23話
夢小説設定
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「ぐ…ぁ…っ」
ズズン…と巨体が雪へと沈んだ。今まで怯むことがなかったエンヴィーだが、やはりスカーの人体破壊が効いたのだろう。
「やった!」
「くそ…っ」
1度は倒れるもののホムンクルスの再生力は尋常ではなかった。立ち上がろうとするエンヴィーだが、突然何かを感じたのか辺りをキョロキョロしだした。
「!」
…なんだ。この威圧感は…。
今まで感じたことがないっ
様子がおかしくなったエンヴィーにマルコー達もしばらく様子を見ていた。
すると突然ビリビリと空気を伝い何かが流れてきた。
それはまるでレーザー光線のようなものだった。エンヴィーを目掛けてまっすぐに伸びる光の光線。間一髪エンヴィーは避けたが掠った身体に焼け焦げた跡が残った。
「……っ!…出てこい!どこにいる!」
「……!」
どこかに向かって叫ぶエンヴィー。
…ようやくわかった。さっきの攻撃はサヤが放ったものだと。
少し離れた場所、雪が風で舞う向こうから姿を見せたのはとてつもない殺気と威圧感を放つ彼女。
向けられているのはエンヴィーだというのに周りにいるマルコー達にさえもそのすごさはひしひしと伝わった。
拳銃を片手に一歩一歩雪を踏みしめ近づいてくる。
「ちっ、中央から姿を消したと聞いたがまさかマルコーと一緒にいるとはな…」
『さんざん脅したのだから裏切るふなんてありえない、って思ったか?』
いつもの彼女とは思えないオーラが纏う。
バチバチっと手に持つ拳銃が電気を放つ。
「今のはやっぱりお前か…」
『普通の攻撃じゃ効かないだろうと思ってな。どうだ?私のレールガンは効いただろう?』
「レールガン…」
電撃砲。
離れて見ていたメイにはすぐにわかった。
「身体を流れる龍脈を操り、自身の身体を電気質に変えたんだと思いまス」
「それってつまり簡単にいうと静電気が起こりやすい人ってこと?」
「はイ。おそらく身体のどこかに錬丹術の陣を隠し持ってるはズ。そして手に持つ拳銃の弾丸を道筋に身体に貯めた電気を一気に放ツ。」
「すごい…。錬丹術ってそんな事も出来るんだ…。」
医学に特化した錬丹術だからこそ考えつける知識ということだろうか。
「姉様は錬丹術の天才と言われてましたかラ。…ただ、身体の負担は大きいはずでス。自身の龍脈の流れを無理やり変えるわけですかラ。」
「サヤ…」
それは諸刃の剣ということ。
同じ錬丹術師だからこそメイには分かる。電撃砲なるものが身体にどれ程の負担をかけるのかを。
「姉様…。」
『お前は私が自分には逆らえないと思っていたようだが、その逆だ。お前程度倒すのは容易い。だから手を出さなかった。だが、それももう今日までだ。』
「ちっ、なまいきな事言うじゃねぇか!お前の中の賢者の石が無くなれば死ぬって言うのによっ」
さんざんそう言われて脅されてきた。
だが、死ぬことなどもはや今更なのだ。
あの時一番困るのは賢者の石が無くなる事だった。
『勘違いするな。死ぬことなど今更恐れる私ではない。だが賢者の石ももうどうでもいい。奪えるものなら奪ってみせろ!』
「ちっ。ガキが…!」
「そ、そうか。お嬢ちゃんもホムンクルスだったんだな…」
「同じ…には見えねぇよな」
「……。」
対峙するエンヴィーとサヤ。
それを遠くから見るマルコー達。
出会って序盤で教えられた事だがサヤもホムンクルスである事。
賢者の石を体内に持っているのだ、と本人からさらっと言われ反応にずいぶん困ったものだった。
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