06話
夢小説設定
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…なかなかすんなり仲直り出来ない延長戦の中、タイミングが良いのか悪いのか汽車がようやく駅にやってきた。
そのまま気まずい雰囲気のまま、汽車に乗り込み座席に座る。また例の如くアルフォンスは貨物車両行き。…ますます気まずい。少佐はあまり気にしているようすは見られなかったので心中で良かった、と呟いた。
──…、
青々とした空の下。
中央よりも、うんと澄んだ空気を肌に感じ取る。
ここはリゼンブール…。
言わずもがなエドワードとアルフォンスの故郷である。
あれから長い時間、汽車に揺られ、昼過ぎに到着した。移り変わる田舎風景に目を輝かせるサヤ。故郷が近い事に、嬉しさと懐かしさを感じるエドワード。2人を包む気まずさはいつしか自然消滅した。
駅のホームを若干小走りで駆け、誰よりも早く駅を出る。
『…うわぁー……、すごい…っ。』
「ぷっ。なんだそりゃ、」
サヤのなかなかマヌケな第一声にエドワードはくっ、と鼻を鳴らした。
普段の彼女なら、ここで文句の一つでも返す所だが、…どうやら今は気にならないらしい。エドワードの小言を軽くスルーし、目の前に広がる景色に感嘆の声を上げていた。
『エドワード!羊だっ、羊がいる!』
「そりゃ田舎なんだから羊の一匹や二匹いるに決まってんだろ。」
『あっ!あれは牛かっ』
「そりゃ田舎なんだから牛の一匹や二匹…」
「兄さん、それさっきとおんなじ…。」
「……、…そうだっけ?」
のほほんとした会話。
目的の家までの道のり、見える景色に1人舞い上がるサヤ。
生まれは知らないが育ちはほぼ都会のサヤにとって遮る物がない空、地平線まで広がる草原の景色はとても新鮮であった。
しばらく石垣の道を歩いていると犬の鳴き声が聞こえてきた。どうやらはるか先、正面に建つ家からのようだ。丘にポツンと一軒家。
すると犬の鳴き声に誘われて来たのか、1人の老人が家から出てきた。
煙管をくわえた小さなおばあさんだった。
「ふん…、元気そうじゃないか」
「よう、ピナコばっちゃん。また頼むよ。」
慣れたように挨拶を交わすエドワード。
出迎えてくれたのは、ピナコ・ロックベルと言う幼なじみの祖母だそう。
「こっち、アームストロング少佐、」、と少々礼儀がなってないのか、人を指差して紹介するエドワード。
「─んで、こっちはおれと同じ国家錬金術師のサヤだ。」
『初めまして、』
「ピナコ・ロックベルだよ」
初対面上、アームストロング少佐とサヤはピナコと握手を交わす。
…そして、その後に一言…、
「しかししばらく見ないうちに…、
エドはちっさくなったねぇ。」
「─…!」
「……。」
↑対比物:アームストロング少佐
『…ぷっ。』
…普通ここは、「おっきくなったねぇ」と言うのが当たり前なのだが。
アームストロング少佐と比べられては、成長したことなどわかるハズもなく。
「だれがちっさいって!?このミニマムばば!!」
「言ったねドちび!!」
「豆つぶばば!!」
「マイクロちびっ!!」
「ミジンコばばっ!」
ギャーギャーッ
『……。アルフォンス、止めなくて、いいのか?』
果てしなく、くだらない言い合いをする二人にサヤ達は黙って見ていたが、一向に終わる兆しが見えてこない。耐えかねたサヤがアルフォンスに問うが…、
「いつもの事だから。多分もう少しで終わるよ。」
と、落ち着いた様子のアルフォンス。まるでこの先を予測しているかのような…、
「こらー!エドっ!」
「─…はっ。」
がいんっ
「ごふっ!」
エドワードの脳天に直撃した鉄の塊。エドワードの頭に当たり、跳ね返って落ちた場所はサヤの手元だった。
…鉄、改め“スパナ”をまじまじと見る。
ちょっと血がついてる…。
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