05話
夢小説設定
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発車間近の汽車。心の中で愚痴をこぼし、チラリと向かいの席に座るヤツを見た。
「お前ホントに付いて来る気かよ。」
『…不満か。』
「すっっっげぇーー不満。」
そこまで溜めなくても。と思い苦笑いをするサヤ。ふと、窓の外の景色を眺め呟く。
『特に深い理由はない。ただ、たまには息抜きも必要だ…。単にエドワードとアルフォンスの故郷を見てみたかったというのもある。』
「……とか言ってホントは何か企んでるんじゃねーだろうな…。」
『お前はなんだ。私を悪者とでも思ってるのか。』
ジト…と睨み合いが続く。そんな微笑ましい(?)様子を暖かく見守るアームストロング少佐であった。
──コンコン!
「「 ! 」」
窓を叩く音がして外を見るとそこにはヒューズ中佐がいた。
『ヒューズ中佐!』
「よっ。」
いきなりで少し驚いたが、直ぐに窓を開けて顔を出した。
『どうしてここに?中央に戻ったんじゃ…、』
エドワードの時とは違った態度にジトと彼が視線を送る。
「あぁ、直ぐに戻るさ。司令部の奴ら、やっぱり忙しくて来れないってよ。んで代わりに俺が見送りだ。」
『そうだったんですか。わざわざありがとうございます。』
「おう。そうそう、ロイから伝言預かって来た。」
「!、大佐から?」
なんだ、あの野郎…とか思いつつ、エドワードはロイ・マスタング大佐からの伝言とやらに耳を傾けた。
「《事後処理が面倒だから私の管轄内で死ぬ事は許さん。》……以上。」
「《了解。絶対てめーより先に死にませんクソ大佐。》って伝えといて。」
目には目を、歯には歯をといった感じか。エドワードの言い返しに私は小さく笑う。
「あっはっは!憎まれっ子、世にはばかるってな!おめーもロイの野郎も長生きすんぜ!」
車掌さんが笛を吹く。発進の合図だ。
「じゃ道中気をつけてな。中央に寄る事があったら声かけろや。」
軍人らしく敬礼をする。エドワードだけは左手で。
「サヤも、たまには家に帰って来いよ。グレイシアも心配してる。」
『はい。また近い内に顔を出しに行きます。グレイシアさんにもよろしく伝えて下さい。』
汽車が駅を発進し、ヒューズ中佐が見えなくなるまで、窓から顔を出し手を振るサヤだった。
ガタガタと汽車が揺れる。サヤも席に座り、移り変わる景色に目を向ける。
「我輩は機械鎧の整備士とやらを見るのは初めてだ。」
「正確には外科医で、義肢装具師で、機械鎧調整師、かな。昔からのなじみで安くしてくれるし、いい仕事するよ。」
『その整備士のいるリゼンブールってどんな所?』
「すっげー田舎。なんも無いよ。」
『へぇー。』
「つーか、東部の内乱のせいで何も無くなっちゃったんだけどね。軍がもっとしっかりしてりゃ、にぎやかな町になってただろうな。」
『そうか。リゼンブールはほぼ東部の中心付近だもんね。』
「……耳が痛いな。」
アームストロング少佐の呟きに、もっと言ってやろうか。と零すエドワードだった。
『楽しみだな。』
「あんまり期待しない方がいいぜ。…何も無いし、本当静かな所でさ。…でも、何も無いけど都会には無いものがいっぱいある。」
それが
オレ達兄弟の故郷
リゼンブール…──。
「ところでアルはちゃんとこの汽車に乗せてくれたんだろうな。」
実はアルフォンス、身体である鎧が壊れていて、アームストロング少佐に旅費より安いからと言う理由により荷物扱いをされていたのだ。
ので、サヤ達とは一緒の席ではなく。
「ふっふー。ぬかりは無いぞ。」
『どこにいる?』
──…、
めへーー…
「………。」
めへーー、
めへーー。
──…、
「一人じゃ寂しかろうとおもってな!」
『な、なんだとぉーっ!?』
「てめぇオレの弟をなんだと思ってんだっ!」
『よりによって家畜車両に乗せるなんてっ…!』
「むう!何が不満なのだ!広くて安くて、にぎやかで、至れり尽くせりではないか!」
『不満過ぎるっ!』
「ふざけんなーーーっ!」
今回ばかりはエドワードと同意見だ。(不本意だけど。)アルフォンスを荷物扱いする少佐に他の乗客そっちのけで噛みつく二人だった。
…その中に、以前リオールに居た黒衣を纏った女性も乗っていることをサヤは知らない…。
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