28話
夢小説設定
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ぎしぎし。ぎしぎし。
彼から聞こえてくる音はいつもとまるで違う。
アルの身体から見える無数の目と、黒い影。
「え…、アル?何?反抗期!?」
『んなわけあるか!あれはアルじゃない!』
「ぐ…」
そんな性格じゃないのにボケをかますエドについツッコんでしまった。
「…“プライド”だ」
『グリードか、』
「あぁ…。クソが…、なんでここがわかった」
《なんとしても裏切るのですねグリード。もはや君は我々にとって邪魔者でしかない》
「知り合いかよ、」
と、エド。
「あ~、一番上の兄ちゃんってところ?」
「……!ホムンクルスか!」
感の鋭いエドにはそれだけで状況を察知する。
敵にこの場所が知られたのだ。
『気を付けろ、プライドの強さは異常だ。』
「まじかよ…。こんにゃろ…、アルに変装するとは…」
《変装ではありません。》
そういってプライドは鎧の頭部を取って内側をこちらに見せた。
その中には見覚えのある血印が。
あれは紛れもなく、アルの魂をこの世界につなぎ止めている証拠。
エドが命懸けで繋いだ印だ。
エドの顔色が激変する。
「野郎…!」
《グリードはここで始末させてもらいます。鋼の錬金術師は一緒に来てもらいましょうか。》
『……。』
《あぁ…、フィーネも戻って“役目”を果たしてもらいますよ。》
『……!ちょうどいい。その“役目”とやらがなんなのかボコって吐いてもらおうか。』
「おい、ゴリさん達は逃げ…、うぉい!早いなコラ!」
「俺達の野生のカンが「アレと戦うな」と言ってる!」
言うまでもなく。
がんばれ!と遠くの木の影から激を飛ばしてくれていた。
…いつのまに。
『ははっ、全く頼もしい“野生のカン”だなっ』
「おまえらは大丈夫なのか!?」
と、ダリウス。
「大丈夫だ。あいつらはオレとアル、サヤが必要みたいだから殺せないっ」
『向こうは本気出せないけど、こっちは本気を出せる。ここで倒させてもらう!。…よしいけエド。』
「おう!…ってオレだけかよ!」
バレた。(…)
エドに先制してもらって様子見しよう作戦だったのだが。
《そうです。…殺しはしません。手足の二・三本は千切れるかもしれませんがね》
『相変わらず言う事えげつないな。エンヴィーが可愛く見える。』
その言葉と同時に鋭利な影が一気に襲ってくる。
『くっ…!』
「うおっ──っとっと!」
避けたはいいものの、すぐ後ろはスラムの集落が。この森で仕留めなくては、被害が及んでしまう。
「ここで食い止める!」
バシン!とエドが土壁を錬成するも、まるで紙切れのようにあっさり切り壊されてしまった。
「こいつにガードなんて効かねぇぞ!」
『グリード、前!』
「…ぐ!…っぶねぇ!」
影に狙われたグリードだったが、持ち前の炭素硬化でなんとか防いだ。
…だが、グリードを狙った影がその手で拘束し、動きを封じてしまい身動きが取れなくなった。
『グリード!』
《無駄ですよ。あなたが錬丹術を使うよりも私の方が早いですから。》
『…っ!』
クナイを取り出すも、プライドの言う通り。投げ出そうとした手が止められる。
それに満足したのか、今度はエドの方を見る。
《さて、お友達も捕まえましたが…。どうします?スラムの人間も捕まえれば言う事を聞きますか?》
ちらりと思わずスラムの方を見る。
さっき大きな音を立てたからこちらの騒動に気づいたかもしれない。
『……っ』
「さすがだな。おまえの一番嫌がる所を真っ先に突いてくる」
「………。」
じわじわと寄ってくる不気味な影。
役に立ちそうもないが、一応クナイを出して構える。
どうする…。どうすればいいっ…、
その時、エドの表情が追い詰められた顔から一転、好戦的なものへと変わった。
「そう毎度やられっぱなしじゃいられねぇよな!」
『…!』
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