27話
夢小説設定
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「何買ってんだ?」
「へっへ、やっぱコレだよ…な!」
バシ!と久々に見る錬成反応。
赤い布生地から錬成して作ったのはエドのトレードマーク、背中にフラメルの紋が入った赤いコート。
『おおー』
「へへー!」
「うへぇ」
「またこんな派手なの着る気か!」
本人は気に入ってるのだか、周りからの反応はいまいち良くない。
サヤはあまりよく分かってない。(…)
『エドの錬金術久々に見たな』
と、一人視点がズレている。
赤いコートはどうでもいいみたい。
「なんで赤なんだよ」
「強そうじゃん!血がたぎるっつーか!」
『ふーん』
「たぶん奴らと最後の戦いになるだろうからさ、気合入れてかないと」
『……。』
赤いコートは不評だったが、その意気込みには皆思いは同じようで。
「おっさん達さぁ何もオレ達に付き合う事無いんだぜ?」
ふとエドがそんなことを言い出した。
「ここで別れといた方がおっさん達の為だと思うんだけど」
「おいおい、俺の手下のくせに勝手に決めんなよ」
『そもそもエドと一緒にいること自体が不思議だ』
「ま、北で色々世話になったからな」
と、ダリウス。
「やっぱあっち2人組の合成獣さんと同じで元の身体に戻りたいとか?」
“あっち2人組の合成獣”とはリオールにいるジェルソとザンパノのチームのこと。
いま頃どうしてるかな。
リオールの復興を手伝いながら過ごすと言っていたから健康的に生活していると思うが。
「んー…、どうかな。色々と便利だしなこの身体。」
「俺達ゃ別にこのままでもいいや」
「がっはっは!そうでなくちゃ」
二人の意見に満足だったのか上機嫌で笑うグリード。
そう言えば“前の”グリードもそういう集まりのボスだったとか。
南にあるダブリスという所の裏町で隠れていたとラースから聞いた。
軍の研究施設から脱走した合成獣にされた軍人を連れて中央から消えたのだと。
そういう人達から見ればグリードの存在はとてもいい奴なんだろうか。
『(グリードはああ見えて仲間想い、だからな…。)』
守ってくれる人がいるということはとても心の支えになるものだ。たとえ守れなくても、守ろうとしてくれたのならそれだけで幸せと思う。
「他に行く所も無いし」
「何より野生のカンがな、ここにいる方がいい目が見られるって言ってる」
『ははっ、それは頼もしいカンだな』
なんとも頼もしい野生のカンである。
「グリードはなんでオレ達に付き合ってんだよ。ホムンクルス達からトンズラぶっこくとか言ってなかったか?」
「なんで中央に戻って来たかって?」
エドの疑問にグリードはぴたりと足を止めた。
「教えねー、よ。」
「?」
意味深な答えに思わず眉間に皺が寄る。
すると前を歩いていたハインケルがぴたりと足を止めたのでよそ見をしていたエドが背中に顔をぶつける。
なんだよ、と文句を言おうとしたが、ハインケルの背中の向こうから人影が見えたのだ。
ギシ…、
『──!』
そうだ。
彼には気配というのものが感じられないのだ。
だから気づかなかった。
「アル!」
『アル…?』
暗い影からのっそりと現れたのは弟・アルフォンス。
しかし何故彼がここに?
だがそんなことも疑問に思わなかったのかエドは駆け寄っていく。
「うおー!よかった合流できたー!」
「兄さんも無事だったんだね」
『……。』
「おまえマイルズ少佐の所にいたんじゃないのか?あっちは大丈夫なのかよ」
──ぴくっ。
『(違う…)』
何かが。
でもそれがなんなのか、はっきりと言えなくて。
「そうだ。兄さんに見せたいものがあるんだ。一緒に来てくれる?」
「?、おう」
ガッシャン、ガッシャン。
それはいつも聞く音のはずなのに、不思議と違和感を感じたエド。
思わず聞いてしまう。
「……アル。おまえどこか悪いのか?」
「……なんで?」
「いや….、なんとなく……、」
「エド!」
聞こえたのはグリードの声じゃなく、リン。
よほどの事じゃないとリンがグリードの意思を押し退けて出てこれはしない。
「…そいつから離れロ…」
『リンか、』
「そいつハ…、それハ…!」
『…エド!下がれ!』
「──!」
ズアッ!と突然アルの身体から鋭利な影が襲ってきた。
「うぉほ!」
『くっ!これは…っ!』
「なんだぁ!?」
一斉にアルから距離を取る。
アルの様子がおかしかったのはこれが原因か。
《そちらに付いたのですかグリード。》
どこからともなく聞こえてくる不気味な声は、すでにアルのものではなく。
突如辺りが怪しい気配で満たされる。
『お前は…!』
《またそんな人間に身体を乗っ取られるなんて…》
どうしてこの場所が分かったのか。
約束の日はもうすぐそこだと言うのに、まさか向こうから仕掛けて来るとは。
《魂が弱すぎる!》
───ホムンクルス、“プライド”……。
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