子供たちが寝た後に私は来た時と同じように大人がたちが集まってくれた。
ドッグタグ見て取り乱した真相を話すために。
「昨日はご迷惑をかけました。」

まずは頭を下げた。

「無事に見つかって何よりだよ。」
「キラがずぶ濡れのあなたを連れて戻った時は驚いたわ。」
「見つけた時は、キラ君まで倒れるんじゃないかと思ったわ。心配のし過ぎで。」
上からバルドフェルドさん・アイシャさん・マリューさんが言った。

　こんなに人に心配されるのっていつ以来だろう？
この場所で不謹慎だが嬉しくなってしまった。

「さて、本題に入っていいかな？昨日ケースを開けたんだよね～何が書いてあったんだね？」

　全員の顔をゆっくり見回した。
一呼吸おいてうつむき加減で話し出した。

「みなさんが思っている通りです。あのタグに書いてあった、生年月日は私の物と同じです。もう1つ気になったのは、私が言った言葉ですよね？」
「あれ、どういう意味？」
いち早くキラが聞く。
「言葉で説明するよりも書いた方が早いので書きますね。」
紙に『陽月潮音』と『シオンヒヅキ』書いた。
「これは、なんて読むんですの？」
「この字で同じ読み読み方になりす。」

　それだけ言うと私は顔を横に向けた。
昨日思った事とは反対の事を思っていたからだ・・・

「私のいた、せ・国で使われていた漢字というものです。ここではファーストネイムが先でファミリーネイムが後ですが、私のいたところは反対でした。あのタグを見た時に今までの私を否定されたように感じたんです。」
顔を上げ薄く笑みを作った。
今思っていることを。
心配させたくないから・・・

「ここで書いたら『今』の自分を否定したみたいで嫌です。不思議ですね。少し前まで『陽月潮音』だったのに今は『シオンヒヅキ』です。だからここに掘ってもらいました。」

　ドッグタグを外して、テーブルにおいた。
「納得できたという事で良いのかな？｝
「はい。」
この後解散になった。


　明日はC・E・73年10月2日
物語が動き出す日
カガリとアスランから通信が入ってしばらくは、地球は平穏な日々が続いていた。
このニュースを見るまでは、少なくとも私以外の人たちは・・・




「ユニウスセブンが動いているって、どういう事ですか？」
キラがバルドフェルドに聞く。
「詳しい事は分からない。シオンい聞いた方が早いんじゃないか？」

　キラとバルドフェルドの少し後ろからテレビを見ていたシオンに視線を投げかけた。
「シオンどうなのですか？」
悲しそうにラクスの瞳は揺れる。

「動いているのは・・真実です。」
「地球に衝突というのは？」
一瞬して部屋の気ウキが、堅く冷たい物に変わった。

「・・・全部では、ありませんが落ちてきます。」
ここで1度言葉を切ってラクスを見た。
「ラクス一緒に祈りませんか？1部の道を間違えた者達のせいで、悲しむ・混乱する人々と魂のために。」

　まるで前大戦の時のラクスが演説するときのような、優しさの中にも凛とした空気が、シオンからも流れていた。
そんなシオンを見てラクスも、微笑んだ。
「そうですわね。少しでも安らかな眠りでいられる様に。祈りましょう。」



　ユニウスセブンの落下当日、私はギリギまで海にいる事を決めていた。
あの時1人でソアラを見上げていた、キラの須代姿を見たくなかったからだ。

「シオン、ここにいたんだね。」
予想通りキラは来た。
「うん。」

その時が来た。
流星群の流れ星の様に、ユニウスセブンの破片が大地に降り注いだ。

　　　　　　こんなに冷たい帳の深くで
　　　　　　貴方は一人で眠っている
　　　　　　祈りの歌声　淋しい野原を
　　　　　　小さな光が照らしている

　歌いながらラクスはシオンを見る。
まるで一緒に歌いながら、祈りを捧げましょう。という感じだったのでシオンも歌いだした。
2人の歌姫の歌声がシェルター内部を優しく包んだ。