STAR13 理解者達
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「で、キラの言い分としては、途中で話をやめたシオンから聞き出そうとしている所に俺達が出くわしたと。」
「はい。」
バルドフェルドに対して、俯き加減でキラは返事をした。
「だからだってやり過ぎだと思うわ。」
「シオンは・・・とても強いわ。でもその反面。脆く・儚く・弱いそんな面もある。外見と内面のバランスが取り切れていない。
自分の事を話している様で話していない。そんな所じゃないかしら。」
「なかなか話してくれないくて、やっと話してくれそうな雰囲気にいなったのに止められて、不機嫌でいる。そんなところか少年。」
大人組であるマリュー、アイシャ、バルドフェルドに立て続けに言われてしまったキラ。
自嘲気味にキラは笑みを浮かべていた。
・・・そうですね。シオンが話してくれるまで待ちます、」
「それが賢明ってもんだな。」
キラが艦長室にいた頃ラクスは、シオンの部屋を訪ねていた。
インターフォンを押しても返事がない。
どうしようかと考えていると、ハロがカギを開けた。
「ラクス~ラクス~。」
中にいると思っていたシオンがいないのを不思議に思い、室内を詮索し始めた。
「シオンどこにいますの?」
艦内の士官室と言ってもさほど広いわけではないが、ラクスはそう声にだしてた。
そばで跳ねるピンクちゃんは、先に奥にあるトイレに跳ねて行った。
「待ってください。」
ドアの前で飛び跳ねるピンクちゃん。
「シオン~シオン~。」
ラクスはゆっくりドアを開けた。
そこには、壁に寄りかかったシオンの姿があった。
「シオン!シオン!しっかりして下さい!!」
ラクスの声が狭いトイレに響く。
海岸でシオンを発見した時の光景が、フィードバックされる。
「シオン!シオン!」
もう1度呼びかけると、緩慢な動きであったがシオンは瞼を開けた。
「ラ・・クス・・?」
「そうですわ。」
「なんで・・ここ・・に?」
「シオンとお話がしたくて、来たら倒れていましたの。どこか体調がすぐれませんか?」
心配顔のラクスに対して、シオンは薄く笑みを作る。
「心配けて、ごめん。カガリが無事にAAに来れたら、なんか気が抜けちゃったみたい。情けないね。こんなんじゃ・・・」
立ち上がろうとすると、足元がふらつくのをラクスが支えた。
「お休みになった方がよろしいのでは、ないですか?」
「平気。って言ってもこんな状態で軍艦に乗っているなんて、情けない気もするけどな。」
「なにか『ないと』とは言えない、お顔をなさってますわ。私で良ければお聞きしますが・・・」
シオンをベッドに座られて、となりにラクスも座る。
「ラクスは鋭いね。確かに『何か』あったと言えばあったし、なかったと言えばなかった。」
「キラの事ですか?」
シオンの肩がびくっと揺れた。
顔はうつむいたままでラクスからでも、はっきり見えない。
「うん・・キラの事・・・と言えばそうだし、違うと言えば違うし・・ごめん。頭の中が混乱していて、上手く言葉に出来ない…」
「そんな事ありませんはわ。シオンは普段は、はっきりと物事をおっしゃるのに、ご自分のことや周りの人の事になると、なかなかお話にならないんですね。」
「・・自分の事を言わないというより、どこまで話していいのか判らないってのが、本音。本当ならマリューさんと同い年なのに、こんな風に年下に心配かけて、情けない年上だね。」
ここまで言うとシオンは、やっとラクスの方に顔を上げた。
いつもの様に薄い笑みを作っていたが、その中にマリューにも似た年上の女性らしい柔らかさも入っていた。
同性のラクスでも『ドキッと』させるほどだった。
全ての息とし生けるものを包み込むほどの笑みだ。
固まった様に思えるラクスに声を掛けた。
