第39話 死滅回游について
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「おかえり、悠仁君」
と言った次の瞬間、襟元を掴まれグイっと後ろに引っ張られた。
「わぁ!?」
驚いて振り返り見ると、脹相がこめかみに青筋立てて私を見下ろしていた。
「な、何・・・」
「お前は、悠仁の姉のようなものなんだろう?」
「は?」
「普通、姉と弟はあんな密着して抱き合うことなどしない。それに、お前は五条悟の妻なのだろう?夫がいながら他の男と抱擁するとはいかがなものかな」
「はぁ・・・」
よくわからないいちゃもんをつけられて、私は唖然とするばかり。
(っていうか、まだ妻じゃないし・・・)
「あーもー、やめろよ」
すると、悠仁君が脹相にたしなめるように言った。
「そうやっていちいち俺の兄貴面すんなよな」
「悠仁~・・・」
「和紗さん、あの人は・・・九十九さんっている?」
怒られてしょんぼりする脹相を無視して、悠仁君は私に尋ねた。
私はハッとして頷く。
「うん」
「そっか。俺達、天元様に会いたいんだよ。九十九さんも一緒に・・・」
「うん。九十九さんも悠仁君達が戻るのを待ってたの」
「よし、行こう」
と悠仁君は歩き出す。
すかさず脹相がその後ろに続く。
そして伏黒君と乙骨君、私も続いた。
「乙骨君」
と、私は乙骨君の隣に並んだ。
「ありがとう、悠仁君を連れ戻してくれて。それに・・・ごめんなさい」
「え?」
私の言葉に乙骨君は目を瞬かせた。
私は少し口籠った後、言葉を続けた。
「私、乙骨君のこと信用してなかった。総監部の命令に従って悠仁君を処刑するものだと思っていた」
「えっ?」
「だって、乙骨君が悠仁君のこと怒っていると思っていたから・・・」
乙骨君は瞬きを何度か繰り返した後、ふっと表情を和らげた。
「和紗さんが謝ることなんてないですよ」
「でも・・・」
「虎杖君の苦しみは、僕もわかるんです。僕もかつて身に余るほどの大きな力を背負ったことがあるから・・・」
「・・・・・・」
以前、五条さんから聞いた話を思い出した。
特級過呪呪霊。
乙骨君が呪霊に憑りつかれていたという話を。
───陵 先生と同じように。
「だから、虎杖君にはひとかけらの怒りも抱いてない。それに、五条先生や呪術高専のみんなが・・・僕の大事な人達が、大事に思っている人だから」
と、乙骨君は淀みのない声色で言った。
(それなのに私は・・・)
伏黒君が乙骨君は信頼できる人だって言っていたのに。
乙骨君にだけじゃなく、伏黒君に対しても申し訳ない気持ちになる。
「伏黒君もごめんね・・・」
「あ?」
突然話を振られて伏黒君は不可解そうに声を上げた。
「大丈夫だって言ってくれたのに、信じてなくて。それに・・・」
それに・・・話しながら思い出す。
『好きだ』
寄せられた気持ちに全く気付かなかったことも。
ちゃんと答えられずにいることも。
「あ、あのことは・・・!」
と、焦ったような声で伏黒君が言った。
それで私は我に返って立ち止まる。
つられて乙骨君も、先を歩いていた悠仁君と脹相も立ち止まり振り返る。
「あのことはもう忘れてくれ」
と、伏黒君は言った。
あのこととは、きっとあの告白のことだ。
どう答えればいいのかわからずに黙っていると、
「あのことって何~?」
興味津々に悠仁君が歩み寄って訊いてきた。
乙骨君も気になっている様子でこちらにジッと視線を向ける。
それで私と伏黒君は思わず赤面してしまう。
「あれ?何この空気」
と、悠仁君はますます好奇の目を向ける。
「うるせー!さっさと行くぞ!」
と、伏黒君は振り切る様にズカズカと歩いて行ってしまった。
「あ、おい、待てよー。伏黒~」
「悠仁っ」
と、追いかけるように悠仁君達も続く。
「・・・・・・」
