28話
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『あの方向はプライドか…』
「サヤ行くぞ!」
「若っ!」
一足先にリンとランファンがサヤを追い抜き、閃光弾の上がった場所へ向かう。
ワンテンポ遅れてサヤも続いた。
あと一息だったというのにグラトニーを逃がしてしまったことに苦虫を噛む。
先頭を走るランファンを追いながら森の中を駆けると、そこは木々がなぎ倒され広場と化していた。
何故かは分からないが、周辺で火事が発生しており充分すぎる光源を確保したプライドが再び反撃していた。
「あの女もグリードもサヤも変だよ。まっくらでもおでのいる所がわかるみたいー」
《なんですって?…ラースが言ってたホムンクルスの気配がわかるシンの戦士ですかね。》
…グリードめ、シンの皇子を取り込んでその能力を使っているのですか…。
サヤも元はシンの人間。侮れませんね…。
『(…何を考えているプライド…)』
じっとリンの方を見ていたかと思うと、今度はサヤの方を見る。
さて、どうするか…。
《グラトニー、君何回死にました?》
「?わかんない。たくさん死んじゃった」
《ずいぶん弱ってますね。私もかなりやられてしまいました。このままでは奴らに滅ぼされるかも…。》
「え、いやだ。おで、またおとーさまに治してもら…、プライド?」
…いやな予感がする。
いやな予感しかしない。
それはグラトニーも感じ取ったようで。
じわじわと寄るプライドの影に思わず後ずさるグラトニー。
見ているこちらにはなにをしようとしているのか想像もつかなかったのだが、その瞬間。
ブワァ!
『あっ…!?』
「……!!」
ほんの一瞬だった。
一瞬すぎて、言葉がすぐに出てこなくて。
大きく口を開けたプライドの影がなんとグラトニーを賢者の石ごと喰らったのだ。
食いこぼれたグラトニーの破片が再生出来ずに消滅していく。
「仲間ヲ…食いやがっタ!」
《あぁ、これは都合が良い。君たちの臭いがよくわかります。鼻が効く能力と一緒に付いてきた空腹感が少し困りものですけれどね。》
『なんてことを…』
本来なら敵が一人減って喜びたいところなのだが、なんとも後味が悪いことこの上ない。
可哀想に、と不覚にも思ってしまった。
グラトニー…、
敵のはずなのにこんな消滅の仕方をすると不憫に思うのは何故だろう。
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