「ラクス?どうしたの?」
ここで我に返ったラクスは、ようやくまともにシオンを見た。
「なんでもありませんわ。私そろそろおいとまします。」
「うん。話聞いてくれて、ありがとう。」
ドアの所でラクスは振り返った。
「シオンはちゃんと年上ですわ。」
「でもね。最近は外見年齢に近くなっている気がする。」
この言葉を背中でラクスは受けた。
嬉しくも悲しそうな声が重くのしかかった。
それを振り払うようにキラの部屋を目指した。
ラクスがキラと話ている頃シオンは、部屋以外で1人になりたくて、最後尾のガラス張りの展望室に来ていた。
ここでキラが泣いていて、お散歩中にラクスと会ったのね。
その時は外に広がっていたのは宇宙の星達の天然プラネタリウム。
今は海底にいるから、さながら天然の水族館。
床に体育座りをして、ぼーっと目の前の光景を見ていた。
「こん所にいたの?」
声の方に顔を向ければ、アイシャさんが立っていた。
誰にも会いたくなかったのが、本心。
だからここに来てからの私らしくなく、返事もしないで視線をガラス張りの方に向けた。
そんな態度でも怒った様子もなく、となりにアイシャさんは座った。
「もしかして1人でいたかった所を邪魔した?」
言ってもいなのに本音を言われて、肩がびくっと揺れた。
「図星みたいね。でも逃げないって事は、寂しくもあるのかしら?」
そう言うと『フフフ』と笑っている。
改めて言われて分からなくなった。
1人でいたかったはずなのに、誰かが来てもあまり嫌な気分にならない。
なぜ?
判らない。
今1つ分かったのは、理解してくれる人が、ここにもいてくれる事。
私はきっとバカみたいにポカンと口を開けていると思う。
突然笑いが込み上げてきた。
「アハハ~!良く解りましたね。私の内面をこんな風に的確に言う人は水泳のコーチと病院の先生ぐらいでしたよ。」
シオンはそのうち、涙を流しながら笑っていた。
「誉め言葉としてい受け取っておくわ。」
顎に手を伸ばして来るとアイシャさんは、自分の方に顔を向けた。
「肩幅があるから、誤魔かされちゃうけど、ここに来て痩せたわね。マルキ邸にいる頃もそうだったけど、慣れない環境だと食べられないし眠れないのね。その上キラと喧嘩じゃ塞ぎこむわね。」
後半に言われた事よりも前半に言われた事に対して驚き隠せなった。
変に隠してもここにいる人達には、バレてしまう可能性高いってことか。
「前半は合ってますが、キラとはケンカしてません。・・・それにしても私の事良く見てますね。こんな風にされた記憶がないんで、どうしたら良いか逆にわからなくなります。」
「あら?ご両親はいたんでしょ?」
この言葉を受けて、ゆっくりと窓をバックに立ち上がった。
「いました・・・けど・・あの人達は、忙しくてかまってくれなかったんです。」
さいごの言葉は自嘲めいた笑いと一緒に居つていた・
『ただ淋しかっただけでしょ?』と頭の片隅の私が言う。
「悪い事聞いたわね。」
「そんな事ないですよ。この世界に来る1年前に他界してますから。2人とも・・私を残して交通事故で・・・」
「珍しいわね。こんなにも自分の事を話すなんて。キラが『なかかか話してくれない』って言ってたわよ。」
「なかなか話せませんよ。私が話したことによって、みんなの考え方や行動が変わったら、歴史を変えそうで怖いんです。」
声を絞り出すようにしか言えない。
1番怖いのは、皆の方向性。
ただでさえ私の立場は、曖昧なんだから。
「そうね、シオンは、何が起きるか分かっているから臆病になるのかしら。」
さっきから感じている気配が強くなり通路を見ると、気配が弱くなった。
隠れるの下手だな。
これじゃ生身の戦いは無理だな。
「ここにいる皆は信念で、動いている連中ばっかりだから、早々変わらないわ。」
「それもそうですね。何臆病になってたんだろう?それともう1つ。」
