第36話 告白
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驚きと戸惑いと、それらの後に訪れたのは、羞恥心だった。
すぐそばにある気持ちに気づきもしないで、私はずっと伏黒君に甘えていた。
「・・・鶴來さんの父親達のことも、俺が何とかする」
と言うと、伏黒君は私を脇にそっと押し除けてドアを開けた。
その次の瞬間、
「わぁっ!?ビックリしたーっ!」
ドアの向こうから、女性の大きな声が聞こえてきた。
ドアを開けた先に人がいるとは思わず、伏黒君も私も驚いている。
(誰・・・?)
私は伏黒君の背後から、ドアの向こう側を覗き込む。
そこに立つ人物を見て、私は驚き息を呑んだ。
「何やってるんですか、九十九さん」
伏黒君が言った。
「いつからそこにいたんですか」
「えーっと、『五条先生に言われたんだ』ってあたりから?」
「・・・盗み聞きかよ。ほとんど聞いてんじゃねぇか」
「えっへへへ」
そして、彼女は私の方へ視線を向けると、
「Hi♡」
と笑いかけてきた。
「はじめまして。私は九十九由基。Girl、君の名は?」
そう、彼女は九十九由基だ。
『要は進化を促すの。鳥達が翼を得たように。恐怖や危機感を使ってね』
奇子の領域が作り出す、願望と記憶の世界で会ったことがある。
私は九十九さんの問いかけに答えず、警戒して表情を強張らせる。
しかし九十九さんにとって、私とはこれが初対面だ。
何も答えない私を見て、九十九さんは不思議そうに首を傾げた。
「伏黒君~。ずいぶん不愛想だね、彼女」
「九十九さんが馴れ馴れしいだけじゃないですか」
「失礼だなぁ。フレンドリーと言ってくれよ」
それよりも、と九十九さんは続けた。
「何を揉めてるのか知らないけど、彼女も連れて行ってあげたらいいじゃないか」
「事情も知らないのに無責任なこと言わないでください」
「私が無責任〜?」
「そうじゃないですか。そもそも虎杖のことも、アンタが引き留めてくてたなら・・・」
「だって、どうしてもって言い張って聞かないんだもん、彼」
その会話を聞いて、私はハッとする。
「悠仁君に会ったんですか?」
私の言葉を聞いて、九十九さんが振り向く。
「そう、会ったよ。虎杖君は脹相と共に行動している」
「脹相・・・」
そう呟いて思い出す。
あの自称・悠仁君のお兄さんか。
「とにかく、首根っこ掴んででもアイツを必ずここへ連れ戻します。それまでに天元様との接触方法を考えておいてくださいよ」
と、伏黒君は足早に部屋を出て行った。
「待って、伏黒君・・・!」
私は慌てて追いかけようとしたけれど、
「まぁまぁ。君は私と一緒にここで留守番しよう」
九十九さんが私の肩に腕を回して引き留めた。
「好きな女を守りたいってプライドくらい守らせてあげなよ」
「・・・離してください!」
私は九十九さんの腕を払いのけた。
すると、九十九さんは目をハタハタと瞬かせた。
「私、すごく嫌われてる?初対面なのに。実はどっかで会ったことある?」
「・・・あなたが傑君の言った事を否定してくれていたら、あんな事には」
「すぐる?」
「だけど、あなたは否定しなかった。それどころか肯定した。だから、傑君はあの村の人達を殺して・・・そして・・・!」
そこまで言うと、九十九さんは思い出したのか真剣な表情になった。
「そうか。君は夏油君の知り合いなのか」
「・・・・・・」
「夏油君のことは聞き及んでる。昨年の『百鬼夜行』と、その顛末もね。これは言い訳にしか聞こえないだろうけど、私はその時、海外に居てね。彼の元に駆けつけられなかった」
「・・・・・・」
「彼の元に駆けつけていたなら、言ってやっただろうね。『そんなイカれたことはやめろ』ってね」
「・・・・・・」
「この国がこんな現状になってしまったのは、直接的要因とまではないとしても、君の言う通り、私の言動も一因ではあるんだろう」
「・・・・・・」
「痛恨の極みだよ。こんなのは、私の思い描く理想の世界じゃない」
すぐそばにある気持ちに気づきもしないで、私はずっと伏黒君に甘えていた。
「・・・鶴來さんの父親達のことも、俺が何とかする」
と言うと、伏黒君は私を脇にそっと押し除けてドアを開けた。
その次の瞬間、
「わぁっ!?ビックリしたーっ!」
ドアの向こうから、女性の大きな声が聞こえてきた。
ドアを開けた先に人がいるとは思わず、伏黒君も私も驚いている。
(誰・・・?)
