07話
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
穏やかな雰囲気が流れる中、突然サヤが鼻歌を口ずさみ始めた。
「サヤ?」
『いろいろと思い出して…。小さい頃、母が私によく歌って聞かせてくれたんだ。』
「へぇ~。」
『本当は歌詞もあったみたいだけど、小さかったからあまり覚えてないんだ』
少し寂しそうにまぶたを伏せるサヤにアルフォンスは戸惑いを見せた。
サヤの感情が以前に比べて豊かになっていたからだ。無表情・無口な上に、無愛想のトリプルだったサヤが、この3日という時のなかで様々な表情をするようになっていたのだ。
年上の彼女に対して失礼かもしれないが、アルフォンスはまるで保護者のような気持ちになった。
「ねぇもっと聞かせてよ」
『え、』
「すごく綺麗な歌だったから」
その時、サヤにはアルフォンスが微笑んでいるように見えた気がした。
少し変わった、でもどこか懐かしさもある音色の歌であったが、心に染み入る優しい歌声だった。
「ありがとう。」
『うん。』
しばらく歌の余韻に浸っていると、遠慮の欠片もない足音がダダダ…と聞こえてくる。
『?、なんだ…?』
「アルーーーっ!」
エドワードである。
遠くからでもはっきりと完成した機械鎧が見えた。
「アルおまたせー!」
「兄さん、」
遠くからウィンリィの叫ぶ声がかすかに聞こえた気がした。きっと彼女のいいつけをすっ飛ばして来たに違いない。
本体のアルフォンスと憲兵たちが拾ってくれた鎧の破片を周囲に置き、エドワードはパチン!と両手を合わせる。
するとバラバラだったアルフォンスの鎧が一瞬で元の姿に元通り。
『すごい…』
「よーし、んじゃ早速…」
『?』
早速というセリフに首をかしげるサヤに、エドワードはちゃちゃっと慣れた手つきで髪型をいつもの三つ編みにすると、突然アルフォンスと組手を始めたのである。
『なんだ急に…』
「兄弟ゲンカか?」
その様子を遠くでアームストロング少佐も見ていた。
「ちがうちがう」
サヤとアームストロング少佐が見ている中、組み手を止めることなく答えるエドワード。
この所なまっていた体を動かす為と新しくした機械鎧の動作の確認も兼ねての組み手らしく、決して喧嘩ではないという。
しかし、エドワードは弟のアルフォンスに少々押され気味に見える。
喧嘩ではないとわかった途端、アームストロング少佐がならばと「我輩も協力しよう!」などと、はりきって兄弟達に突っ込んでいった。
「ギャー!来るなー!」
「遠慮無用ッ!」
『…あほらし』
芝生の上を逃げ回る兄弟と、追いかける少佐。
呆れながらそれを見ていたサヤ。
しかし、呆れていた顔も次第に笑いへと自然と変わっていったのである。
.