29話
夢小説設定
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その一言を発した瞬間、ホーエンハイムから錬成反応が走る。
『な、なにっ!?』
《なっ…》
地面がまるで果物の皮の様にめくり上がり、プライドの周りを有り得ない速さで囲んでいく。
「でかい!」
《ホーエンハイム!》
危険を悟ったプライドがホーエンハイムに向かって影を伸ばすが喉元寸前で完全に閉じ込められてしまい、影は霧散して消えていった。
目の前にはドーム型の軽く大きな山が出来上がった。
『た、助かった…?でもアルが…』
「なんだこれ!」
ひとまず危機は去ったものの、アルが犠牲になってしまった。
これはどういうことなのだろうか。
エドがホーエンハイムに突っかかる。
「おいホーエンハイム!アルが巻き添えになってんじゃねーか!何考えてんだ!」
『どうして!』
「アルの提案だ。」
その返答にエドとサヤは押し黙るしかなく。
「今のプライドを倒すのは困難だ。ならば倒すのではなく押さえ込んでおこうってな。これで我々が作戦を立てる時間が稼げる。」
「だからってなんでオレに相談無く…」
「兄さんに言ったら絶対反対されるってさ。」
『アル…無茶なことを…っ』
「アルなりに全員が今、生き残る術を考えた結果だ」
「っ…」
納得のいかない顔をするエドだったが、結果誰も死ぬことなくこの状況を打開できたのも確かで。
サヤは思わずアルが閉じ込められている壁へ近寄った。
『アル…、アル…』
「サヤ…?」
壁の向こうからアルの声が小さく聞こえた。
それが無性に悲しくて。
『アル…、ごめんね。…ありがとう、守ってくれて』
「うん。どういたしまして。怪我はない?」
『あぁ。平気だ。』
アルの優しさを感じて、やるせなくなり思わず壁に添えた手を爪を立てて握りしめる。
「さぁまずはこの火を消すぞ。アルが蒸し焼きになってしまう」
と、ホーエンハイム。
あちこちで燃える炎にエド達が消火に取り掛かろうとした時、ふとグリードが居ないことに気づく。
ついさっき、サヤやランファン、フーに怪我は無いかと無事を確認するような会話をしたばかりなのだが。
「グリードはどこ行った?」
そう言ったダリウスの言葉にみんなが周りを見渡す。
『…近くに気配が感じられない。…』
グリードの気配は人一倍分かりやすい。
それが近くに感じられないのだ。
エド達や、ランファン、フーを置いて単独行動に出たということだろうか。
1人で行ってしまったグリードを今から追う訳にも行かず、ひとまず周辺の消火作業を始めるのだった。
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