おまけのおはなし
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夕飯を食べ終わった頃、硝子さんが治療に来てくれた。
硝子さんは、私の身体中につけられた呪いの噛みつき痕を見て、目を瞬かせた。
「これって・・・キスマーク?」
そして、五条さんへ訝しげに視線を送った。
すると五条さんが、
「つい、がっついちゃって・・・」
「違います!!ミジンコみたいな呪いに噛まれたんです!」
悪ノリするので、私は慌てて否定した。
「そんな悪ノリいらないです!やめて!」
「アハハ。照れ屋だねぇ」
「照れとかじゃないです」
硝子さんは呆れたようにため息を吐いて、
「キスマークでも呪いにやられた傷でもなんでもいいよ。さ、治療を始めるよ」
と、言った。
「はい」
と私は頷き、まずシャツの袖をめくって両腕を出した。
硝子さんは手のひらを傷痕に添えると、
「・・・・・・」
集中するように、微かに眉をひそめた。
すると、手のひらから暖かな光が出てきて、傷痕を包むように照らした。
(これが、反転術式・・・)
傷痕はみるみるうちに消えて、腕はすっかり元通りになった。
「・・・すごい」
私が感心していると、
「さ、次は足ね」
と、硝子さんが言われて、私はスカートをたくし上げようとしたけれど、すぐその手を止めた。
「・・・五条さん」
「ん?」
「他の部屋に行っててもらえます?」
「なんで?」
「恥ずかしいからです!」
「気にしなくていいよー。僕、平気だから」
「私が嫌なんです!」
・・・と、五条さんには他の部屋に移動してもらい、私と硝子さんはリビングでふたりきりになった。
治療を受けながら、私は硝子さんにきいてみた。
「硝子さん」
「ん〜?」
「硝子さんは、五条さんの親友を知ってるんですか?」
すると、硝子さんの手がピクリと動いた。
「五条の親友?」
「はい」
「アイツがそう言ってたの?」
「はい。五条さん、言ってたんです。『強き者が弱きを助け、強きを挫く』。だから、自分は呪術師が向いてるんだって」
「・・・・・・」
「その言葉が、親友からの受け売りなんだって」
「・・・・・・」
「あの五条さんと親友だなんて、どんな人か気になっちゃって。同じ高専の人なのかなって」
「・・・・・・」
「その言葉から察するにきっと真面目な人なんだろうなぁ」
「・・・そうだね」
硝子さんは言った。
「反吐が出るくらい真面目で、綺麗事ばっか言って、それで自分の首絞めるような、大馬鹿野郎だよ」
「大馬鹿?」
そう話す硝子さんは俯いていたけれど、
「五条の親友だよ?大馬鹿に決まってるじゃん」
と、顔を上げてニッと笑った。
やっぱり高専の人なんだ。
今、その人も呪術師をしてるんですか。
そう尋ねようとしたけれど、
「さ、他に傷は?」
「あ、あと鎖骨と胸元に・・・」
「OK。見せて見せて」
と硝子さんに促され、五条さんの親友の話題をさておいて、私はガバっとシャツを脱いだ。
すると、硝子さんは驚いたように目を丸めた。
「・・・意外とおっきいんだね」
「え?」
結局、五条さんの親友について、それ以上聞くことはなかった。
おわり。