第39話 死滅回游について
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「俺も加わってやろう」
と脹相も二人に加わる。
「和紗さん」
そして、悠仁君は硝子さんを床に横たわらせ私に託すように呼び寄せると、遅れて加わり四人で『みささぎ』を取り囲んだ。
「陵先生・・・」
『みささぎ』と共に取り囲まれた先生は、自分の置かれた状況を理解していないのか気に留めていないのか、ただ俯いて立ち尽くしている。
すると、突如背後にいた『みささぎ』が両腕を陵先生にまわした。
そして、
『コレ以上、ワタシタチヲイジメルナ・・・』
と、今までにないくらいの鮮明な言葉で告げた。
『ワタシタチヲクルシメルナーーーッ!!』
その声は、まるで小さな子どものようだった。
その声を聞いて、額多之君の記憶の『きよ』を思い浮かんだ。
「・・・・・・」
私は立ち上がり、乙骨君と伏黒の間を割くようにして陵先生の前に向かう。
「鶴來さん!?」
下がるように声を上げる伏黒君を無視して、私は更に陵先生に近づく。
その次の瞬間、
「っ!」
『みささぎ』が威嚇するように片手を振るい、その風圧で私はよろめく。
「引っ込んでろよ!殺されてぇのか?」
伏黒君が私を支え、悠仁君と乙骨君が前に出る。
「待って!」
私は言った。
「待ちませんよ」
乙骨君が言った。
「あの『みささぎ』とかいう呪霊、この間にもどんどん呪力が上がってる。このままじゃ・・・」
「乙骨君に言ってない」
私は乙骨君の言葉を遮り、
「『みささぎ』」
そして、『みささぎ』に向かって言った。
「あなたは、陵先生を守りたいのね」
すると、乙骨君はハッとした顔をした。
依然、『みささぎ』は興奮状態だ。
「私達は彼を傷つけたりしない。だから、これ以上・・・」
「・・・いいんだ」
突然の声に、私は驚いて次の言葉を失う。
「いいんだ・・・もう。このまま僕を殺してくれ」
そう話しているのは、陵先生自身だ。
正気に戻ったのか。
「そうしたら、この苦しみも・・・『みささぎ』も・・・消える」
そう消え入るような声で言うと、陵先生は前のめりに倒れ込んだ。
「ケイタッ・・・」
『みささぎ』が腕を伸ばし両手で陵先生を受け止めた。
そしてゆっくり地面に降ろすのと同時に、溶けるように消えていった。
「・・・よかったぁ」
と、呟いたのは乙骨君だった。
「止まってくれて。あのままだと、本当にこの人ごと殺 わなきゃ、いけないところだった」
「とはいえ、またいつ暴走するかわからない」
伏黒君が言った。
「封印の間に監禁するしかないだろうな」
それを聞いて、悠仁君が眉をひそめる。
「その封印の間って・・・」
「あぁ。オマエが高専で初めて連れて行かれた部屋だよ」
「げ。やっぱり」
「・・・僕も連れて行かれたことある」
と、乙骨君。
私も知ってる。
以前、五条さんがそこで陵先生を尋問していた。
(・・・結局、あの日に振り戻しになってしまった)
陵先生は、自分の抱える惧れを克服して『みささぎ』を制御できていたはずなのに。
「・・・この人」
気を失った陵先生をみつめながら、悠仁君は言った。
「元々は制御出来てたんだろ?あの呪霊を。それなのにこんなことになって・・・よっぽどのことがあったんかな」
その言葉を聞いて、私はズンッとみぞおちあたりが重くなるのを感じた。
絶対に言えない。
絶対に気づかせてはならない。
陵先生のお母さんと弟さんが、宿儺の手によって殺されたということを。
その宿儺が悠仁君の中にいるということを。
そんな思いを胸の内に固めた。
「ってて・・・」
