第38話 額多之君
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「東堂君?」
私は起き上がり襖を開けた。
そこには思っていた通り、東堂君がいた。
「起きたか。良かった、心配したぞ。師匠 が意識のない貴女を運んで来た時は・・・」
「九十九さんは?」
「まだ眠っている。ほぼ徹夜だったからな」
「そう・・・」
良かった、と私は安堵した。
「取り戻したんだな」
東堂君の言葉に、私は振り向く。
すると東堂君は私の目を真っ直ぐ見据えて、もう一度言った。
「取り戻したんだな、自分の術式を」
正直、まだ実感はない。
だけど、そうなんだ。
私はこくりと頷いた。
「うん・・・」
「そうか」
東堂君もそう頷いた後、
「それならば、俺ももう一度術式を取り戻す」
と意を決したように言った。
「師匠 は術式がなくとも戦えると言ったが、この先の闘いを考えると、やはり術式は必須だ。方法はまだわからんが、俺も術式を取り戻し戦線に復帰する」
「東堂君・・・」
「虎杖 にもそう伝えてくれ」
「・・・・・」
悠仁君。
私は密かに動揺した。
悠仁君は呪術高専のみんなと別れて、行方をくらませている。
今、伏黒君が連れ戻そうと探しているけれど、それでも戻って来てくれるかわからない。
「Ms.鶴來?」
私が応えないので、東堂君は不思議そうに首を傾げる。
私はハッとして、慌てて頷いた。
「う、うん。伝える。必ず伝える」
すると、東堂君は満足そうに笑みを浮かべた。
「よし、朝食にしよう。俺は準備をするから、師匠 を起こしてきてくれないか」
「うん、わかった」
それから朝食をとった後、私と九十九さんはここを発つことにした。
「じゃあね、葵。元気でね」
「師匠 もお達者で」
東堂君は恭しく九十九さんに頭を下げた後、続けて私に言った。
「Ms.鶴來も」
「・・・・・・」
私は無言で頷く。
それから、九十九さんはバイクをゆっくり発進させた。
見送る東堂君の姿が小さくなると、徐々にスピードを上げていった。
「さーて、東京に戻るかーっ」
「九十九さん」
「んー?何ー?」
「東京に戻る前に、神戸に寄ってくれませんか」
「神戸?なんで?」
「・・・お父さん達が暮らしているんです」
その言葉に九十九さんはハッとする。
「無事かどうか確かめたいんです」
九十九さんは私の頼みを聞き入れてくれて、神戸に向かうことに
神戸周辺には京都で見かけた巨大結界は見当たらない。
そのためか街で呪霊が跋扈することもなく、普段と変わらない様子だ。
三宮商店街も沢山の買い物客や観光客が往来している。
東京の混沌がまるで嘘のようだ。
「ここです」
私と九十九さんは、お父さんが営む「洋菓子店フルリール」の前へたどり着いた。
しかし店にはシャッターが降りていて、そこには「都合によりしばらく休店します」と貼り紙がされている。
なので、私達は勝手口のほうへ回った。
「すみません、誰かいらっしゃいませんか」
とノックを数回繰り返したところでドアが開いて、
「・・・・・・」
女の人が戸惑う様子で顔を覗かせた。
それが誰なのかすぐにわかった。
紗樹ちゃんのお母さん。そして、お父さんの今の奥さん。
「あの・・・」
名乗るのに尻込みしていると、
「・・・和紗さん?」
彼女が私の名を呼んだ。
「え・・・」
今度は私が戸惑いをみせると、彼女は慌てて言った。
「あ、違いました・・・?」
「え、や、あの・・・はい」
私は居を正して名乗った。
「鶴來和紗です。はじめまして」
私は起き上がり襖を開けた。
そこには思っていた通り、東堂君がいた。
「起きたか。良かった、心配したぞ。
「九十九さんは?」
「まだ眠っている。ほぼ徹夜だったからな」
「そう・・・」
良かった、と私は安堵した。
「取り戻したんだな」
東堂君の言葉に、私は振り向く。
すると東堂君は私の目を真っ直ぐ見据えて、もう一度言った。
「取り戻したんだな、自分の術式を」
正直、まだ実感はない。
だけど、そうなんだ。
私はこくりと頷いた。
「うん・・・」
「そうか」
東堂君もそう頷いた後、
「それならば、俺ももう一度術式を取り戻す」
と意を決したように言った。
「
「東堂君・・・」
「
「・・・・・」
悠仁君。
私は密かに動揺した。
悠仁君は呪術高専のみんなと別れて、行方をくらませている。
今、伏黒君が連れ戻そうと探しているけれど、それでも戻って来てくれるかわからない。
「Ms.鶴來?」
私が応えないので、東堂君は不思議そうに首を傾げる。
私はハッとして、慌てて頷いた。
「う、うん。伝える。必ず伝える」
すると、東堂君は満足そうに笑みを浮かべた。
「よし、朝食にしよう。俺は準備をするから、
「うん、わかった」
それから朝食をとった後、私と九十九さんはここを発つことにした。
「じゃあね、葵。元気でね」
「
東堂君は恭しく九十九さんに頭を下げた後、続けて私に言った。
「Ms.鶴來も」
「・・・・・・」
私は無言で頷く。
それから、九十九さんはバイクをゆっくり発進させた。
見送る東堂君の姿が小さくなると、徐々にスピードを上げていった。
「さーて、東京に戻るかーっ」
「九十九さん」
「んー?何ー?」
「東京に戻る前に、神戸に寄ってくれませんか」
「神戸?なんで?」
「・・・お父さん達が暮らしているんです」
その言葉に九十九さんはハッとする。
「無事かどうか確かめたいんです」
九十九さんは私の頼みを聞き入れてくれて、神戸に向かうことに
神戸周辺には京都で見かけた巨大結界は見当たらない。
そのためか街で呪霊が跋扈することもなく、普段と変わらない様子だ。
三宮商店街も沢山の買い物客や観光客が往来している。
東京の混沌がまるで嘘のようだ。
「ここです」
私と九十九さんは、お父さんが営む「洋菓子店フルリール」の前へたどり着いた。
しかし店にはシャッターが降りていて、そこには「都合によりしばらく休店します」と貼り紙がされている。
なので、私達は勝手口のほうへ回った。
「すみません、誰かいらっしゃいませんか」
とノックを数回繰り返したところでドアが開いて、
「・・・・・・」
女の人が戸惑う様子で顔を覗かせた。
それが誰なのかすぐにわかった。
紗樹ちゃんのお母さん。そして、お父さんの今の奥さん。
「あの・・・」
名乗るのに尻込みしていると、
「・・・和紗さん?」
彼女が私の名を呼んだ。
「え・・・」
今度は私が戸惑いをみせると、彼女は慌てて言った。
「あ、違いました・・・?」
「え、や、あの・・・はい」
私は居を正して名乗った。
「鶴來和紗です。はじめまして」