私は伏黒君の背後から、ドアの向こう側を覗き込む。
そこに立つ人物を見て、私は驚き息を呑んだ。
「何やってるんですか、九十九さん」
伏黒君が言った。
「いつからそこにいたんですか」
「えーっと、『五条先生に言われたんだ』ってあたりから?」
「・・・盗み聞きかよ。ほとんど聞いてんじゃねぇか」
「えっへへへ」
そして、彼女は私の方へ視線を向けると、
「Hi♡」
と笑いかけてきた。
「はじめまして。私は九十九由基。Girl、君の名は?」
そう、彼女は九十九由基だ。
『要は進化を促すの。鳥達が翼を得たように。恐怖や危機感を使ってね』
奇子の領域が作り出す、願望と記憶の世界で会ったことがある。
私は九十九さんの問いかけに答えず、警戒して表情を強張らせる。
しかし九十九さんにとって、私とはこれが初対面だ。
何も答えない私を見て、九十九さんは不思議そうに首を傾げた。
「伏黒君~。ずいぶん不愛想だね、彼女」
「九十九さんが馴れ馴れしいだけじゃないですか」
「失礼だなぁ。フレンドリーと言ってくれよ」
それよりも、と九十九さんは続けた。
「何を揉めてるのか知らないけど、彼女も連れて行ってあげたらいいじゃないか」
「事情も知らないのに無責任なこと言わないでください」
「私が無責任〜?」
「そうじゃないですか。そもそも虎杖のことも、アンタが引き留めてくてたなら・・・」
「だって、どうしてもって言い張って聞かないんだもん、彼」
その会話を聞いて、私はハッとする。
「悠仁君に会ったんですか?」
私の言葉を聞いて、九十九さんが振り向く。
「そう、会ったよ。虎杖君は脹相と共に行動している」
「脹相・・・」
そう呟いて思い出す。
あの自称・悠仁君のお兄さんか。
「とにかく、首根っこ掴んででもアイツを必ずここへ連れ戻します。それまでに天元様との接触方法を考えておいてくださいよ」
と、伏黒君は足早に部屋を出て行った。
「待って、伏黒君・・・!」
私は慌てて追いかけようとしたけれど、
「まぁまぁ。君は私と一緒にここで留守番しよう」
九十九さんが私の肩に腕を回して引き留めた。
「好きな女を守りたいってプライドくらい守らせてあげなよ」
「・・・離してください!」
私は九十九さんの腕を払いのけた。
すると、九十九さんは目をハタハタと瞬かせた。
「私、すごく嫌われてる?初対面なのに。実はどっかで会ったことある?」
「・・・あなたが傑君の言った事を否定してくれていたら、あんな事には」
「すぐる?」
「だけど、あなたは否定しなかった。それどころか肯定した。だから、傑君はあの村の人達を殺して・・・そして・・・!」
そこまで言うと、九十九さんは思い出したのか真剣な表情になった。
「そうか。君は夏油君の知り合いなのか」
「・・・・・・」
「夏油君のことは聞き及んでる。昨年の『百鬼夜行』と、その顛末もね。これは言い訳にしか聞こえないだろうけど、私はその時、海外に居てね。彼の元に駆けつけられなかった」
「・・・・・・」
「彼の元に駆けつけていたなら、言ってやっただろうね。『そんなイカれたことはやめろ』ってね」
「・・・・・・」
「この国がこんな現状になってしまったのは、直接的要因とまではないとしても、君の言う通り、私の言動も一因ではあるんだろう」
「・・・・・・」
「痛恨の極みだよ。こんなのは、私の思い描く理想の世界じゃない」