1度だけ通路を意識して話し出した。
「私まともに人と付き合ったことないんです。恋人って意味だけじゃなくて。競泳をしている頃は、合宿や大会であまり学校にでてないし、時間がなくて空港で制服に着替えて学校なんてこともありました。学校を卒業して、お仕事しだしても表面でしか人と付き合ってませんでした。内面には誰も入れてこなかったんです。ここに来て改めて、そう思いました。人に頼ったり自分の事を話すのは、どうやらやり方が分からないらしいです。で、いいかなキラ?」
通路から『バレた』という空気が漂っているが、当の本人は顔を出す気配がない。
「完全にばれているんだから出てきたらどう?」
アイシャさんに言われて、ようやく出て来た。
その顔は、罰の悪そうな表情だった。
私は思わず『この年齢のキラも、こんな顔するんだ。落ち着いた表情だけじゃないんだ』と再確認した。
「いつからバレていたんですか?」
「私は『前半は』って言ったあたりからよ。アイシャさんはどうですか?」
「同じ所からよ。」
「え~~!!それってここに来たのと同時ですよ。なんで2人ともそんない気配を読むのが上手いんですか?僕の立場ないじゃないですか。」
少し怒ったような拗ねた感じで言うキラが、かわいく感じた。
思わずアイシャさんと顔を見合わせると、噴出した。
「さ~あとはキラにかませるわ。またねシオン。」
「はい。また。」
アイシャさん気配が消えてから、キラの顔を見た。
まだ釈然としないのか、どっか膨れたような顔に、また笑ってしまった。
「シオン笑いすぎ!!」
そういいながらキラはシオンから目が離せないでした。
いつもは、微笑んでるだけのシオンが声を出して楽しそうに笑っている。
こんなふうに笑う姿が見られたので、キラは自分の感情を流すことにした。
「ご・・ふふふ・・ごめんね。キラ、あ~笑った。」
シオンは胸の辺りで両手を合わせて『ごめんね』と首を傾けながらポーズをとる。
笑い過ぎて涙目になっているシオンは、普段の何倍もかわいく見えた。
キラは、抱きしめたい、キスしたいと邪な考えが頭に浮かんだが隠しながらシオンに言葉を掛けた。。
「楽しそうな姿が見られて嬉しいよ。『あ~シオンはこんな風に笑うんだ。』って姿が見られたしね。」
「なによ!その言い方。普段私が笑ってないみたいじゃない。」
それまでは優しい笑みを浮かべていたキラは、急に哀しげに瞳が揺れたと思ったら、顔を伏せてしまった。
「そうだよ。シオンは笑っている様で笑ってなかった。少なくとも声を出して笑ってるのは初めて見たよ。それを1番に見られたのは嬉しいよ。」
言われてハッとした。
声を出して笑っていたことなんてなった。
「もしかして色々心配かけた?」
キラの表情が気になって、覗き込むように聞いた。
「シオン。」
呼ばれた声が低くて怒っているのかと思い体を縮めるて目を閉じていると、強い力で引っ張られて気が付けばキラの腕の中にいた。
「シオン。」
さっきとは違い優しい声で名前を呼ばれシオンは、思わず顔を上げるといきなりキスをされた。
とっさの事で目を閉じる事すら忘れていた。
だんだんと深いものに変わっていく。
舌でシオンの弱い所ばかりを攻める。
体の力が抜けて来たのを、見計らって腰に回した腕に力を入れた。
キラが唇を離すとシオンは、肩で息をしていた。
それだけ激しくキラは攻めていた。
ぴったり密着しているのでキラの顔を見るには、自然的に顔を上げるしかない。
今のシオンは、瞳を潤ませて頬を桃色に染め上げている。
そんな顔を見てキラは高ぶった気持ちを抑えられなくなった。
「一応聞くけど、このまま部屋に戻って続きするよ。拒否権なんてないからね。」
返事す聞かないで、横抱きにするとキラはこの場を去った。
翌日シオンとしたら珍しく起きたのは昼近くだった。
