第39話 死滅回游について
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九十九さんがいる部屋に向かって私達は廊下を進んでいく。
「なぁ、あのことって何?気になるからおせーて?」
その間も、悠仁君は私と伏黒君の間に何があったのか気になるようで伏黒君に絡んでいた。
「しつけぇぞ」
と、伏黒君は悠仁君の頭を小突いてあしらった。
いてて、と小突かれた頭を悠仁君はさする。
以前と変わらない二人のやりとりに、私はひとり密かに微笑んだ。
だけど、すぐにそれは消えた。
足りないからだ。
二人の隣に、野薔薇ちゃんがいないからだ。
(悠仁君は野薔薇ちゃんのこと知ってるのかな)
再会に高揚していた気持ちは段々としぼんでいった。
そして。
ザワッ・・・
「・・・っ」
ざらつくような気配を感じて、私はハッと息を飲んだ。
気がつけば、悠仁君も伏黒君も乙骨君も脹相も既に身構えていた。
遅れて私も身構える。
薄暗い廊下の向こう側、そこから大きな呪力を感じる。
ザワ・・・ザワ・・・
その呪力は、少しずつこちらに近づいて来る。
しかし、身構える私達の前に現れたのは思いも寄らないものだった。
「陵 先生・・・」
そう、それは陵先生だった。
陵先生は俯いたままフラフラとした足取りで歩いて来る。
途中、足がもつれて床に倒れ込む。
私は慌てて駆けつけようとするが、
「待て」
伏黒君に腕を掴まれ止められた。
「迂闊に近づくな。様子がおかしい」
「え・・・」
と私が戸惑いの声を上げた瞬間、
『ヌヌ``ウゥヌ``ウウウ~~~・・・』
陵先生の背後から特級過呪呪霊『みささぎ』が
姿を現した。
「みささぎ・・・!」
私は驚きの声を上げた。
『みささぎ』は、陵先生が制御出来るようになったはずだ。
だけど、様子が以前と違う。
まるで、初めて遭遇した時のような、凶悪な『みささぎ』に戻ったみたいだ。
そんな事を考えていたら、
「!」
『みささぎ』がその片手に硝子さんを握りしめていることに気づいた。
「硝子さん!」
硝子さんは気を失っていて、グッタリとしている。
臨戦態勢を深める中、乙骨君が鞘から刀を抜く。そして、その切先を『みささぎ』に向け斬りかかろうと深く踏み込む。
「待って、乙骨君」
私は言った。
「あの呪霊は、陵先生に取り憑いてるの。陵先生が制御出来るはずなの。だから・・・」
「陵先生って、ティモシー・シャラメ似の?」
と、口を挟んできたのは悠仁君だ。
「うん、そう・・・って、今はそんなことじゃなくって!だから、攻撃するのは待って。なんとか陵先生に・・・」
「無理ですよ」
乙骨君はキッパリと否定した。
「僕にはわかる。あの呪霊はもうあの人の言う事は聞かない。逆に、あの人が自分の内側から呪いに蝕まれている。手遅れです」
それを聞いて、私は愕然とした。
同時に、五条さんが以前話していたことを思い出していた。
───『みささぎ』が負の感情を食って内側から慶太を呪って、慶太自身が呪霊となりかねない───
否定出来なかった。
陵先生は、お母様と祐平さんを目の前で失ったんだから。
悲しみと絶望と苦しみを、陵先生の心ごと『みささぎ』が食いつぶしていくのを。
「うっ・・・!」
硝子さんの唸り声が聞こえて、私は我に返った。
その瞬間、乙骨君が刀を振るったその一閃、硝子さんの握りしめた『みささぎ』の腕が切り落とされた。
『ウウウウウウーーーーツツ』
『みささぎ』が痛みと怒りで唸り声をあげるのを横目に、悠仁君が硝子さんの元に駆けつけ救出する。
乙骨君は追い打ちをかけるようにさらに『みささぎ』に迫るが、
「!」
『みささぎ』の斬られた腕から凄まじい速度で再生していく。
「物凄い呪力量だ」
乙骨君が刀を構え直しながら呟く。
「リカちゃんと同じか、もしかしたらそれ以上か」
「同時にやりましょう」
