第36話 告白
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理想の世界。
この人の思い描くものがどういうものなのかはわからない。
でも、きっと羂索が思い描くものとは違う。
そういう点では、この人は私の敵じゃない。
それでも、私はこの人を信用できない。
「・・・・・・」
私は九十九さんを無視して部屋を出てようとするが、すかさず九十九さんが呼び止めた。
「どこ行くの?」
「あなたには関係ありません」
「関係なくないよ。君を行かせてしまったら、私きっと伏黒君に殺されちゃうよ」
「そうですか」
「そうですか。って、冷たぁ~い」
今度こそ九十九さんを無視して、私は部屋の外へ一歩踏み出した。
しかし九十九さんは懲りずに続けた。
「さっきの伏黒君との会話から察するに、君は『死滅回游』に巻き込まれているね。しかも、君の家族も」
応える気はない。が。
「やめときなよ」
九十九さんは低くくぐもる声で言った。
思わずふと彼女の顔を見遣ると、その鋭い眼光に怯んでしまった。
「何するつもりかは知らないけど、君、呪術師じゃないよね。伏黒君の言う様に、自ら殺し合いの螺旋に身を投じることはない。まして術式も持たない無防備な状態で。そんなのは自殺行為だ」
「・・・・・・」
「君の家族がこんな理不尽に巻き込まれて気の毒だと思うよ。どうにかしなければという気持ちもわかる。だが・・・」
「理不尽?」
そう自分で問いかけて、私は自ら答える。
「そうだ・・・これは理不尽だ。お父さんは、呪いを恐れて呪いのいない場所で生きることを選んだのに。紗樹ちゃんは、何も関係ない普通の子なのに」
「・・・・・・」
「・・・五条さんが言ってた。理不尽に人は死ぬって。このままお父さんも紗樹ちゃんも・・・」
「まだ死ぬって決まったわけじゃないよ」
「ええ。でも、このまま何もしなければ二人は死ぬわ」
私は強く言った。
「もしそうなったら、それは理不尽じゃない。今度こそ私のせいだ。抗うことを選ばなかった、私のせいだ」
お母さんのことが思い浮かんだ。
あの時の私は子どもで、何も知らなくて、抗う術もなくて。
「人は理不尽に死ぬ。病で事故で事件で災害で戦争で。でも、『死滅回游』はそうじゃない。これから起きることがわかってる。そして、今の私には抗う術がある」
だから、お母さんは抗った。
何もしらなくても、私を守るために、たったひとつの術だけで。
「だから、私は抗う。たとえ敵わなくても、アイツの思うがままだけにはさせない。全身全霊で抗う。抗ってやる」
そう、お母さんは理不尽に死んだわけじゃない。
そして、その術を私に教えてくれる。
「・・・そう」
一通り私の話を聞いて長い沈黙を経て、九十九さんは頷いた。
そして、
「じゃあ、私も一緒に行く!」
とカラッとした口調で言った。
あまりもの軽さと唐突な言葉に、私は呆れる。
「行くって、そんな遠足に行くみたいに気楽に言われても」
「だって、君を一人で行かせたら伏黒君は私を殺すだろうし、君を引き留めようとすれば私はますます君に憎まれるだろうし。だから、私が君と一緒に行って目的を果たして無事にまたここに戻って来るのが、最善策だと思って」
一体どういう思考回路してるんだろう、と呆気に取られていたら。
「そうと決まれば、LET`S GO~~~♡」
と、九十九さんは私の腕を取り部屋を飛び出した。
「で、何処に行くの?」
「本気で一緒に行く気なんですか?」
「本気本気!あ、そうだ」
九十九さんはふと立ち止まり、私と向き合う。
「名前、きいてなかった」
「名前・・・」
言われてふと気づく。
確かに現実ではまだ名乗っていなかった。
「鶴來和紗です・・・」
