第38話 額多之君
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紗樹ちゃんのお母さんに案内されて店の中に入る。
ショーケースは空っぽで、以前に来たときは綺麗な花が生けられた花瓶には、枯れて萎れたものがそのまま放置されている。
「・・・もしもし」
紗樹ちゃんのお母さんに促されて、店舗用の電話に出た。
すると受話器の向こう側から、
「久しいね、和紗」
懐かしい声が聞こえてきた。
『和紗』
私の名を呼ぶ、柔らかな傑君の声。
「君がここに来ているという事は、成功したんだね。母親から術式を返してもらうことに」
ううん、違う。
これは。
「・・・羂索」
私は言った。
「一体どういうつもりなの」
「ん?」
「どうして私の身体に『額多之君』が?」
「あぁ。それも返してもらえたんだ」
羂索はさも愉快そうに話を始めた。
「私はあの日、君の可能性を見た。それは、術式のことだけじゃない。君に呪いに対する耐性があると感じた。それで、昏睡状態になった君に『額多之君』の髪を飲み込ませたんだ」
「・・・・・・」
「それがビンゴ!そりゃそうだよね、君は糠田が森の『造砡師』の子孫なんだから。『額多之君』の呪いなんかなんてことないよね」
「・・・・・・」
「でも、あの気高い姫君を君が飼いならせるかは・・・」
「うるせぇよ」
私は言った。
「そんなことは訊いてない。訊かれたことだけ答えろ」
「・・・・・・」
羂索はビックリしたように言葉を失った後、喉を震わせて笑い始めた。
「クックックッ。ずいぶん口が悪くなったねぇ。五条悟の影響かい?」
「見当違い。私を育ててくれたおじいちゃんが口悪かったもんで」
「あぁ、そう。で?訊きたいことは他にあるんだろう?」
「・・・あの子はどこにいるの?」
「あの子?」
「・・・・・・」
私は慎重に言葉を考えていた。
隣では、紗樹ちゃんのお母さんが固唾を飲んで会話を聞いている。
不安にさせるような事を聞かせてはならない。
すると、羂策は言った。
「あぁ、君の腹違いの妹のことか」
「・・・・・・」
「あの子は今、仙台にいるよ」
「仙台?」
思わぬ地名に、つい言葉が出てしまった。
「そう。なんでも姉が仙台にいるんだそうだ」
「姉・・・」
「あ、姉といっても過去の時のだよ。ゴメン、ややこしいね」
「・・・・・・」
「そろそろ行かなくては」
会話を切り上げようとする気配がして、私は慌てて食いつく。
「待って!まだ訊きたいことが・・・!」
「じゃあね、和紗。君の健闘を祈っているよ。あのじゃじゃ馬な姫君を飼いならすことも」
そして、電話は切れた。
「・・・・・・」
私は落胆して受話器を置いた。
「誰なんですか?」
すると、紗樹ちゃんのお母さんがすかさず尋ねてきた。
「あの子って紗樹のことですか?」
「・・・・・・」
「和紗さん、紗樹に何か起きたのかをわかってて、だからここに来たんですよね?」
「・・・・・・」
「電話の相手は誰?その人も紗樹のことを知ってて・・・」
私は彼女から目を逸らした。
応えない。言えるはずがない。
「・・・すみません」
私は絞り出すように言った。
「何も話せないんです。これ以上、巻き込むわけにはいかないから」
「巻き込むって、何に?」
「言えません。だけど、必ず紗樹ちゃんはここに連れ戻します」
「和紗さん、一体紗樹は・・・」
私は答えず、一方的に告げた。
「あと、お願いが。父には私がここに来たことは黙っていてください。そして、さっきの電話のことも」
「・・・え」
「私、行かないと」
私は彼女に向かって頭を下げた。
「おじゃましました」
そして、振り切る様に足早に店を出た。
ショーケースは空っぽで、以前に来たときは綺麗な花が生けられた花瓶には、枯れて萎れたものがそのまま放置されている。
「・・・もしもし」
紗樹ちゃんのお母さんに促されて、店舗用の電話に出た。
すると受話器の向こう側から、
「久しいね、和紗」
懐かしい声が聞こえてきた。
『和紗』
私の名を呼ぶ、柔らかな傑君の声。
「君がここに来ているという事は、成功したんだね。母親から術式を返してもらうことに」
ううん、違う。
これは。
「・・・羂索」
私は言った。
「一体どういうつもりなの」
「ん?」
「どうして私の身体に『額多之君』が?」
「あぁ。それも返してもらえたんだ」
羂索はさも愉快そうに話を始めた。
「私はあの日、君の可能性を見た。それは、術式のことだけじゃない。君に呪いに対する耐性があると感じた。それで、昏睡状態になった君に『額多之君』の髪を飲み込ませたんだ」
「・・・・・・」
「それがビンゴ!そりゃそうだよね、君は糠田が森の『造砡師』の子孫なんだから。『額多之君』の呪いなんかなんてことないよね」
「・・・・・・」
「でも、あの気高い姫君を君が飼いならせるかは・・・」
「うるせぇよ」
私は言った。
「そんなことは訊いてない。訊かれたことだけ答えろ」
「・・・・・・」
羂索はビックリしたように言葉を失った後、喉を震わせて笑い始めた。
「クックックッ。ずいぶん口が悪くなったねぇ。五条悟の影響かい?」
「見当違い。私を育ててくれたおじいちゃんが口悪かったもんで」
「あぁ、そう。で?訊きたいことは他にあるんだろう?」
「・・・あの子はどこにいるの?」
「あの子?」
「・・・・・・」
私は慎重に言葉を考えていた。
隣では、紗樹ちゃんのお母さんが固唾を飲んで会話を聞いている。
不安にさせるような事を聞かせてはならない。
すると、羂策は言った。
「あぁ、君の腹違いの妹のことか」
「・・・・・・」
「あの子は今、仙台にいるよ」
「仙台?」
思わぬ地名に、つい言葉が出てしまった。
「そう。なんでも姉が仙台にいるんだそうだ」
「姉・・・」
「あ、姉といっても過去の時のだよ。ゴメン、ややこしいね」
「・・・・・・」
「そろそろ行かなくては」
会話を切り上げようとする気配がして、私は慌てて食いつく。
「待って!まだ訊きたいことが・・・!」
「じゃあね、和紗。君の健闘を祈っているよ。あのじゃじゃ馬な姫君を飼いならすことも」
そして、電話は切れた。
「・・・・・・」
私は落胆して受話器を置いた。
「誰なんですか?」
すると、紗樹ちゃんのお母さんがすかさず尋ねてきた。
「あの子って紗樹のことですか?」
「・・・・・・」
「和紗さん、紗樹に何か起きたのかをわかってて、だからここに来たんですよね?」
「・・・・・・」
「電話の相手は誰?その人も紗樹のことを知ってて・・・」
私は彼女から目を逸らした。
応えない。言えるはずがない。
「・・・すみません」
私は絞り出すように言った。
「何も話せないんです。これ以上、巻き込むわけにはいかないから」
「巻き込むって、何に?」
「言えません。だけど、必ず紗樹ちゃんはここに連れ戻します」
「和紗さん、一体紗樹は・・・」
私は答えず、一方的に告げた。
「あと、お願いが。父には私がここに来たことは黙っていてください。そして、さっきの電話のことも」
「・・・え」
「私、行かないと」
私は彼女に向かって頭を下げた。
「おじゃましました」
そして、振り切る様に足早に店を出た。