乙骨君に並んで伏黒君も構える。
「再生する時間も与えず畳みかける」
という伏黒君の言葉に、乙骨君が頷く。
「なぁ、あのことって何?気になるからおせーて?」
その間も、悠仁君は私と伏黒君の間に何があったのか気になるようで伏黒君に絡んでいた。
「しつけぇぞ」
と、伏黒君は悠仁君の頭を小突いてあしらった。
いてて、と小突かれた頭を悠仁君はさする。
以前と変わらない二人のやりとりに、私はひとり密かに微笑んだ。
だけど、すぐにそれは消えた。
足りないからだ。
二人の隣に、野薔薇ちゃんがいないからだ。
(悠仁君は野薔薇ちゃんのこと知ってるのかな)
再会に高揚していた気持ちは段々としぼんでいった。
そして。
ザワッ・・・
「・・・っ」
ざらつくような気配を感じて、私はハッと息を飲んだ。
気がつけば、悠仁君も伏黒君も乙骨君も脹相も既に身構えていた。
遅れて私も身構える。
薄暗い廊下の向こう側、そこから大きな呪力を感じる。
ザワ・・・ザワ・・・
その呪力は、少しずつこちらに近づいて来る。
しかし、身構える私達の前に現れたのは思いも寄らないものだった。
「
そう、それは陵先生だった。
陵先生は俯いたままフラフラとした足取りで歩いて来る。
途中、足がもつれて床に倒れ込む。
私は慌てて駆けつけようとするが、
「待て」
伏黒君に腕を掴まれ止められた。
「迂闊に近づくな。様子がおかしい」
「え・・・」
と私が戸惑いの声を上げた瞬間、
『ヌヌ``ウゥヌ``ウウウ~~~・・・』
陵先生の背後から特級過呪呪霊『みささぎ』が
姿を現した。
「みささぎ・・・!」
私は驚きの声を上げた。
『みささぎ』は、陵先生が制御出来るようになったはずだ。
だけど、様子が以前と違う。
まるで、初めて遭遇した時のような、凶悪な『みささぎ』に戻ったみたいだ。
そんな事を考えていたら、
「!」
『みささぎ』がその片手に硝子さんを握りしめていることに気づいた。
「硝子さん!」
硝子さんは気を失っていて、グッタリとしている。
臨戦態勢を深める中、乙骨君が鞘から刀を抜く。そして、その切先を『みささぎ』に向け斬りかかろうと深く踏み込む。
「待って、乙骨君」
私は言った。
「あの呪霊は、陵先生に取り憑いてるの。陵先生が制御出来るはずなの。だから・・・」
「陵先生って、ティモシー・シャラメ似の?」
と、口を挟んできたのは悠仁君だ。
「うん、そう・・・って、今はそんなことじゃなくって!だから、攻撃するのは待って。なんとか陵先生に・・・」
「無理ですよ」
乙骨君はキッパリと否定した。
「僕にはわかる。あの呪霊はもうあの人の言う事は聞かない。逆に、あの人が自分の内側から呪いに蝕まれている。手遅れです」
それを聞いて、私は愕然とした。
同時に、五条さんが以前話していたことを思い出していた。
───『みささぎ』が負の感情を食って内側から慶太を呪って、慶太自身が呪霊となりかねない───
否定出来なかった。
陵先生は、お母様と祐平さんを目の前で失ったんだから。
悲しみと絶望と苦しみを、陵先生の心ごと『みささぎ』が食いつぶしていくのを。
「うっ・・・!」
硝子さんの唸り声が聞こえて、私は我に返った。
その瞬間、乙骨君が刀を振るったその一閃、硝子さんの握りしめた『みささぎ』の腕が切り落とされた。
『ウウウウウウーーーーツツ』
『みささぎ』が痛みと怒りで唸り声をあげるのを横目に、悠仁君が硝子さんの元に駆けつけ救出する。
乙骨君は追い打ちをかけるようにさらに『みささぎ』に迫るが、
「!」
『みささぎ』の斬られた腕から凄まじい速度で再生していく。
「物凄い呪力量だ」
乙骨君が刀を構え直しながら呟く。
「リカちゃんと同じか、もしかしたらそれ以上か」
「同時にやりましょう」
乙骨君に並んで伏黒君も構える。
「再生する時間も与えず畳みかける」
という伏黒君の言葉に、乙骨君が頷く。