腰をさすりながら通路を歩いたのを何人も、見られていた。
その傍らに満面の笑みのキラが居た事を記しておく。
「はい。」
バルドフェルドに対して、俯き加減でキラは返事をした。
「だからだってやり過ぎだと思うわ。」
「シオンは・・・とても強いわ。でもその反面。脆く・儚く・弱いそんな面もある。外見と内面のバランスが取り切れていない。
自分の事を話している様で話していない。そんな所じゃないかしら。」
「なかなか話してくれないくて、やっと話してくれそうな雰囲気にいなったのに止められて、不機嫌でいる。そんなところか少年。」
大人組であるマリュー、アイシャ、バルドフェルドに立て続けに言われてしまったキラ。
自嘲気味にキラは笑みを浮かべていた。
・・・そうですね。シオンが話してくれるまで待ちます、」
「それが賢明ってもんだな。」
キラが艦長室にいた頃ラクスは、シオンの部屋を訪ねていた。
インターフォンを押しても返事がない。
どうしようかと考えていると、ハロがカギを開けた。
「ラクス~ラクス~。」
中にいると思っていたシオンがいないのを不思議に思い、室内を詮索し始めた。
「シオンどこにいますの?」
艦内の士官室と言ってもさほど広いわけではないが、ラクスはそう声にだしてた。
そばで跳ねるピンクちゃんは、先に奥にあるトイレに跳ねて行った。
「待ってください。」
ドアの前で飛び跳ねるピンクちゃん。
「シオン~シオン~。」
ラクスはゆっくりドアを開けた。
そこには、壁に寄りかかったシオンの姿があった。
「シオン!シオン!しっかりして下さい!!」
ラクスの声が狭いトイレに響く。
海岸でシオンを発見した時の光景が、フィードバックされる。
「シオン!シオン!」
もう1度呼びかけると、緩慢な動きであったがシオンは瞼を開けた。
「ラ・・クス・・?」
「そうですわ。」
「なんで・・ここ・・に?」
「シオンとお話がしたくて、来たら倒れていましたの。どこか体調がすぐれませんか?」
心配顔のラクスに対して、シオンは薄く笑みを作る。
「心配けて、ごめん。カガリが無事にAAに来れたら、なんか気が抜けちゃったみたい。情けないね。こんなんじゃ・・・」
立ち上がろうとすると、足元がふらつくのをラクスが支えた。
「お休みになった方がよろしいのでは、ないですか?」
「平気。って言ってもこんな状態で軍艦に乗っているなんて、情けない気もするけどな。」
「なにか『ないと』とは言えない、お顔をなさってますわ。私で良ければお聞きしますが・・・」
シオンをベッドに座られて、となりにラクスも座る。
「ラクスは鋭いね。確かに『何か』あったと言えばあったし、なかったと言えばなかった。」
「キラの事ですか?」
シオンの肩がびくっと揺れた。
顔はうつむいたままでラクスからでも、はっきり見えない。
「うん・・キラの事・・・と言えばそうだし、違うと言えば違うし・・ごめん。頭の中が混乱していて、上手く言葉に出来ない…」
「そんな事ありませんはわ。シオンは普段は、はっきりと物事をおっしゃるのに、ご自分のことや周りの人の事になると、なかなかお話にならないんですね。」
「・・自分の事を言わないというより、どこまで話していいのか判らないってのが、本音。本当ならマリューさんと同い年なのに、こんな風に年下に心配かけて、情けない年上だね。」
ここまで言うとシオンは、やっとラクスの方に顔を上げた。
いつもの様に薄い笑みを作っていたが、その中にマリューにも似た年上の女性らしい柔らかさも入っていた。
同性のラクスでも『ドキッと』させるほどだった。
全ての息とし生けるものを包み込むほどの笑みだ。
固まった様に思えるラクスに声を掛けた。
「ラクス?どうしたの?」
ここで我に返ったラクスは、ようやくまともにシオンを見た。
「なんでもありませんわ。私そろそろおいとまします。」