「和紗」
九十九さんは二ッと口角を上げた。
「君はどんな男が好み かな?」
この人の思い描くものがどういうものなのかはわからない。
でも、きっと羂索が思い描くものとは違う。
そういう点では、この人は私の敵じゃない。
それでも、私はこの人を信用できない。
「・・・・・・」
私は九十九さんを無視して部屋を出てようとするが、すかさず九十九さんが呼び止めた。
「どこ行くの?」
「あなたには関係ありません」
「関係なくないよ。君を行かせてしまったら、私きっと伏黒君に殺されちゃうよ」
「そうですか」
「そうですか。って、冷たぁ~い」
今度こそ九十九さんを無視して、私は部屋の外へ一歩踏み出した。
しかし九十九さんは懲りずに続けた。
「さっきの伏黒君との会話から察するに、君は『死滅回游』に巻き込まれているね。しかも、君の家族も」
応える気はない。が。
「やめときなよ」
九十九さんは低くくぐもる声で言った。
思わずふと彼女の顔を見遣ると、その鋭い眼光に怯んでしまった。
「何するつもりかは知らないけど、君、呪術師じゃないよね。伏黒君の言う様に、自ら殺し合いの螺旋に身を投じることはない。まして術式も持たない無防備な状態で。そんなのは自殺行為だ」
「・・・・・・」
「君の家族がこんな理不尽に巻き込まれて気の毒だと思うよ。どうにかしなければという気持ちもわかる。だが・・・」
「理不尽?」
そう自分で問いかけて、私は自ら答える。
「そうだ・・・これは理不尽だ。お父さんは、呪いを恐れて呪いのいない場所で生きることを選んだのに。紗樹ちゃんは、何も関係ない普通の子なのに」
「・・・・・・」
「・・・五条さんが言ってた。理不尽に人は死ぬって。このままお父さんも紗樹ちゃんも・・・」
「まだ死ぬって決まったわけじゃないよ」
「ええ。でも、このまま何もしなければ二人は死ぬわ」
私は強く言った。
「もしそうなったら、それは理不尽じゃない。今度こそ私のせいだ。抗うことを選ばなかった、私のせいだ」
お母さんのことが思い浮かんだ。
あの時の私は子どもで、何も知らなくて、抗う術もなくて。
「人は理不尽に死ぬ。病で事故で事件で災害で戦争で。でも、『死滅回游』はそうじゃない。これから起きることがわかってる。そして、今の私には抗う術がある」
だから、お母さんは抗った。
何もしらなくても、私を守るために、たったひとつの術だけで。
「だから、私は抗う。たとえ敵わなくても、アイツの思うがままだけにはさせない。全身全霊で抗う。抗ってやる」
そう、お母さんは理不尽に死んだわけじゃない。
そして、その術を私に教えてくれる。
「・・・そう」
一通り私の話を聞いて長い沈黙を経て、九十九さんは頷いた。
そして、
「じゃあ、私も一緒に行く!」
とカラッとした口調で言った。
あまりもの軽さと唐突な言葉に、私は呆れる。
「行くって、そんな遠足に行くみたいに気楽に言われても」
「だって、君を一人で行かせたら伏黒君は私を殺すだろうし、君を引き留めようとすれば私はますます君に憎まれるだろうし。だから、私が君と一緒に行って目的を果たして無事にまたここに戻って来るのが、最善策だと思って」
一体どういう思考回路してるんだろう、と呆気に取られていたら。
「そうと決まれば、LET`S GO~~~♡」
と、九十九さんは私の腕を取り部屋を飛び出した。
「で、何処に行くの?」
「本気で一緒に行く気なんですか?」
「本気本気!あ、そうだ」
九十九さんはふと立ち止まり、私と向き合う。
「名前、きいてなかった」
「名前・・・」
言われてふと気づく。
確かに現実ではまだ名乗っていなかった。
「鶴來和紗です・・・」
「和紗」
九十九さんは二ッと口角を上げた。
「君はどんな男が