私は赤らむ両の頬を押さえながら、人知れずほぅっと息を吐いた。
と言った次の瞬間、襟元を掴まれグイっと後ろに引っ張られた。
「わぁ!?」
驚いて振り返り見ると、脹相がこめかみに青筋立てて私を見下ろしていた。
「な、何・・・」
「お前は、悠仁の姉のようなものなんだろう?」
「は?」
「普通、姉と弟はあんな密着して抱き合うことなどしない。それに、お前は五条悟の妻なのだろう?夫がいながら他の男と抱擁するとはいかがなものかな」
「はぁ・・・」
よくわからないいちゃもんをつけられて、私は唖然とするばかり。
(っていうか、まだ妻じゃないし・・・)
「あーもー、やめろよ」
すると、悠仁君が脹相にたしなめるように言った。
「そうやっていちいち俺の兄貴面すんなよな」
「悠仁~・・・」
「和紗さん、あの人は・・・九十九さんっている?」
怒られてしょんぼりする脹相を無視して、悠仁君は私に尋ねた。
私はハッとして頷く。
「うん」
「そっか。俺達、天元様に会いたいんだよ。九十九さんも一緒に・・・」
「うん。九十九さんも悠仁君達が戻るのを待ってたの」
「よし、行こう」
と悠仁君は歩き出す。
すかさず脹相がその後ろに続く。
そして伏黒君と乙骨君、私も続いた。
「乙骨君」
と、私は乙骨君の隣に並んだ。
「ありがとう、悠仁君を連れ戻してくれて。それに・・・ごめんなさい」
「え?」
私の言葉に乙骨君は目を瞬かせた。
私は少し口籠った後、言葉を続けた。
「私、乙骨君のこと信用してなかった。総監部の命令に従って悠仁君を処刑するものだと思っていた」
「えっ?」
「だって、乙骨君が悠仁君のこと怒っていると思っていたから・・・」
乙骨君は瞬きを何度か繰り返した後、ふっと表情を和らげた。
「和紗さんが謝ることなんてないですよ」
「でも・・・」
「虎杖君の苦しみは、僕もわかるんです。僕もかつて身に余るほどの大きな力を背負ったことがあるから・・・」
「・・・・・・」
以前、五条さんから聞いた話を思い出した。
特級過呪呪霊。
乙骨君が呪霊に憑りつかれていたという話を。
───
「だから、虎杖君にはひとかけらの怒りも抱いてない。それに、五条先生や呪術高専のみんなが・・・僕の大事な人達が、大事に思っている人だから」
と、乙骨君は淀みのない声色で言った。
(それなのに私は・・・)
伏黒君が乙骨君は信頼できる人だって言っていたのに。
乙骨君にだけじゃなく、伏黒君に対しても申し訳ない気持ちになる。
「伏黒君もごめんね・・・」
「あ?」
突然話を振られて伏黒君は不可解そうに声を上げた。
「大丈夫だって言ってくれたのに、信じてなくて。それに・・・」
それに・・・話しながら思い出す。
『好きだ』
寄せられた気持ちに全く気付かなかったことも。
ちゃんと答えられずにいることも。
「あ、あのことは・・・!」
と、焦ったような声で伏黒君が言った。
それで私は我に返って立ち止まる。
つられて乙骨君も、先を歩いていた悠仁君と脹相も立ち止まり振り返る。
「あのことはもう忘れてくれ」
と、伏黒君は言った。
あのこととは、きっとあの告白のことだ。
どう答えればいいのかわからずに黙っていると、
「あのことって何~?」
興味津々に悠仁君が歩み寄って訊いてきた。
乙骨君も気になっている様子でこちらにジッと視線を向ける。
それで私と伏黒君は思わず赤面してしまう。
「あれ?何この空気」
と、悠仁君はますます好奇の目を向ける。
「うるせー!さっさと行くぞ!」
と、伏黒君は振り切る様にズカズカと歩いて行ってしまった。
「あ、おい、待てよー。伏黒~」
「悠仁っ」
と、追いかけるように悠仁君達も続く。
「・・・・・・」
私は赤らむ両の頬を押さえながら、人知れずほぅっと息を吐いた。
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