6 想いは歌と共に光は水と共に消える
名前は?
この小説の夢小説設定テニスの王子様
不二周助の後輩彼女
リョーマと微妙な三角関係
後輩に立海メンバーでます。
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こんな状態で人の手を借りて
前を向いて歩こうとする
私は罪造りですか?
6 想いは歌と共に光は水と共に消える
週明けリョーマと[#dn=1#]は一緒に登校した。
朝練で会ったテニス部のメンバーは、驚きを隠せなかったが誰もが口にはしなかった。
不二が[#dn=1#]の記憶を失くしてからずっと、1人で登校していた。
これも自然の流れと様子を見ていた。
昨日の事を話すために昼休み不二先輩に会いに3年の階に行った。
上手く教室で捕まえることができた。
「めずらしいね。越前が僕を訪ねてくるなんて。どうしたの?」
「担当直入に言いますけど、[#dn=1#]土・日って家にとまったんスっよ。」
ほんに一瞬だけ開眼して顔色が変わったが、すぐにいつもの笑顔に戻った。
「なんだ、やっぱり付き合ってるんだね。わざわざ報告に来たの?まったく手が早いね。」
オレは手を強くにぐっていたけど、さらに力が加わり微かに震えていた。
「本当に・・・[#dn=1#]をミクスドのパートナー以外にも・・・パートナとして取っちゃってもイイんっスか?」
かなり挑発する言葉を投げつけた。
なのに・・・
「別にいちいち僕に許可取る必要なんてないよ。好きなようにして良いんじゃない。」
言われた言葉を疑った。
この人は、オレの知っている『不二周助』じゃない。
「もうイイっス。」
なにがあっても、あんたに[#dn=1#]は渡さない。
そう強く思いながら3年の階を後にした。
どんなにみんながいてもずっと『ひとり』に感じていた。
土曜日に初めてリョーマくんの前で泣いた。
先輩が、階段から落ちた日に泣いたきり、絶対に人前で泣かなかったのに
『泣いていいんだよ。誰も攻めないよ。』
魔法の言葉を聞いたように私は、涙をあふれさせた。
そのままリョーマくんに抱きしめられた眠ってしまった。
あんなに安堵した中で眠ったのは久しぶりだった。
目が覚めた時も、そのまま抱きしめられていた。
でも、リョーマくんはリョーマくんで、先輩じゃない。
どんなに変わっても私は
『周助先輩あなたが、好きです。』
そばにいて時空を超えても
ふたりのある未来
残っているなら
授業をサボリいつものように屋上で過ごそうと思い、重いドアを開けると歌声が聞こえてきた。
どことなく知っている声のように感じている[#dn=1#]だった。
なんて切ない表情してるんだよ。
空に溶けそうなほど儚く見える。
途中で、膝をガクリと折れて座りこんだ。
「本当にまだ残っているのかな?私たちに未来なんて・・・」
そばにいるオレに気が付かないらしく、涙声で、そうつぶやいていた。
いつものオレなら声なんてかけないけど、[#dn=1#]は別。
「泣かなくても、なにも変わらない。この前も言ったじゃん。泣いて良いって。今のオマエは、泣いても誰も何も言えない。それぐらいの状況だよ。」
頭をなでながら言うと、どんどん瞳から涙があふれ出していた。
人前で泣けないってことに、一つ疑問が浮かんだ。
肩の辺りで泣き止んだ気配がしたから聞いてみた。
「不二先輩の前でも泣いたことなかったの?」
腕の中にいる[#dn=1#]の体が微かに震えた。
「ごめん。今聞くことでもなかった。」
「・・1回だけあるよ。両親が海外に行った日の夜。でもこんなな風じゃなくて、涙をこぼすぐらいだっ・・た・・・よ・・」
「え?[#dn=1#]!」
顔を覗き込むと、おだやかな寝息を立てていた。
「なんだ寝ちゃったのか。眠り姫みたい。」
頬にキスを1つ落として抱きなおした。
「いつもそばにいるよ。もっとオレを頼ってよ。[#dn=1#]・・・」
オレなら、こんな悲しい涙を流させない。
どんな時も。
「不二先輩・・アンタも同じ想いだったはず・・だよね。」
もう1度寝顔を覗き込もうとすると、乾いた風が吹いてきた。
[#dn=1#]の心の中にも、この風が色んな物を吹き飛ばしてくれればいいのに。
リョーマがそばにいるようになりだしてから、少しづつであったも、いつもの[#dn=1#]に近づいていた。
たとえそれが、どんなに表面的なものでも・・・・・
こうなってからは、1年生の廊下を歩くと前以上に[#dn=1#]を非難する言葉や通った後に『くすくす』笑いながら指をさす光景が増えた。
そのつど隣にいるリョーマは『[#dn=1#]は気にすることなんて何もないよ』そう言っていた。
この言葉に答えよう笑顔を返そうするが、微笑むことすらできないでいた。
そんな[#dn=1#]を見ると『無理しない』そう言って[#dn=1#]の手を握っていた。
なんとか過ごしていたが、金曜日に思いもよらない出来事が起きた。
[#dn=1#]が外掃除をしていると『ザバーン』という音と『つめた~~い~~~』という声が同時に聞こえてきた。
慌ててリョーマは行くと、ずぶ濡れの[#dn=1#]がいた。
どうやら上の階(1年生の階)から[#dn=1#]を狙ったものだった。
「にゃろ~~。」