「うん。話聞いてくれて、ありがとう。」
ドアの所でラクスは振り返った。
「シオンはちゃんと年上ですわ。」
「でもね。最近は外見年齢に近くなっている気がする。」
この言葉を背中でラクスは受けた。
嬉しくも悲しそうな声が重くのしかかった。
それを振り払うようにキラの部屋を目指した。
ラクスがキラと話ている頃シオンは、部屋以外で1人になりたくて、最後尾のガラス張りの展望室に来ていた。
ここでキラが泣いていて、お散歩中にラクスと会ったのね。
その時は外に広がっていたのは宇宙の星達の天然プラネタリウム。
今は海底にいるから、さながら天然の水族館。
床に体育座りをして、ぼーっと目の前の光景を見ていた。
「こん所にいたの?」
声の方に顔を向ければ、アイシャさんが立っていた。
誰にも会いたくなかったのが、本心。
だからここに来てからの私らしくなく、返事もしないで視線をガラス張りの方に向けた。
そんな態度でも怒った様子もなく、となりにアイシャさんは座った。
「もしかして1人でいたかった所を邪魔した?」
言ってもいなのに本音を言われて、肩がびくっと揺れた。
「図星みたいね。でも逃げないって事は、寂しくもあるのかしら?」
そう言うと『フフフ』と笑っている。
改めて言われて分からなくなった。
1人でいたかったはずなのに、誰かが来てもあまり嫌な気分にならない。
なぜ?
判らない。
今1つ分かったのは、理解してくれる人が、ここにもいてくれる事。
私はきっとバカみたいにポカンと口を開けていると思う。
突然笑いが込み上げてきた。
「アハハ~!良く解りましたね。私の内面をこんな風に的確に言う人は水泳のコーチと病院の先生ぐらいでしたよ。」
シオンはそのうち、涙を流しながら笑っていた。
「誉め言葉としてい受け取っておくわ。」
顎に手を伸ばして来るとアイシャさんは、自分の方に顔を向けた。
「肩幅があるから、誤魔かされちゃうけど、ここに来て痩せたわね。マルキ邸にいる頃もそうだったけど、慣れない環境だと食べられないし眠れないのね。その上キラと喧嘩じゃ塞ぎこむわね。」
後半に言われた事よりも前半に言われた事に対して驚き隠せなった。
変に隠してもここにいる人達には、バレてしまう可能性高いってことか。
「前半は合ってますが、キラとはケンカしてません。・・・それにしても私の事良く見てますね。こんな風にされた記憶がないんで、どうしたら良いか逆にわからなくなります。」
「あら?ご両親はいたんでしょ?」
この言葉を受けて、ゆっくりと窓をバックに立ち上がった。
「いました・・・けど・・あの人達は、忙しくてかまってくれなかったんです。」
さいごの言葉は自嘲めいた笑いと一緒に居つていた・
『ただ淋しかっただけでしょ?』と頭の片隅の私が言う。
「悪い事聞いたわね。」
「そんな事ないですよ。この世界に来る1年前に他界してますから。2人とも・・私を残して交通事故で・・・」
「珍しいわね。こんなにも自分の事を話すなんて。キラが『なかかか話してくれない』って言ってたわよ。」
「なかなか話せませんよ。私が話したことによって、みんなの考え方や行動が変わったら、歴史を変えそうで怖いんです。」
声を絞り出すようにしか言えない。
1番怖いのは、皆の方向性。
ただでさえ私の立場は、曖昧なんだから。
「そうね、シオンは、何が起きるか分かっているから臆病になるのかしら。」
さっきから感じている気配が強くなり通路を見ると、気配が弱くなった。
隠れるの下手だな。
これじゃ生身の戦いは無理だな。
「ここにいる皆は信念で、動いている連中ばっかりだから、早々変わらないわ。」
「それもそうですね。何臆病になってたんだろう?それともう1つ。」
1度だけ通路を意識して話し出した。
