25話
夢小説設定
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「…ごめんなさい。ボク達がコーネロにちょっかい出したから街がこんなことに…」
「気にすんな気にすんな!…ってもこの状況を見たら気休めにもなんねぇだろうけどよ」
きわめて明るく言ったのかもしれないが、街の惨状を見れば確かに気休めでしかない。
主人はため息をつく。
「あんたらは不正を暴いた。それは正しい事だと少なくとも俺はそう思ってるよ」
原因は確かに自分達かも知れない。
しかし主人やロゼはアル達を責める気などさらさらなかった。
落ち込むアルに気にするなと笑って言ってくれたのだった。
「……。ボク街の復興手伝ってくる!」
『アル!』
「サヤとウィンリィはどこかに匿ってもらってて!なるべく目立たないように!」
『匿ってって言われても…』
急いで父親の元へ行ってしまったアルの姿を呆然と見送る。
するとくつろいでいたジェルソとザンパノも腰を上げた。
「どれ。俺達も手伝うか。」
「行くぞヨキ。」
「え!?飯は!?」
ヨキとばっちり。
働いてから食った方が美味い、と理由を付けられ2人に引きずられていった。
「うおおお!はなせ!はなせー!」
『な、なら私も…っ』
「お嬢は休んでな。ここは俺達の出番だしよ」
『そ、そうか…』
錬丹術しか取り柄のないサヤにとって、力仕事が必要とされるここでは確かに出番はないかもしれない。
ホーエンハイムやアルも錬金術が使えるのにあえてそこは自分の手で復興を手伝いに行ったのだ。
大人しく今は“目立たないように”匿ってもらうほうがいいだろう。
「…えーと…、どうする?サヤ」
『どうしようか。』
残された2人。お互いに顔を見合わせればふと感じる視線。
同時に振り向けばロゼが目を輝かせながらこちらを見ていた。
ガシ!っと掴まれた腕。
『え、』
「!?」
「目立たないように匿うのね?任せて!さぁ行きましょう!」
どこにそんな怪力を秘めていたのか。
二人してズルズルと連れ去られてしまった。
遠くで主人がハンカチを振って見送る姿が。
一緒に引きずられていたウィンリィが小さな声でひとさらいー、とこぼしていた。
───。
「逃亡中だから目立たず…。かといって地味になりすぎず動きやすく!どれがいいかしら」
『服、これで合ってるのかな?着方…』
「?、…すごくいいわ!」
さすが私!と自画自賛するロゼをサヤは苦笑い。
あまり可愛らしい服は勘弁して欲しいという彼女の確固たる願望に、しぶしぶ聞いてくれたロゼはサヤにロングパーカーと七分丈のズボンを貸与えてくれた。
「ウィンリィさん湯加減はどう?」
先にお風呂をいただいたサヤの後にウィンリィが今入っている。
湯加減を聞けば、最・高です!と上機嫌な返事が返ってきた。
「着替えここに置いとくわね」
「はい!ありがとうございます!」
ロゼさんいい人だ~、なんて声がウィンリィの鼻歌と一緒に聞こえてくる。
『ありがとうロゼ、さん?』
「ふふっ、ロゼでいいわよ!」
あまり歳の近い女性と話したことがなかったサヤは思わずロゼにさん付けしてしまう。
「なにか飲む?」
『うん』
「コーヒーでいいかしら」
サヤは頷いて答えた。
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