29話
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『私に命令するなっ。ハインケル、少しじっとしていて』
「姫ッ」
ランファンと同じくサヤを姫呼ばわりするフーに、ランファンともどもあとで言い聞かせてやろうと心の片隅で思いながら、クナイを5本取り出し、ハインケルの周りに打ち付け自分の足元に五芒星の陣を描く。
陣に両手をつけば、ハインケルの足元の5つのクナイから錬成反応が起こる。
「な、なんだ!?」
「姫の錬丹術ダ。案ずるナ、おぬしの傷を塞いで下さったのダ」
『傷を塞いだだけの応急処置にすぎない。早くここから離れた方がいい。フー、彼を頼む』
「承知ッ」
離れていくハインケルとフーの気配を背後に感じながら、目の前のプライドに集中する。
《さて。だいぶん見晴らしが良くなりました。》
プライドがじわじわと迫り来る。
ずいぶん暴れ回ったせいか、もはや隠れる場所がない。
これ以上の戦闘はこちらに不利になる。
致命的では無いが身体中の傷が目立つエド達。
《グリードはあとどれ位で死にますかね?物陰に隠れても無駄です。…匂いでバレバレですから。…?》
グラトニーの嗅覚を手に入れたプライドはサヤ達の位置が手に取るように把握しているようだ。
勝ち誇った表情を見せるプライドだったが何かを感知したのか、ふと視線を横に向ける。
その先にはホーエンハイムがこちらに向かって歩いてくるのが見えた。
《おや。やっと登場ですか。…ホーエンハイム。》
「ヒーローは遅れてやって来るものだよね、うん。」
「(イラッ…)」←エド
エドが嫌そうな顔を全開に見せる。
《″ヒーロー″という事は私を倒す気でいるのですか?》
「いやぁ無理無理。おまえと闘う気は無いよ。おっかないもんなぁ」
遅れて登場したわりには、ホーエンハイムのすっとぼけた返答に力が抜けそうになる。
《(何を考えている。何か狙っているのか?また閃光弾でこちらの力を削りにくるのか…。)》
ホーエンハイムを警戒して広範囲に広げていた影を徐々に集め始めたプライド。
よほど手強い相手と認識してか、慎重になる。
「(俺に意識を集中させるために影を中心に集めだしたな…。もう少しもっと中心に…)」
『(なにをするつもりだ…)』
腹の探り合いのような一時。
大きな動きを見せないホーエンハイム。
こちらも動こうにも動けずにいると不意にプライドの背後から大きな影が覆う。
《!!》
「っ!」
アルフォンスだ。
こちら側に取り返したアルが意識を取り戻し、再びプライドの前へ姿を表したのだ。
だが、あっという間にプライドの影に捕まってしまう。
《私の意識をホーエンハイムに引き付けて、そのスキを突く…ですか。つまらない作戦ですね。わざわざ人質になりに戻るとは、君の息子も物好きな。》
「俺の息子をバカにするな」
.