27話
夢小説設定
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はぁー、と吐いた息が白かった。
それが中央にも冬が来たことを告げていて。
『ここもすっかり寒くなったなぁ』
「大丈夫かい?サヤ」
『はい。ホーエンハイムさんこそ平気ですか?』
季節が変わる頃、私はエドとアルの父・ホーエンハイムさんと2人でリオールを出発し中央を目指し歩いていた。
「あぁ。むしろ俺はこんな生活ばかりしていたからなぁ」
『そうですか。エドの放浪癖は完全に父親譲りってことですね』
「ん?そう、なるのかな?」
自覚はないが、思い当たる所もあるらしく。
ふふっと笑うサヤに釣られてホーエンハイムも小さく笑うのであった。
サヤとホーエンハイムは一足先に中央を目指し、ジェルソ達はリオールでスカーとマルコーと合流するため駐留してくれている。
残るアルは別行動。
今は北方軍の人達と行動を共にしている。
年が明けた春に北・東方軍で合同演習が行われるのだが、それに乗じて中央を攻めるつもりでいる。
そのためにも状況を詳しく知っている者がいれば立ち回りもしやすくなるだろう、というのが彼の考え。
『ウィンリィ、大丈夫だろうか…』
気がかりなのはウィンリィ。
奴らはすでに人質を気にしている余裕なんてないだろうと思い、こっそり故郷リゼンブールに帰してあげたのだ。
マイルズ少佐が護衛も付けてくれたから心配はないと思うのだが。
「見えたよ、中央」
『!、』
その声に考えふけっていた思考をやめ、顔を上げる。
暗い夜に中央市街の明かりが怪しげに光っているように見えた。
まるで自分達を挑発しているかのよう。
戻ってきたのだ。
中央に。
『(かかってこいってか…)』
「すこし下ったところにカナマというスラムがあるんだ。そこで他のみんなと落ち合う予定にしている」
『わかりました。行きましょう』
約束の日まであと少し。
共に戦う同士達が各々の役目を果たし、再び集合するその時まで。
私は私のやるべき事をやろう。
だからみんなにまた無事に会えますように…。
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