硝子さんが意識を取り戻して、ゆっくり身体を起こした。
我に返って、私は硝子さんのそばに駆け寄った。
と脹相も二人に加わる。
「和紗さん」
そして、悠仁君は硝子さんを床に横たわらせ私に託すように呼び寄せると、遅れて加わり四人で『みささぎ』を取り囲んだ。
「陵先生・・・」
『みささぎ』と共に取り囲まれた先生は、自分の置かれた状況を理解していないのか気に留めていないのか、ただ俯いて立ち尽くしている。
すると、突如背後にいた『みささぎ』が両腕を陵先生にまわした。
そして、
『コレ以上、ワタシタチヲイジメルナ・・・』
と、今までにないくらいの鮮明な言葉で告げた。
『ワタシタチヲクルシメルナーーーッ!!』
その声は、まるで小さな子どものようだった。
その声を聞いて、額多之君の記憶の『きよ』を思い浮かんだ。
「・・・・・・」
私は立ち上がり、乙骨君と伏黒の間を割くようにして陵先生の前に向かう。
「鶴來さん!?」
下がるように声を上げる伏黒君を無視して、私は更に陵先生に近づく。
その次の瞬間、
「っ!」
『みささぎ』が威嚇するように片手を振るい、その風圧で私はよろめく。
「引っ込んでろよ!殺されてぇのか?」
伏黒君が私を支え、悠仁君と乙骨君が前に出る。
「待って!」
私は言った。
「待ちませんよ」
乙骨君が言った。
「あの『みささぎ』とかいう呪霊、この間にもどんどん呪力が上がってる。このままじゃ・・・」
「乙骨君に言ってない」
私は乙骨君の言葉を遮り、
「『みささぎ』」
そして、『みささぎ』に向かって言った。
「あなたは、陵先生を守りたいのね」
すると、乙骨君はハッとした顔をした。
依然、『みささぎ』は興奮状態だ。
「私達は彼を傷つけたりしない。だから、これ以上・・・」
「・・・いいんだ」
突然の声に、私は驚いて次の言葉を失う。
「いいんだ・・・もう。このまま僕を殺してくれ」
そう話しているのは、陵先生自身だ。
正気に戻ったのか。
「そうしたら、この苦しみも・・・『みささぎ』も・・・消える」
そう消え入るような声で言うと、陵先生は前のめりに倒れ込んだ。
「ケイタッ・・・」
『みささぎ』が腕を伸ばし両手で陵先生を受け止めた。
そしてゆっくり地面に降ろすのと同時に、溶けるように消えていった。
「・・・よかったぁ」
と、呟いたのは乙骨君だった。
「止まってくれて。あのままだと、本当にこの人ごと
「とはいえ、またいつ暴走するかわからない」
伏黒君が言った。
「封印の間に監禁するしかないだろうな」
それを聞いて、悠仁君が眉をひそめる。
「その封印の間って・・・」
「あぁ。オマエが高専で初めて連れて行かれた部屋だよ」
「げ。やっぱり」
「・・・僕も連れて行かれたことある」
と、乙骨君。
私も知ってる。
以前、五条さんがそこで陵先生を尋問していた。
(・・・結局、あの日に振り戻しになってしまった)
陵先生は、自分の抱える惧れを克服して『みささぎ』を制御できていたはずなのに。
「・・・この人」
気を失った陵先生をみつめながら、悠仁君は言った。
「元々は制御出来てたんだろ?あの呪霊を。それなのにこんなことになって・・・よっぽどのことがあったんかな」
その言葉を聞いて、私はズンッとみぞおちあたりが重くなるのを感じた。
絶対に言えない。
絶対に気づかせてはならない。
陵先生のお母さんと弟さんが、宿儺の手によって殺されたということを。
その宿儺が悠仁君の中にいるということを。
そんな思いを胸の内に固めた。
「ってて・・・」
硝子さんが意識を取り戻して、ゆっくり身体を起こした。
我に返って、私は硝子さんのそばに駆け寄った。