
『っ!?』
「……。」
伸ばした腕を力強く捕まれ、その腕の先に視線を向けると頭だけを上げ、こちらを睨むスカーと目が合った。
『……っ』
「……。」
目が反らせない。
お互いに視線を逸らせず、ただ話す事なく沈黙が流れる。
『起きて…たのか、』
「見知らぬ気配がした」
やはりお前だったか。といい、掴む腕がぐっと力が増す。今にも折られてしまいそう。
痛みに顔をゆがめる。
『っ、』
「何故貴様が此処にいる」
『ここの、スラムには前からいた。そこへ貴方が大怪我を負って現れたんだ。助けてほしいと頼まれたから治療した。…それだけだ。』
「…何故だ。貴様と己れは敵同士のはずだ。治ればいずれまた貴様の命も狙うと思わなかったのか、」
スカーの言い分は最もであるし、サヤ自身も考えなかったことではない。
自分もまたスカーに狙われる標的であるということを。
だが、それすらも承知の上でサヤはスカーを治療した。
『ここの人たちに助けてやってほしいと頼まれたのも事実。』
「……。」
『私が貴方を死なせたくなかったという気持ちも本心。…何故そう思ったかは私でもよくわからないけれど…』
サヤの言葉にスカーはただ黙って聞いていた。
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