24話
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ホムンクルス・エンヴィーとの死闘を終えた一行は麓のスラムへと戻った。
その入口でヨキとウィンリィが今か今かと帰りを待っていた。
「帰ってきた!」
「おーい」
その足取りは軽く。
マルコーさんは腰を抜かしたためジェルソに背負われていたが。集めていた薪もちゃっかり持ち帰り、スラムへと帰る。
しかしその一行の中にサヤの姿はなく。
「どうだった?ホムンクルスとやらは倒せたのか?」
「ああ、なんとかね…」
駆け寄るヨキに背負われたマルコーが答える。
「マルコーさんケガしてるの!?」
「いや、ケガは大丈夫なんだけど腰が抜けてしまって…」
情けないと笑うマルコーにウィンリィはひやひやする。
「あまり無茶しないでね」
「…君に会ってロックベル夫妻を思い出したんだ。出来る事があるのに周りに流されて何もしないのは卑怯だと思った」
「マルコーさん…」
無茶してでも何かしたかったとマルコーは血まみれの口元を拭きながら話す。
その気持ちにウィンリィは優しく微笑むのだった。
…が、そこでようやく1人足りない事に気づく。
「…あれ?サヤは…??」
行く時にはいたはずの彼女が帰ってくる時にはいなかった。
気を付けて、と言葉を交わしたのが半刻前になる。
ウィンリィのセリフにみんなは顔を合わせ、少し言いにくそうに言った。
「それがサヤ姉様、少し1人になりたいと言っテ…」
「えぇ!?だ、大丈夫なの?」
「日没までには帰ると言っていたから置いてきたのだが…」
そう言って丘を見上げるマルコー。
どおりで姿が見えないわけだ。
1人になりたいと本人が言うのだから置いてきたのだが、やはり後ろ髪引かれる思いである。
「なにか…あったの?」
「あったといえば…ありましタ。」
確かにいろいろとあった。
だが、それを本人をよそに言っていいものかとメイはマルコーを見た。
「あとで様子を見に行ってくるよ。スカー、頼んでもいいかい?」
「…おれが、か?」
さすがにこの極寒の地で長時間も外にいれば誰であろうと簡単に風邪を引くだろう。
まさかの指名に少し驚くもスカーはわかった、と承諾してくれた。
その後、いろいろエンヴィーと揉めたがひと段落着いたところでようやく休息をとることが出来た一行だった。
その数時間後。
マルコーに頼まれた通り、サヤの様子を見にスカーは再び死闘を繰り広げた丘へとやってきた。
1人になりたいと言い出してからすでに時計の針がふた回りしているはずだ。
エンヴィーを追い詰めた後、頭を冷やしたいのだと言い出したときはどうしたものかと思ったのだが。
てこでもその場から動きそうもなかったので仕方なく彼女を置いてきた。
「……。」
スカーの視線の先には大きな木の麓でうずくまり、膝に顔を埋めて座るサヤがいた。
肩に少し雪が積もっていることから長い時間そうしていたのが伺える。
遠くで捉えた姿も今はずいぶん近くにいる。気配に鋭い彼女ならスカーの存在にとうに気づいているだろう。
それでも顔を上げようとしないので仕方なくスカーは声を掛けた。
「いつまでそうしているつもりだ」
『……。』
ゆっくりと顔をあげる。積もった雪が肩から落ちた。
その顔は少し赤かった。
「頭は冷えたか」
『…うん。』
…たぶん、と続く。
目の前までやってきたスカーをサヤは見上げた。
極寒の地の風は確かに頭をしっかり冷やしてくれたようだ。
『…くっしゅん』
「……。」
しっかり体も冷やしてくれたようだ。
「スラムに戻るぞ」
『……』
冷えて固まった身体。
まるで軋む機械のような動きでサヤは立ち上がる。
…が、感覚すら鈍ったのか前のめりに身体が傾いた。
すかさずスカーが手を掴み、肩を支える。
『…ご、ごめん…』
「…あついな」
触れた肩から伝わる発熱は風邪を引いたと物語っている。
案の定風邪を引いた本人は握るスカーの手のひらの温もりに、あぁさっきもこの手に救われたんだっけ、なんて考えていて。
もはやサヤの意識はおぼろげだった。
早めに様子を見に来て正解だったようだ、とスカーは思う。
『うー….、頭がガンガンする…』
「風邪だな」
『薬作んなきゃ…』
「それはあとだ」
『ノコギリ草を擦って…』
「ノコギリ草?」
もはや正気かどうかもあやうい。
聞き慣れない単語が次から次へと出てくる。
.