08話
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〇月✖日・晴れ
リゼンブールで中央に行くエド達と別れ、イーストシティに戻ってきた。
数日ではあったが今までにないくらい穏やかな日々を過ごすことが出来た。
また行きたいな。
やることは山積みだ。
報告も兼ねて彼らに連絡を取らなくては。
『…とりあえず司令部に顔を出してから中央に戻るとするか』
“一応”世話になったし、上司でもあるマスタング大佐に挨拶はするべきだと思う。
ということで、サヤがやってきたのは東方司令部。
『こんにちは』
「あら、サヤちゃん」
『ホークアイ中尉』
大佐の執務室を訪れると、出迎えてくれたのはリザ・ホークアイ中尉だった。
美人で優しい人だ。司令部に顔出すといつも美味しいコーヒーを入れてくれる。そして美人だ。(二回目)
「エドワード君とアルフォンス君は一緒じゃないの?」
『エドとアルと少佐はあの後中央に向かいました。私はまだこっちに用事があるから別行動に』
「そう。2人共無事直ったみたいで良かったわ。ご苦労様」
『はい。ところで大佐は?』
そういえばと、周りを見渡すが顔見知りの部下達はいるのに大佐がいない。
司令部に来てあのむかつく顔を真っ先に拝むことがない日など、今までになかったろうに。
「今、会議中よ。もうすぐ終わるわ。」
『そうですか、』
「おや、帰ってたのか」
『!』
やぁ、と片手を上げて爽やかな笑顔で現れたのはロイ・マスタング大佐。
『……。』
「相変わらず嫌そうな顔するな君は」
鋼のとそっくりだ。と彼は呟きながら席につく。
『そろそろ中央に戻ります。今日は一応その挨拶に』
「そうか。今回は少し長めの滞在だったな。またいつでも来るといい」
『どうも』
大佐に会えなくなるより、ホークアイ中尉に会えなくなる方が寂しいなどと思っているのは内緒である。
ハボック少尉達が手を振る。それを答えるように手を振り返しそれじゃ、と踵を返したとき「朗報だ。」と思い出したように大佐が彼女に告げた。
『?』
「スカーが何者かに殺害された可能性があるわ」
『え…、スカー、が?』
その言葉に喜びより、何故か胸が少し締め付けるような感覚がした。
傷の男(スカー)
その名に何故かあの時視線を交わした時の瞳がふいに思い起こさせる。
中尉が詳しく説明してくれた。
『可能性、ということは確実に死んだかどうかはわからないと?』
「そうなる」
「現場にスカーが身につけていた服が血まみれで発見されたのよ。」
どのみちあの付着した血の量だと重症を負ったのは間違いないわ、と中尉は話す。
「事件現場を掘り起こしてはいるが一向にヤツの死体が見つからなくてな」
ヤツの死体を見るまではおちおちデートもしてられん、というフザけたセリフは無視しておくとして。
『そう簡単にやられる程弱くはないはず。スカー程の手練に重症を与えるなんて一体何があったんだろう』
「とりあえずしばらくは落ち着くだろう」
やれやれ、と大佐が仕事を始めたその姿を横目で見、サヤも司令部を去っていったのであった。
(スカー…、)
サヤの心中は複雑であった…。
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