05話
夢小説設定
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「私もその一人だ。」
デスクに両肘を付き語る大佐の話を右から左へと聞き流す。
話の内容はスカーその人。彼はイシュヴァールの民であることがわかった。
「だからイシュヴァールの生き残りであるあの男の復讐には正当性がある」
『復讐…か…。』
やはり私と同じだった…。
すべて滅ぼしたいと願うほど憎いのだろうな、彼はきっと。
耳が痛い話だ。同じことをしようとしている私には何も言い返せない。
大佐の話から耳を背けたくなった。復讐なんてくだらない、と言えない自分がそんな事を言った時点で矛盾が生まれる。
そんな時…、
「くだらねぇ」
エドワードが口を開いた。
「関係ない人間も巻き込む復讐に正当性もクソもあるかよ。
醜い復讐心を《神の代行人》ってオブラートに包んで崇高ぶってるだけだ。」
『エドワード…』
「だがな、錬金術を忌み嫌う者がその錬金術をもって復讐しようってんだ。なりふりかまわん人間ってのは一番厄介で、怖ぇぞ。」
とヒューズ中佐。
「なりふりかまってられないのはこっちも同じだ。我々もまた、死ぬ訳にはいかないからな。」
大佐のセリフに賛同するように、みんなも覚悟ある瞳を見せ、次に会った時には、問答無用で「潰す」と口揃えて言った。
私はこの時、彼らを頼もしくも、また恐ろしくも感じたのだった。
とりあえずスカーの話はこれで終わり。するとヒューズ中佐がエルリック兄弟に今後を訪ねた。
「うん…。アルの鎧(カラダ)を直してやりたいんだけど、オレこの腕じゃ術を使えないしなぁ…」
『アルフォンスの鎧を直すのって誰がやっても大丈夫なのか?』
「いや、アルの鎧と魂の定着方法を知ってんのはオレだけだから、」
『じゃあエドワードにしか直せないってこと?』
「あぁ。だからまずはオレの腕を元に戻さないと」
隣でアルフォンスがそうだね。と賛成する中…、ホークアイ中尉がふとポツリと呟いた…。
「そうよねぇ…。
錬金術の使えないエドワード君なんて…」
「ただの口の悪いガキっすね」
「くそ生意気な豆だ」
「無能だな、無能!」
『頭の悪いミジンコだろ』
ハボック少尉に始まり、
ヒューズ中佐、マスタング大佐、そしてサヤの辛辣な言葉がエドワードを容赦なく攻撃する。
「ごめん兄さん。フォロー出来ないよ。」
「いじめだー!」
と、まぁエドワードをからかうのこの辺りにしておいて。
「しょーがない…、 うちの整備師の所に行ってくるか」
機械鎧を直しに行くことに決めたエドワードだった。
──…、
「俺ぁ、仕事が山積みだからすぐ中央に帰らなきゃならん」
「私が東方司令部を離れる訳にはいかないだろう」
「大佐のお守りが大変なのよ。すぐサボるから」
「あんなヤバいのから守りきれる自信無いし」
「「以下同文」」
だからって……っ
「(なんでこのおっさんがついて来るんだよ……)」
「…。」
このおっさんことアームストロング少佐
事は、数時間前に遡る…、
ぶわっ!
「…!!(泣)」
『…………。』
「………。」
豪快に涙を流すアームストロング少佐とこれでもかという位、げんなりな表情のエドワード。
それらを呆れ、または見ぬ振りをして過ごすその他。
何故アームストロング少佐がこんなにも号泣しているかと言うと…
「いやぁ…、あんな暑苦しいのに詰め寄られたら、君の過去を喋らざるをえなくてね…」
と言い、全力でエドワードから目を反らすマスタング大佐…。つまり、原因は大佐だ。アームストロング少佐にエドワードの過去を話してしまったのがこの状況に繋がる。
そこで、ようやく…ようやく!泣き止んだ少佐が義肢屋の所までの護衛を引き受ける。と言い出したのだ。
案の定…、
「はぁ!?なに寝ボケた事言ってんだ!護衛なんていらねーよ!」
全拒否するもホークアイ中尉やハボック少尉からまたスカーが狙ってくるかもしれないから、と無理やり納得させられた。…いや、付けられた。
「だったら別に少佐じゃなくても…」
と、この一言が先の言葉に繋がる。
「俺ぁ、仕事が山積みだからすぐ中央に帰らなきゃならん」
「私が東方司令部を離れる訳にはいかないだろう」
「大佐のお守りが大変なのよ。すぐサボるから」
「あんなヤバいのから守りきれる自信無いし」
「「以下同文」」
「決まりだな!」
「勝手に決めんなよ!」
「子供は大人の言う事を訊くものだ!」
「子供扱いするな!」
『…子供だろう。』
「お前に言われたかねー!ていうかサヤっ、なんだその手の荷物は!」
『決まってるだろっ。私も行く。』
「まさかお前まで付いてくる気か!?」
ぎゃーぎゃー!と騒ぐエドワードとサヤ。
サヤ曰わく、エドワードに付いて行くのでは無く、アルフォンスに付いて行くのだ!と言い張っている。
『安心しろ。アルフォンスは私が守るっ。』
「そういうことじゃねー!つか同じじゃねーかっ!」
『違う!誰がエドワードなんかに付いて行くものかっ。』
「どっちでもいいよ!付いてくんな!」
『アルフォンスは私が守るからなっ!』
「うん、ありがとうサヤ。」
「無視すんな!話聞けー!」
それでもなお駄々をこね続けるエドワード。
そこへマスタング大佐がこれ以上ごねるなら軍法会議に掛けるぞと脅し、エドワードは不本意ながらも大人しくなり、その場は納まったのだった。(大佐汚ねぇぞ!)
──…、
「(まったく。踏んだり蹴ったりだ…)」
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