真冬じゃないとはいえ風邪をひかせたらマズいと思い学ランを頭からかけた。
「教室に戻るよ。」
「でも、これじゃ学ランが濡れちゃうよ。」
「そんなのいいから。」
こな時まで自分の心配より人の心配をするなんて[#dn=1#]らしいけど、今は自分の心配をしてほしかった。
教室に行くとほとんどの生徒はいなかった。
テニスバッグからタオルを出して渡した。
「くしゅん!」
「やっぱり寒い?」
「うん・・少しね。」
そう言いながら髪を拭いている[#dn=1#]の顔がいつもより青く見えたのは、気のせいじゃない。
外掃除の[#dn=1#]を狙って上から水をかけるなんて、なんて卑怯な事をするんだ。
そんな事を知ってか知らずか、机からノートを出して何かを書きだした。
「なに書いてるの?}
「日直日誌。先に部活いっていいよ。じゃないと走らせられるよ。」
「でも・・・」
躊躇していると。
「平気だからね。」
念を押されたれたので、しぶしぶ先に行くことにした。
「ふ~書き終わった。」
さっさと職員室に出して部活に行こう。
ドアを開けようとしたら反対に開いたので驚いたが、そこに立っている人物にもっと驚いた。
「・・・先輩・・どうしたんですか?」
「うん、ちょっとね。」
[#dn=1#]が驚くのは当然、そこに立っていたのは不二だった。
「入っても良い?」
「ええ。」
どれくらぶりだろう。
こんな風に周助先輩と向かい合って話すなんて。
ただ会えた嬉しさでいっぱいになって、なぜ先輩がここに来たのかなんて考える余裕はどこにもなった。
「どうしたの?髪が濡れてるけど。」
自分の格好を思い出して、本当の事を伏せて話した。
「あ・・掃除中に間違って水をかぶっちゃいました。」
こんな風に気にしてくれるのは、嬉しい。
でも、前だったら自分のこと以上に心配をして、この人らしなく余裕を欠いていた。
なのに今は、誰にもするのと同じ心配の仕方。
目がそう物語っている。
忘れなきゃ。
今は違うんだから。
唐突に[#dn=1#]の頬を撫出ながら不二は、こう言った。
「越前と付き合いだしたんだね。お似合いなんだから、もっと早く付き合えば良かったのに。僕の周りをうろちょろして越前に心配かけちゃダメだよ。じゃ、さよなら。」
最後の言葉は[#dn=1#]の耳には届いていなかった。
届いたとしても心は完全に拒否をした。
去って行く不二の背中に何度も『なんで、なんで』と言いたかったが言葉にならなかった。
その場にガクリと落ちるように座り込んだ。
この瞬間 [#dn=1#]の世界から全ての色が消えた。
あまりにも遅い[#dn=1#]を気にして、リョーマは教室に向かったいた。
やけに『急がないと』という思いが心の中で渦巻いていて不思議さを感じていた。
教室に入ると、うずくまっている[#dn=1#]がいた。
泣いているのかと思い、そっと声をかけた。
「[#dn=1#]。」
ゆっくりと顔を上げると虚ろな目でリョーマを見ている。
でもその目にはリョーマ自身は写っていても[#dn=1#]には見えていなかった。
ただ写っているだけ。
なにかあったのか聞きたかったが、[#dn=1#]の表情が全てを拒絶していた。
いつもと違い包んでいる空気すら何も伝えてくれない。
「大丈夫。オレがいるよ。」
抱きしめながら何度も言った。
この言葉が届いていたかは、さだかじゃない。
校庭からは不二を取り巻く女の子達の華やかな声が、聞えて来た。
リョーマは腹立たしかった。
[#dn=1#]にはこれ以上不安な思いをさせたくなくて、耳を塞いだがすでに[#dn=1#]には、聞えていなかった。
リョーマは部活を中断して送っていくことにした。
会話はなく、リョーマの左肩には自分のテニスバッグ、右肩には
[#dn=1#]のテニスバッグをかけて、左手で[#dn=1#]右手を引くようにしながら歩いていた。
家に着くと『しばらく休む』とだけ口にした。
そんな[#dn=1#]をみているだけしか出来ない、自分が歯がゆかった。
『明日は泊まれるように、オヤジに頼んでみよう』心の中で決めるリョーマだったが、この日に無理で[#dn=1#]といるか、何があったのかを聞くべきだったと、生まれて初めて後悔するのだった。
8時過ぎに不二は帰ってきた。
彼としたら遅い帰宅だ。
女の子達といても楽しくもなく、苦痛に近いぐらいで自分での居場所すらなかった。
心の中に重い石でもるかのような重さを感じていた。
それ以外にも、ぽっかりとまるで1ピースだけないパズルのような胸の空間が[#dn=1#]に『さよなら』を言ってからは2~3ピースに広がって今も、そんの穴は広がり深さも増していた。
「キミを遠ざけても『さよなら』を言っても解決しないね。それどころか何かを失ったみたいだよ。本当は、キミに何を言えば良かったのかな。」
壁に貼ってある全国優勝した時の集合写真に写っている、嬉しそうに笑っているひとりの少女に語り掛けた。
『笑っている?[#dn=2#]さんが?』こんな風に笑うんだね。
今日は、あまりにも唐突に僕の感情だけで話してしまったけど、ちゃんと向き合って話さないとダメみたいだね。
その決意はすでに遅く、[#dn=1#]と話すことはおろか会うことも出来なくなるとは、予想できない不二だった。
そうこの問題は、時間は解決してくれない・・・・・