「私まともに人と付き合ったことないんです。恋人って意味だけじゃなくて。競泳をしている頃は、合宿や大会であまり学校にでてないし、時間がなくて空港で制服に着替えて学校なんてこともありました。学校を卒業して、お仕事しだしても表面でしか人と付き合ってませんでした。内面には誰も入れてこなかったんです。ここに来て改めて、そう思いました。人に頼ったり自分の事を話すのは、どうやらやり方が分からないらしいです。で、いいかなキラ?」
通路から『バレた』という空気が漂っているが、当の本人は顔を出す気配がない。
「完全にばれているんだから出てきたらどう?」
アイシャさんに言われて、ようやく出て来た。
その顔は、罰の悪そうな表情だった。
私は思わず『この年齢のキラも、こんな顔するんだ。落ち着いた表情だけじゃないんだ』と再確認した。
「いつからバレていたんですか?」
「私は『前半は』って言ったあたりからよ。アイシャさんはどうですか?」
「同じ所からよ。」
「え~~!!それってここに来たのと同時ですよ。なんで2人ともそんない気配を読むのが上手いんですか?僕の立場ないじゃないですか。」
少し怒ったような拗ねた感じで言うキラが、かわいく感じた。
思わずアイシャさんと顔を見合わせると、噴出した。
「さ~あとはキラにかませるわ。またねシオン。」
「はい。また。」
アイシャさん気配が消えてから、キラの顔を見た。
まだ釈然としないのか、どっか膨れたような顔に、また笑ってしまった。
「シオン笑いすぎ!!」
そういいながらキラはシオンから目が離せないでした。
いつもは、微笑んでるだけのシオンが声を出して楽しそうに笑っている。
こんなふうに笑う姿が見られたので、キラは自分の感情を流すことにした。
「ご・・ふふふ・・ごめんね。キラ、あ~笑った。」
シオンは胸の辺りで両手を合わせて『ごめんね』と首を傾けながらポーズをとる。
笑い過ぎて涙目になっているシオンは、普段の何倍もかわいく見えた。
キラは、抱きしめたい、キスしたいと邪な考えが頭に浮かんだが隠しながらシオンに言葉を掛けた。。
「楽しそうな姿が見られて嬉しいよ。『あ~シオンはこんな風に笑うんだ。』って姿が見られたしね。」
「なによ!その言い方。普段私が笑ってないみたいじゃない。」
それまでは優しい笑みを浮かべていたキラは、急に哀しげに瞳が揺れたと思ったら、顔を伏せてしまった。
「そうだよ。シオンは笑っている様で笑ってなかった。少なくとも声を出して笑ってるのは初めて見たよ。それを1番に見られたのは嬉しいよ。」
言われてハッとした。
声を出して笑っていたことなんてなった。
「もしかして色々心配かけた?」
キラの表情が気になって、覗き込むように聞いた。
「シオン。」
呼ばれた声が低くて怒っているのかと思い体を縮めるて目を閉じていると、強い力で引っ張られて気が付けばキラの腕の中にいた。
「シオン。」
さっきとは違い優しい声で名前を呼ばれシオンは、思わず顔を上げるといきなりキスをされた。
とっさの事で目を閉じる事すら忘れていた。
だんだんと深いものに変わっていく。
舌でシオンの弱い所ばかりを攻める。
体の力が抜けて来たのを、見計らって腰に回した腕に力を入れた。
キラが唇を離すとシオンは、肩で息をしていた。
それだけ激しくキラは攻めていた。
ぴったり密着しているのでキラの顔を見るには、自然的に顔を上げるしかない。
今のシオンは、瞳を潤ませて頬を桃色に染め上げている。
そんな顔を見てキラは高ぶった気持ちを抑えられなくなった。
「一応聞くけど、このまま部屋に戻って続きするよ。拒否権なんてないからね。」
返事す聞かないで、横抱きにするとキラはこの場を去った。
翌日シオンとしたら珍しく起きたのは昼近くだった。
腰をさすりながら通路を歩いたのを何人も、見られていた。
その傍らに満面の笑みのキラが居た事を記しておく。