04話
夢小説設定
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大佐はそれを隠すことなく…と、むしろ自分からバラしてしまうバカだった。
「いかにも!《焔の錬金術師》ロイ・マスタングだ!」
バカー、と心の中で叫んだ。
それを聞いたスカーは標的をマスタング大佐に変え、その矛先を大佐にむける。
「私を焔の錬金術師と知ってなお戦いを挑むか!愚か者め!」
あ、今日って雨…降ってるよね。大丈夫なんだろうかマスタング大佐…。
…、やっぱり大丈夫ではなかったみたい。ホークアイ中尉に足払いを掛けられ、仰向けで転倒した大佐の鼻すれすれでスカーの人体破壊の手が襲いかかる。
「いきなり何をするんだ君はっ!」
「雨の日は無能なんですから、下がっててください大佐。」
「…。」
無能…。
「あ、そうか。こう湿ってちゃ火花出せないよな。」
『あー…、』
…なるほど。
部下にまで《湿気たマッチ》扱いされるマスタング大佐。ホークアイ中尉の無能発言に二倍のダメージを食らったマスタング大佐だった。
「わざわざ出向いて来た上に、焔が出せぬとは好都合この上ない。
国家錬金術師!そして我が使命を邪魔する者!この場の全員滅ぼす!」
「やってみるがよい。」
──!?
静かなセリフとは裏腹に、声の主は豪快にスカーに拳を振るった。
間一髪で避けたスカー。代わりに後ろの壁が破壊された。
「む…新手か…っ」
助太刀に現れたのは、《豪腕の錬金術師》アレックス・ルイ・アームストロング少佐だった。
『なんだって次から次へと国家錬金術師が助太刀に来るんだっ!』
命狙われてるって言うのにっ。
「その上大佐は使えないしなっ」
うんうん と、同感してくれたハボック少尉。
私がつい零した愚痴も、だよなぁと共感してくれた。
その後、アームストロング少佐が間を継いでくれて、背後で射撃の体制を取るホークアイ中尉。
射程範囲に入ったスカーを射撃したが、一発かすっただけだった。大した反射神経だ。
多勢に無勢、と感じたスカーは足元のコンクリートを破壊し、地下水道へとあっという間に逃げていってしまった。
まさに風の如き速さ。
あの後、スカーの素性がほんの少し分かった。
彼は…、
《イシュヴァールの民》だった。
たった一発当たった銃弾はスカーの額をかすり、サングラスが外れた事で見えたあの赤目。そして褐色の肌。
あれは、数年前このアメストリス国に属していた宗教部族だ―――。
「アルフォンス!」
『…!』
突然エドワードの声がした。後ろを振り向く。
必死な顔でアルフォンスに声をかけるエドワードの姿が目に映った。
「アル!大丈夫かおい!」
『…アルフォンスっ』
サヤも心配になったので、二人に近寄ろうとすると…、
「…この…、バカ兄ぃ!」
アルフォンスの怒号と鉄拳をもろに食らったエドワード。痛そうだ…。
エドワードも殴られる理由がわからず何故!?って顔をしてる。
「なんでボクが逃げろって、言った時に逃げなかったんだよっ!」
「だからアルを置いて逃げるわけに…」
「それがバカだって言うんだーっ!」
バチコーン!(二発目)
『……。』
あまり微笑ましくない兄弟喧嘩が勃発。周りも成り行きを黙って見守るしかない。かくいう私もその1人で。いや…仲裁に入ったらエドワードと一緒にアルフォンスの鉄拳を食らいそうで恐い…。
でも今回ばかりはアルフォンスが正しいと思えた。何もかも諦めて死を選ぶより生きて生きて、生き延びて。
自分たちの身体が元に戻る方法も、ニーナのような不幸な子を救う事だって出来るかもしれないんだ、と。
そう叫んだアルフォンスの言葉にエドワードも言葉が出なかった。
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