06話
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「人がせっかく謝ったってのに!信じらんねえ!」
『ご、ごめ…っ!…くく…、』
サヤには、よほど面白可笑しいらしく、笑いを堪えながら許しを乞う。
説得力など皆無である。
地団駄を踏むエドワードはさらにガキっぽく見え、左腕を上に突き出して怒りを露わにしていた。
「……、」
…そんな一時を見て、ふとアルフォンスは思う。
サヤ…、…よく笑うようになったなぁ…。
…と。──初めて会ったのは確か、エドワードが国家資格を取って一年経った頃。たまたま東方司令部を訪れた時でマスタング大佐の紹介でサヤと出会った。本来、彼女は中央にいるそうなのだが、その時は仕事上で東方を訪れていたんだとか。
詳しい事は分からないが、当時の1ヶ月程前に上層部から国家資格を貰い、二つ名《漆黒の錬金術師》と名付けられたと聞く。
見るからに全身黒ずくめの格好に二つ名の意味がよく分かった。
初めて会ったサヤの印象は何を考えているのか分からない、…というものだった。光を灯さない瞳。ピクリとも動かない頬の筋肉から常に無表情であった。
その時エドワードが「気味の悪いヤツだ。」、と呟いてたのは今も覚えている。
─それが今はどうか…、
『…ふふっ!…、』
「てめぇいい加減にしろよ…、」
以前のサヤでは信じられない程に無邪気な笑顔でエドワードとじゃれあって(?) いる。
それは初めて目にした年相応のサヤだったのかもしれない。
「…もう知らんっ。」
『ご、ごめんって、』
…何やら…、だんだん惨めになってきたエドワード。
先ほどのイライラは消え失せ、なんだかどうでもよくなってきた。…というか、もうどうでもいい。まさに“投げやり”状態だ。
せっかく人が必死こいて謝ったというに笑われてしまっては反省の気など欠片も無いほどに失せてしまう。
何が哀しくてこんなに笑われているのか。
「……、」
エドワードの怒りは急激に冷め、…否、冷める所か氷点下に突入し、今度はため息が零れる程の脱力感に苛まれる。
なんだかうじうじ後悔していた自分がだんだん惨めになってきて馬鹿みたくも思えてきた。
『─…エドワー、ド…?』
…今更ながら“しまった、笑い過ぎた…”と思うサヤ。気遣わしげな声と視線を投げかけ、今度は自分がエドワードの顔を覗き見るように伺う。…が、
「…ふん!」
…などと、あからさまに不機嫌を表し、ふいっとサヤから顔を背けてしまった。…なんとガキくさい事か…。
しかし本人至って真面目に怒っていた訳で、しかも今はその怒りを通り越し、完全に心を閉ざしてしまい世間的に言う“拗ねる”という状態になってしまった。
これには見ていたアルフォンスも呆れを通り越す所か、飛び越して最早ため息しか出なかったとか。
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