22話
夢小説設定
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アスベックに到着して、2.3日経った時---。
「だ・か・ラ!錬丹術は龍脈の流れを読むんですヨ!」
「だからそれがわからないんだって!!」
聞こえてくるのは必死に錬丹術を教えようとするメイとこれまた必死に覚えようとするアル。
「感覚を研ぎ澄ませテ…、さんハイ!」
「出来ないよ!!」
出来ます!となんとも強引な教え方をするメイに普段は穏やかなアルもキレ気味だ。
そんな二人の声が外まで筒抜けなのは本人知る由もなく。
「こうぱーーっと!」
「もっと理論的に教えてよ!」
『まだやってるのか。メイとアルは…』
「匿ってもらってすまないな」
日課の薪拾いから帰ってきたスカーとサヤの耳にまで聞こえてきた二人の言い合いに思わずため息が。
そばでそれを聞いて微笑んでいたイシュヴァール人に申し訳なく思う。
「なに、気にするな。同じイシュヴァール人じゃないか。それにこっちはタダで医者に診てもらって助かるよ。」
「すまない」
「お嬢さんが作ってくれた薬もよく効くと評判だよ」
『……!そう、か。それは良かった』
訳ありな自分達を理由も聞かずに受け入れた彼らだったが、こちらにも利点はあるのでお互い様だ、と彼は優しく笑って言ってくれた。
「薬?」
初めて聞いた話にスカーはサヤに問う。
『マルコーさんからの処方で必要な薬の調合をしたんだ。前に貴方の傷の治療した時も私が調合した薬を使ったの覚えてないか?』
「そう、だったか…」
言われてみれば寝起きしていたテントの中でサヤが薬品の匂いを充満させていた。あまりの匂いの強烈さに思わず自分も鼻が曲がるような経験をしたのを思い出した。
『なんだその顔は』
「…。」
人は見かけによらぬものだと思っていたところ、鋭く彼女が指摘してくる。
なんでもないと大人の余裕で誤魔化すも、サヤは納得がいかない顔をしていた。
そんな時だった。
拾った薪を指定の場所に置きに行こうとした時、サヤがふと足を止める。
『…、スカー…。』
「なんだ。」
振り返らず歩いていたスカーだったが、サヤが足を止めてまで声をかけたので気になって、自分も歩みを止めて後ろを振り返った。
『………。』
「どうした、」
そう聞いてもサヤはなかなか口を開こうとしなかった。だが、数秒経ってようやくまっすぐにスカーを見上げる。
その表情は初めて会ったあの時の、友人を必死で守ろうと己の前に立ちはだかった覚悟のある顔だった。
その表情に悟ったのかスカーは黙って彼女を見つめ返す。
『私…、決めたよ。以前貴方が言った私が生かされた意味。…自分のしたい事、すべき事。』
「…そうか。」
『本当は少し前から考えてた。でもここへ来て覚悟を決めたよ。』
スカーは言った。
生かされた意味を見つけろ、と。
マイルズ少佐が言った、己の一生を投げ込む価値のあるもの。
自分が生かされた意味。
やりたい事、すべき事。
このスラムで過ごして改めて感じた。最初は無理だとずっと思っていた。自分に出来る事なんてこれっぽっちもないのだと。
だたなんとなくスカー達とともに行動して、なんとなく研究書の解読を手伝って。
ただ、なんとなく生きていく…
だけど、再びエド達と会った。
そして彼らは覚悟を決めて進もうとしている。エドとアルだけじゃない。ウィンリィさえも両親を殺したスカーへの憎しみを押し殺して前へ進もうとしていた。
このままじゃ自分だけ取り残されてしまう気がした。そんなのかっこ悪い。
だから….
今の自分に出来る事を……。
『私、医者になる。』
「……。」
『医者になってイシュヴァールに行きたい。貴方を助けた時のように今度はもっと多くのイシュヴァールの民を救いたい。』
それを一番に最初に
貴方に伝えたかった---。
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