08話
夢小説設定
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「血だらけで下水道を流れてきたんだ!」
破れた布同士をつなぎ合わせ、木の枝で組み立てた骨組みから垂らすだけのテントとも言い難いスラムの居住空間。
そこにいるという重症者。中に入るとそこにいたのは…、
『!?、これは…』
サヤが目にしたのは傷だらけ血まみれで横たわる男、傷の男(スカー)。
その人だった。
『スカー…』
やはり生きていた。
だが、呼吸が弱く今にも死にそうである。
かろうじて生きている、といったところだろうか。
まさかの人物にその場から動けずにいるとサヤに続いて老人が入ってきた。
「おぬしにとってこやつは敵も同然。しかし我らと同じイシュヴァールの民であり同胞じゃ。
無理も承知。…辛いかもしれぬが助けてやってはくれんかの」
『おじいさん…』
老人からの心からの頼み。
誰よりも同胞を大切に思うイシュヴァールの民。
その言葉にサヤも覚悟を決める。
なりより他人とは思えぬこの人をサヤは見捨てることが出来なかった。
思うところはいろいろある。
完治すれば自分もまた命を狙われるだろう。
だが、不思議と手は迷いなく動いていた。
『この傷、術で塞いでしまうのが先だな。リックも手伝って。』
「うん!任せてっ」
助けると覚悟を決めてから、あっという間だった。
止血を施し包帯を巻く。脇腹の出血が特にひどい。肋骨が何本か折れているようだったがそれ以外の致命傷はなく。さすがはイシュヴァールの武僧。これだけの傷を負いながらもまだ生きていられるとは。
『普通ならショック死してもおかしくはない』
「このおっちゃん助かる?姉ちゃん」
『大丈夫。必ず助ける。安心して。』
心配そうに見る少年。
気づけば日没近い時間になっていた。
「サヤ姉ちゃん少し休んでよ。オレみてるからさ」
『ありがとう。じゃあちょっと顔を洗ってくる』
好意に甘えてそういい残し、少しだけスカーのそばを離れた。
呼吸も安定してきたし、あとは目覚めるのを待つだけだ。自分の出来る事はした。
が、やはり終わると同時にやはり心に何か引っかかるものもあるわけで。
本当にこれで良かったのかという気持ち半分、死なせずにすんで良かったという気持ちも本心。
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