翌日に孤児院の子供たちに紹介された。
初めはびっくりしていたけど、すぐに慣れてくれた。
改めて子供の順応性の高さに感心した。


　今は一人で海岸を歩いている。
28（？）年間いた地球と変わらないけど、どこか違う海辺。
スカートのポケットからケースを取り出した。
知らない間に入っていたアルミケース。
開けてはいけないような、開けなくては何も分からないような気分。

　覚悟を決めて開けようとした時に声をかけられた。
「何をなさっているんです？」
「ラクスさん、キラさん。」
「ま～私の事はラクスと呼んで下さい。」
「僕の事もキラで良いよ。」
「ありがとう。ラクスにキラ。」

　微笑みながら言うシオンに、キラは薄っすらと頬をそめたいたが、夕陽によって気が付かれないでいた。
シオンは、立ち上がりながらアルミケースを見せた。
「これを開けようとしていたの。」
「1人で？」
「ま～ぁ1人でなんて悲しいですわ。一緒開けましょう。」
「だったら向こうの岩場に行こう。座れるからね。」

　キラの提案でいどうをする3人。
乾いた岩が沢山あり、そこに三角形を作るよな形で座る。
開けると決めたのに、いざとなったらシオンの手は震えていた。
思わずキラが口に出す。

「無理に今開けなくてく良いと思うよ。必要な時にね。」

　言われてからキラの顔を見て、自分の手を見て考える。
それがキラの優しい性格からの言葉だと理解できた。
ラクスも心配そうに私を見ているから、問題ないよの意味を込めて笑顔を作った。
大丈夫。
私にはこの先もっと大変な状況を見て行かないきゃいけないんだから。
そう自分に言い聞かせながら、アルミケースをゆっくり開いた。

「無事みたい。」
「良かった。（ですわ）」
「ドッグタグ？USBとこれは写真かな？」
などと言いながらシオンは2枚あるドッグタグのうち1枚を手に取った。

　　　　　ここから運命の歯車が
　　　　　　　　　　　　廻り出すとも知らずに・・・・・

　キラとラクスは見ていいのか迷っていたのでUSBの表面に何かあるかと見ていた。
「・・うそ・・・な・・なんで？なんでなの？！」
「シオンどうしたの？」


　信じられない物でも見たように、シオンは目を見開いて、震える手でドッグタグを持っていた。

「信じない。だって私は『ヒヅキシオン』よ。『シオンヒヅキ』じゃないわ！！」
突然叫んだシオンに2人は驚いた。
「どうなさいましたの？」
「落ち着いて。」


カシャン
立ち上がるとシオンは走り出した。
ドッグタグを落とし事にもきがつかないで。
キラとラクスは声をかけるタイミングを失って去って行くシオンの背中を見ていた。
叫んだ意味を2人は分からないでいた。


　キラはアルミケースの蓋を閉じようとした時に、風で飛ばされた写真を拾いに走った。
「ありましたか？」
「うん。ちゃんと2枚とも・・・」
拾うとしゃがみこんで手を伸ばして写真を掴むと、キラの言葉は止まった。

　不思議に思ったラクスは、同じようにしゃがみ込みキラの手にある2枚の写真を見た。
「まぁ・・・どういうことでしょう。」
驚いているが、テンポの変わらないラクス。


　キラの手の中にある写真は1枚は、今のシオンと同じ髪の色をした赤ちゃんを抱っこしている物。
もう1枚は、違う女性がこげ茶の髪をした赤ちゃんを抱いているものだった。
　なにも共通点はないように思える写真。
なぜシオンが、あんなに取り乱したか解らないまま2人は家に帰った。