26話
夢小説設定
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「自由と権利が欲しくないか?」
その言葉が全ての始まりだった……。
ホーエンハイムさんが聞かせてくれた話は途方もない壮絶な人生だった。
若き頃のクセルクセスでの奴隷生活。
己の血液から偶然生まれた“ホムンクルス”という名の存在。
のちに、これが中央にいる“お父様”と呼ばれる人物である。
ホムンクルスのおかげで知恵を身につけ、奴隷ではなくなり裕福な生活を送っていたが、クセルクセスの国王が不老不死を望み、強欲に溺れそして国が滅びとも言われる壊滅をした。
…否、賢者の石にされたのだ。
ただ一人、ホーエンハイムを除いては。
全てはホムンクルスの仕向けた罠。
窮屈なフラスコから出たいが為の願い。
そうしてホムンクルスは東のアメストリスへ。
同じく生き残ったホーエンハイムは西のシンへと落ち延びた。
「───という話なのさ。」
『……。』
「……………。」
……………。
「聞いてる?」
「んはぁ!」
『あ、あぁっ』
反応が返ってこなかったのでつい繰り返し聞いてみる。
一瞬思考が停止していたかのように、息を吹き返すアルフォンスとサヤ。
長い話になると言われた通り、想像を絶する人生を物語ってくれたホーエンハイム。壮絶すぎて途中リアクションが入れられず。
「理解した?」
『……たぶん?』
「えーと、奴隷が父さんで賢者の石?」
「うん、そう」
「あぁ、そう」
『………。』
話の内容は濃いのに反応がドライなためどう対応してよいのやら。
とりあえず話してくれたことを文字だけ覚えた、というような感覚。
正直理解までは至っていない。
「…信じてないだろ。」
「十数年ぶりに会った父親にいきなりそんな告白されても納得する奴は頭がどうかしてると思うよ。」
「…だよなぁ。」
はー、と深いため息をつくホーエンハイム。
ダメもとでアルや自分に話してくれたのだろうか。
…でも、とアルは続ける。
「どうやらボクはその“頭がどうかしてる奴”みたいだ」
『アル…。』
今度はアルがため息。
それはまるで観念したかのよう。
「“ありえないなんて事はありえない”だってさ」
『…それって、』
誰かに聞いたようなセリフだった。
どこでだったか…。
受け入れの速さに今度はホーエンハイムが驚く。
「正直びびってるよ。うーん…、自分がこんなありえないような身体してるから……かな。動揺が少ないのは。」
『…あの、聞いても、いいですか?』
「なんだ?」
ほぼ沈黙状態だったサヤからの突然の質問。
ホーエンハイムはこちらを見る。
『死なないって…どんな感じ?』
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