28話
夢小説設定
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バシィ…!
方々に散った錬成反応の光はスラムの明かりを奪い、辺りを暗闇にした。
すると、見えていた無数の目や影が霧散して消えていく。
『い、一体なにが…』
「明かりを消した。」
『エド、』
「目玉も影も消えたが…、何も見えん。」
『そ、そうか。明かりが無ければ影も出来ない。』
視界が見えない分、神経を研ぎ澄ませ気配を察知する。
側にはエドと、少し離れた場所にグリード、ハインケル、ダリウスの気配を感じた。
「なんだ?何がどうなった?」
「お。そこにいるのかハインケル。単純なこった。俺達に見えん暗闇って事はあの目玉にも見えないってことだ。」
「いなくなったのか?」
『気を付けろ。潜んでいるだけでまた影ができる環境になれば出て来るぞ。』
「ん?サヤ?か、」
『私が見えるのか?』
そういったハインケルの視線はちゃんとサヤを捉えていて。
「あぁ。俺はライオンの合成獣だからな。夜行性なんだ。」
『なるほど。』
「そういうお前もまさか見えてんのか?」
と、グリード。
目を細めてサヤの姿を捉えようとするが全然明後日の方を見ているので笑えた。
『私はそこにはいないぞ、グリード。こっちだ。』
「あぁ?どこにいんだよ」
『こっちだこっち。』
一向にこちらを見ないので、くいくいと服の袖を引っ張ってやる。
「お、そこか。まったくなんも見えん。」
『リンと変われば?リンなら私と一緒でこの暗闇でも戦えるだろうし、』
「ちっ、やなこった。」
『……。』
なんの意地だ。
「それよりさっき、あいつの足元を見たか?」
と、グリードがハインケルに言う。
「あぁ、触手みたいな…」
『そこじゃない。必ず大きな影のそばにいただろう。』
「大きな影?」
「森の影の中に本体がいる。」
「本体?鎧が本体じゃないのか?」
『あれじゃない。アルの鎧は利用されてるだけ。プライドの外出用の容れ物があるんだ。』
「…どんな容れ物だ。」
───、
ふと夜空を見上げる。
都会の空が仇になったな。
『月も星もない。この暗闇ならプライドも動けないはず…』
遠くで戦闘音が聞こえてくる。
きっとハインケルが頑張ってくれている。
『エド、』
「おいエド。そこにいるか?」
「?サヤとゴリさんか?」
『アルは?』
「動いた気配がない。」
「あいつはとりあえず置いとけ」
「え!?あのまま放っとけっていうのかよ!」
『心配なのはわかるが、下手に手を出して罠だったらどうする?あとで必ず助けに行く。今はこっちだ。』
「くそ…、わかったよ…。」
真っ暗な森の中、足元がたどたどしい。
暗闇に慣れていないダリウスとエドの先頭をサヤが歩き、2人はそれを追う。
「でも、プライドはどうする?スラムの明かりが戻ったら….」
『大丈夫だ。手は打ってある。ハインケルが今、戦ってくれている』
「え?ライオンのおっさんが?」
「この闇の中なら夜行性動物に任せとけって話よ。」
見えん、と目を凝らしながらエドもグリード達となんとか合流する。
『それよりも気になるのはどうしてこの場所がわかったかだ…。』
「あぁ…。」
この場所が知られてしまった以上、長居は出来なくなった。
しかしプライドには居場所を察知する能力など持ち合わせていないはずだ。
なのに何故。
『…、…っ!』
ぞわり。
背中を何かが走る。
嫌な気配。複数の人の気配の塊。
…これは…、
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