第37話 香志和彌神社
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「なるほど。『構築術式』と似ているようで非なるものってワケか」
「構築・・・?」
「ゼロから物体を生み出す術式だよ」
「そんな術式が・・・」
あるんですね、と言いかけて私は言葉を飲み込んだ。
ズキンッ
「うっ・・・」
急に激しい頭痛に襲われ、両手でこめかみを押さえ、耐え切れずその場にしゃがみ込む。
「和紗!?」
私の異変を察して、九十九さんが私に寄り添う。
「大丈夫か!?」
「だ・・・だいじょう・・・ぶ」
と答えたものの、頭痛はますます激しくなる。
ドクンッ ドクンッ
それに呼応するように、動悸も激しくなり、そして吐き気まで催してきた。
(どうして・・・術式を使ったから?)
でも、術式をお母さんから受け継いだ時とは違う。
明らかに私の中で異変が起きている。
まるで、私の中に別の生き物が蠢いているような。
ズキンッ ズキンッ ズキンッ
ドクンッ ドクンッ ドクンッ
頭痛と動悸が、交互に襲いかかってくる。
気持ち悪い。
きもちわるい。
キモチワルイ。
耐え切れず、両手と両膝を地面についてうずくまった時だった。
「わらわの眠りを妨げたのは誰じゃ」
知らない女の人の声が、聞こえてきた。
「・・・・?」
その瞬間、頭痛も動悸も吐き気も潮が引く様に急に収まっていき、私は顔を上げて辺りを見回した。
九十九さんも同様に、辺りを見回している。
しかし、声の主は見当たらない。
「ここは如何なる処じゃ。時は、あれからどれほど流れたのじゃ」
声が再び聞こえた。
私のすぐそばで。
「・・・・・・」
私はおそるおそる自分の右頬に触れた。
すると、そこに唇に触れた時と同じ感触を覚えた。
そして、
「和紗、オマエ・・・」
九十九さんも、驚愕して私の顔を見据えている。
「和紗・・・?それが次の宿主の名か」
右頬に触れたものが動いて、声が紡ぎ出された。
その時、私の脳裏には、悠仁君の頬に現れる『両面宿儺』の口が思い浮かんだ。
「オマエは・・・オマエは誰だ?」
警戒を深めながら、九十九さんが問うた。
「過去の術師か?いつ和紗に受肉して・・・!」
「術師?」
女の声は、忌々しそうに言った。
「術師とは呪術師のことか。人の呪いを食い扶持にする下賤な者と、わらわを一緒にするな」
「では、オマエは一体何者だ。答えろ」
九十九さんは強い口調で追及した。
すると、女の声は尚も忌々しそうに答えた。
「人の名を尋ねるならば、まずは自ずから名乗れと躾けられぬのか。今生の者は」
「・・・・・・」
「まあ、よい。真名は遠い忘却の彼方に消えた。もはや覚えているのは、後世の者が勝手にわらわに付けたつまらぬ名じゃ。ただで教えてやろう」
「・・・・・・」
「そう、わらわはこう呼ばれていた。わらわは───」
私と九十九さんは息を飲む。
女の声は名乗った。
「額多之君」
つづく
「構築・・・?」
「ゼロから物体を生み出す術式だよ」
「そんな術式が・・・」
あるんですね、と言いかけて私は言葉を飲み込んだ。
ズキンッ
「うっ・・・」
急に激しい頭痛に襲われ、両手でこめかみを押さえ、耐え切れずその場にしゃがみ込む。
「和紗!?」
私の異変を察して、九十九さんが私に寄り添う。
「大丈夫か!?」
「だ・・・だいじょう・・・ぶ」
と答えたものの、頭痛はますます激しくなる。
ドクンッ ドクンッ
それに呼応するように、動悸も激しくなり、そして吐き気まで催してきた。
(どうして・・・術式を使ったから?)
でも、術式をお母さんから受け継いだ時とは違う。
明らかに私の中で異変が起きている。
まるで、私の中に別の生き物が蠢いているような。
ズキンッ ズキンッ ズキンッ
ドクンッ ドクンッ ドクンッ
頭痛と動悸が、交互に襲いかかってくる。
気持ち悪い。
きもちわるい。
キモチワルイ。
耐え切れず、両手と両膝を地面についてうずくまった時だった。
「わらわの眠りを妨げたのは誰じゃ」
知らない女の人の声が、聞こえてきた。
「・・・・?」
その瞬間、頭痛も動悸も吐き気も潮が引く様に急に収まっていき、私は顔を上げて辺りを見回した。
九十九さんも同様に、辺りを見回している。
しかし、声の主は見当たらない。
「ここは如何なる処じゃ。時は、あれからどれほど流れたのじゃ」
声が再び聞こえた。
私のすぐそばで。
「・・・・・・」
私はおそるおそる自分の右頬に触れた。
すると、そこに唇に触れた時と同じ感触を覚えた。
そして、
「和紗、オマエ・・・」
九十九さんも、驚愕して私の顔を見据えている。
「和紗・・・?それが次の宿主の名か」
右頬に触れたものが動いて、声が紡ぎ出された。
その時、私の脳裏には、悠仁君の頬に現れる『両面宿儺』の口が思い浮かんだ。
「オマエは・・・オマエは誰だ?」
警戒を深めながら、九十九さんが問うた。
「過去の術師か?いつ和紗に受肉して・・・!」
「術師?」
女の声は、忌々しそうに言った。
「術師とは呪術師のことか。人の呪いを食い扶持にする下賤な者と、わらわを一緒にするな」
「では、オマエは一体何者だ。答えろ」
九十九さんは強い口調で追及した。
すると、女の声は尚も忌々しそうに答えた。
「人の名を尋ねるならば、まずは自ずから名乗れと躾けられぬのか。今生の者は」
「・・・・・・」
「まあ、よい。真名は遠い忘却の彼方に消えた。もはや覚えているのは、後世の者が勝手にわらわに付けたつまらぬ名じゃ。ただで教えてやろう」
「・・・・・・」
「そう、わらわはこう呼ばれていた。わらわは───」
私と九十九さんは息を飲む。
女の声は名乗った。
「額多之君」
つづく
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