おまけのおはなし
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ラヴロックスポートランドの一件後に約束した通り、伏黒くんが夕飯にカレーを食べに来ることになった。
約束の日の前日。
私はカレーを仕込むことにした。
(だって、カレーは一晩寝かせた方が美味しいものね)
お手本は、五条さんが(第3話で)私に作ってくれた具が大きいちょっとピリ辛な、名付けて五条さんカレー!
【材料】
ニンジン 2本
タマネギ 2個
ジャガイモ 4個
パプリカ(黄・赤) 各1個
ナス 1本
カボチャ 1/4個
牛もも肉(ブロック) 150g
カレールー(2種類) 各1/2箱分
塩胡椒、クミン 少々
赤ワイン
(五条さんに買ってきてもらった)1/2カップ
まず、カボチャ以外の野菜は、大きめに切る。
カボチャは薄切り。
フライパンに多めのサラダ油を入れ、野菜を素揚げして油をきる。
同じフライパンで牛肉を炒めてクミンをふる。水650ccを入れて煮る。
沸騰したら、一度火を止めて2種類のカレールーを入れて溶かす。
そして、素揚げした野菜を鍋に戻す。
そして、ここで。
「じゃじゃ〜ん!赤ワイン」
しかし、これが困った。
赤ワインのボトルの注ぎ口は、みっちりコルク栓で塞がれているけれど、この家には栓抜きがない。
「・・・うーん」
私はしばらく考えて、コルク栓にナイフをブスリと突き刺した。
「えいっえいっ」
そして、グリグリとナイフを動かしてなんとかコルク栓を引き抜こうとする。
(も、もうちょっと・・・)
グリグリグリグリとやり続けてあと少し。
ポンッ
コルク栓が抜けたと同時に、
「あっ」
手が滑って、赤ワインはボトルごと注ぎ口からカレーの鍋にダイブしてしまった。
ドボドボドボドボ・・・
「わーっ?!」
慌ててボトルを引き上げたものの、ボトルの半分以上の赤ワインが、カレーの中に入ってしまった。
その瞬間、
「うっ!?」
部屋中に赤ワインの香りが立ち上る。
(こ、これは大変だわ)
急いで部屋中の窓を開けて換気する。
そして、アルコールを飛ばすべくカレーの鍋を再び火にかけた。
そうして、10分後。
(これだけ火にかけたら、アルコールも飛んだかな)
と、スプーンでカレールーを一口すくって味見した。
「・・・美味しい!」
あの時、五条さんが作ってくれたカレーの味だ。上手に再現できた!
これで一晩寝かせたら、完ぺきのはず!
そして翌日。
夕方になって伏黒くんがやって来た。
「おじゃまします」
やって来たのは伏黒くん一人だったので、私は首を傾げた。
「あれ?伏黒くん、お姉さんは?」
「・・・姉は、用事で来れません」
「あ、そうなんだ。残念・・・」
「五条先生は?」
「五条さんはまだ帰ってないの。先に食べて・・・」
と、言った矢先に、
「ただいまー和紗!おかえり僕ー!」
と、五条さんが帰ってきた。
「お、恵。いらっしゃい」
「・・・おじゃましてます」
「五条さん、おかえりなさい!ベストタイミングですね」
「お腹ペコペコだよ。早く食べたいな」
「五条さんでもお腹減るんですね」
「僕のこと何だと思ってるの」
そうして、さっそくカレーを食べることに。
「いただきまーす!」
「・・・いただきます」
と、五条さんと伏黒君が一口食べる。
私はドキドキしながら、二人の様子を伺う。
「・・・どうですか?」
五条さんと伏黒君はモグモグと咀嚼しながら答える。
「うん、美味い」
「美味いです」
それを聞いて私はホッと胸を撫でおろした。
「よかったー。沢山作ったから、おかわりしてくださいね」
と、私もようやく食べ始めた。
「うん、美味しい!やっぱり一晩寝かせて正解だったなぁ」
と、自画自賛する一方で。
((・・・なんか、後味にクセがあるな))
と、五条さんと伏黒君が内心思っていることは知る由もまかった。
そうして、カレーを食べ終わった頃。
「・・・・・・」
伏黒君はうつらうつらと居眠りを始めた。
「伏黒君、大丈夫?眠いの?」
「・・・いえ、大丈夫です・・・」
と、伏黒君は言うものの、そのうちテーブルに突っ伏して深い眠りについてしまった。
「あーぁ、こんなとこで寝ちゃった。五条さん、伏黒君をソファに運んでもらえます?」
と、五条さんの方を振り向いたら、
「ん~?恵、どほしたの~?寝ちゃったのぉ~?」
と、五条さんは真っ赤な顔で、グネグネと身体を揺らしている。
「・・・五条さん、顔真っ赤ですよ」
「へへ~ぇ、そほぉ~?ふへへ」
おまけに呂律もあまり回っていない。
そんな伏黒君と五条さんの様子を見て、私は首を傾げる。
(まさか、カレーに入れた赤ワインで酔っ払ってる?でも、ちゃんとアルコール飛ばしたはずなのに。現に、私は全然平気なんだけど・・・)
と、カレーをクンクン嗅いでいたら。
「ふふふふ~ん」
「ひゃあ!?」
突然、五条さんに抱き着かれた。
「いきなり何なんですか・・・!?」
「ん~?和紗は色々頑張ってて偉いなぁと思ってねぇ。へへへへ~。いいコいいコ、よしよしよしよしよし~」
と、五条さんは私の頭をワシャワシャと撫でまわし始めた。
「や、やめてください!」
「え、嫌なの?僕によしよしされるのイヤ~?」
「イヤっていうか・・・」
「それって、僕のこと嫌いなの~?イヤ~っ、嫌わないでぇ~」
と、今度は私の頭に顎を乗っけてグリグリとこすりつけてくる。
(何、この酔っ払い!?)
なすすべもなくジッと耐えていたら、今度は五条さんまで私にもたれかかって眠ってしまった。
「重っ。五条さん、寝るならベッドで・・・」
と、私はいささか乱暴に五条さんを払いのけた。
床に転がり落ちても、それでもなお五条さんは眠り続けている。
「んー・・・」
赤く染まった肌。
グダグダに身を捩らせるせいで、めくれ上がったシャツから腹筋がはだけて見える。
「・・・・(ゴクリ)」
妙に色っぽくて、思わず目が釘付けになってしまう。
(って、私のバカバカバカ!!)
私はブンブンと被りを振って、ベッドからタオルケット二枚を持ってきて、すっかり眠り込んでしまった二人にかけてあげた。
ようやく落ち着いて、私は残りのカレーを食べ始めた。
(うん、やっぱり美味しい!)
この時の私は、自分がお酒に強い(しかもかなりの酒豪)ということに気づいていなかった。
(せっかく沢山作ったのになぁ。これじゃあ当分の間カレーだな)
今度からは、五条さんには別のカレーを作ってあげよう。
甘口の、子供向けカレーを、ね。
おわり