22話
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「…医者、だと…?」
『うん。私は正しい医学の知識を持ち合わせていないからちゃんと勉強して医者になりたい。』
もともとシン国でのサヤの家系は医学に秀でた一族として有名であった。
意外な決断だったのかスカーは思わず言葉を失う。サヤがどんな決断をするにせよ、まともに生きていくことが出来たらいいと少なからず思っていたのだが、それがまさか医者になりたいなどと言い出すとはスカーの予想の斜め上を行く発想だった。
「何故医者になど…」
『私の錬丹術での治療にも限界がある。アメストリスの医学を学んで錬丹術の知識と持ち合わせればもっとたくさんの人を救えると思ったから。』
それに…、と続く言葉の先、サヤはスカーを見上げた。
『貴方がまた怪我をした時、次はもっと早く治してあげられるかもしれないしね?』
「……!」
それだけだ。と彼女は笑う。
それは以前リゼンブールでも見せた穏やかな笑顔そのもの。
その場にエドかアルが居たならわかったかもしれない。
『何年かかるかわからないけど…。でもやってみるよ。』
とんでもないことを言い出したものだ。とスカーは思う。簡単な道ではないだろう。
それが私の進むと決めた道だと彼女は力強く語る瞳に本気なのだと知る。
『それで…その、もし、私が医者としてイシュヴァールに行くことが出来たら…』
「なんだ。」
『その時はスカー…、貴方も一緒に行かない?イシュヴァールへ…』
「……!」
まるで告白でもしたかのように顔を赤くするサヤに面食らったスカーは固まってしまう。
『私はそこで医者として過ごしたいと思っている。貴方はホムンクルスとの戦いが終わったらどうするんだ?』
「己れは….、」
先の事など考えた事もなかった。サヤに生きる意味を探せと偉そうに言っておきながら自分はどうするか全く頭になかったのだ。
そんなスカーにサヤは優しく話す。
『…今すぐじゃなくていいんだ。考えるだけ考えておいてほしい。返事はまた今度聞かせてくれれば…』
「…わかった。少し…考えさせてくれ」
スカーの答えにサヤは満足そうに頷いた。
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