第36話 告白
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「・・・何言ってんだ」
伏黒君の眉間に深々と皺が刻まれる。
「一緒に闘うって、『死滅回游』は呪術師同士の殺し合いだぞ!?そんなもんにアンタを闘わせるわけないだろ」
「でも、またみんなが闘って傷ついていくのを何もせずにただ待ってるだけなんてこれ以上出来ない!自分の家族が巻き込まれてるなら尚更・・・!」
「駄目だ。大人しくここで待ってろ」
「嫌!絶対に一緒に行く!」
「いい加減にしろよ!!」
伏黒君が怒鳴る。
私はビクッと肩を震わせる。
だけど伏黒君はすぐに冷静になって、今度は静かな声で言った。
「・・・五条先生に言われたんだ。五条先生が、鶴來さんの傍に自分がいられない時には、俺が代わりに鶴來さんの傍にいて守れって」
「・・・・・・」
「だから、アンタを闘わせるわけにはいかない」
「・・・・・・」
五条さんと伏黒君との間にそんなやり取りがあったなんて。
私は、これ以上食い下がる事が出来なかった。
でも。
「・・・・・・」
私は伏黒君の横を通り過ぎ、部屋を出ようとする。
「鶴來さん」
だけど、伏黒君が私の手首を掴んで引き留めた。
「・・・行かなきゃ」
「まだわかんねぇのか」
「・・・でも、こんなことになったのは、私のせいでもあるもの」
「・・・何言って・・・」
「私、『渋谷事変』が起こる前に、羂索と接触していたの」
「それは昔の・・・」
「泳者 の印をつけられた時だけじゃない。今年の7月に、その時には夏油傑の姿をしていた羂策と・・・」
脳裏に『あの時』の記憶が蘇る───
『高専関係者に、私のことを知られるのはマズイんだよね』
『それじゃあ、さっきのキスは私と君とだけの秘密にしよう。知られたくないだろう?特に、さっきの電話の相手には』
『そして、もうひとつ。私と君が、今晩ここで会っていた事は、誰にも話してはいけないよ』
『あの廃墟ホテルに行った時、和紗と一緒にいたのは慶太だけだった?』
『昨夜、本当に他に誰もいなかった?』
───だけど、私は話さなかった。
陵 先生を守る為でもあったけれど、本当はそれだけじゃない。
私は、自分のちっぽけなプライドの為に話さなかったんだ。
「・・・あの時、五条さんに話していたら」
私が会っていたのが夏油傑だと知ったなら、五条さんはきっと、何が何でも探し出して捕まえることが出来たはずだ。
もし、そう出来ていたなら。
五条さんが『獄門疆』に封印されることもなかった。
『渋谷事変』が起こることもなかった。
皆が傷つくこともなかった。
お父さんと紗樹ちゃんが『死滅回游』に巻き込まれることもなかった。
「・・・考えが飛躍し過ぎだ」
伏黒君が溜息混じりに言った。
「でも・・・」
誰に何と言われても、私はこの考えから抜け出すことは出来ない。
この先ただこの部屋で待っている間にも、誰かの身にもしもの事が起きたなら、私は永遠に自分の事を許すことは出来ない。
「鶴來さん!」
私は伏黒君の手を振り解きドアノブに手をかけた。
すかさず伏黒君がそれを阻止する。
「離して・・・!」
「駄目だ。行かせない」
「どうしてわかってくれないの・・・」
「わかってねぇのはアンタだろ!」
と、伏黒君は私の両肩を掴んで、そのまま背中をドアに押し付けた。
動きを封じられてなすすべなく、私は恨めしく伏黒君を見上げた。
伏黒君も私を見下ろしている。
視線がぶつかると、
「好きだ」
と、伏黒君が言った。
「・・・・・・」
思いも寄らぬ言葉に、私はただただ言葉なく伏黒君を見つめた。
伏黒君は私から目を逸らすと、
「・・・こんなこと、今話すようなことじゃないのはわかってる」
私の両肩から手を離した。
「それに、別にアンタと五条先生の仲をどうこうしたい訳じゃない」
「・・・・・・」
「俺の最優先事項は、津美紀だ。津美紀を『死滅回游』から抜け出させること。それ以外は二の次だ」
「・・・・・・」
「それでも、俺はアンタを殺し合いの螺旋に巻き込みたくない」
「・・・・・・」
「これは、俺自身の意思だ」
伏黒君の眉間に深々と皺が刻まれる。
「一緒に闘うって、『死滅回游』は呪術師同士の殺し合いだぞ!?そんなもんにアンタを闘わせるわけないだろ」
「でも、またみんなが闘って傷ついていくのを何もせずにただ待ってるだけなんてこれ以上出来ない!自分の家族が巻き込まれてるなら尚更・・・!」
「駄目だ。大人しくここで待ってろ」
「嫌!絶対に一緒に行く!」
「いい加減にしろよ!!」
伏黒君が怒鳴る。
私はビクッと肩を震わせる。
だけど伏黒君はすぐに冷静になって、今度は静かな声で言った。
「・・・五条先生に言われたんだ。五条先生が、鶴來さんの傍に自分がいられない時には、俺が代わりに鶴來さんの傍にいて守れって」
「・・・・・・」
「だから、アンタを闘わせるわけにはいかない」
「・・・・・・」
五条さんと伏黒君との間にそんなやり取りがあったなんて。
私は、これ以上食い下がる事が出来なかった。
でも。
「・・・・・・」
私は伏黒君の横を通り過ぎ、部屋を出ようとする。
「鶴來さん」
だけど、伏黒君が私の手首を掴んで引き留めた。
「・・・行かなきゃ」
「まだわかんねぇのか」
「・・・でも、こんなことになったのは、私のせいでもあるもの」
「・・・何言って・・・」
「私、『渋谷事変』が起こる前に、羂索と接触していたの」
「それは昔の・・・」
「
脳裏に『あの時』の記憶が蘇る───
『高専関係者に、私のことを知られるのはマズイんだよね』
『それじゃあ、さっきのキスは私と君とだけの秘密にしよう。知られたくないだろう?特に、さっきの電話の相手には』
『そして、もうひとつ。私と君が、今晩ここで会っていた事は、誰にも話してはいけないよ』
『あの廃墟ホテルに行った時、和紗と一緒にいたのは慶太だけだった?』
『昨夜、本当に他に誰もいなかった?』
───だけど、私は話さなかった。
私は、自分のちっぽけなプライドの為に話さなかったんだ。
「・・・あの時、五条さんに話していたら」
私が会っていたのが夏油傑だと知ったなら、五条さんはきっと、何が何でも探し出して捕まえることが出来たはずだ。
もし、そう出来ていたなら。
五条さんが『獄門疆』に封印されることもなかった。
『渋谷事変』が起こることもなかった。
皆が傷つくこともなかった。
お父さんと紗樹ちゃんが『死滅回游』に巻き込まれることもなかった。
「・・・考えが飛躍し過ぎだ」
伏黒君が溜息混じりに言った。
「でも・・・」
誰に何と言われても、私はこの考えから抜け出すことは出来ない。
この先ただこの部屋で待っている間にも、誰かの身にもしもの事が起きたなら、私は永遠に自分の事を許すことは出来ない。
「鶴來さん!」
私は伏黒君の手を振り解きドアノブに手をかけた。
すかさず伏黒君がそれを阻止する。
「離して・・・!」
「駄目だ。行かせない」
「どうしてわかってくれないの・・・」
「わかってねぇのはアンタだろ!」
と、伏黒君は私の両肩を掴んで、そのまま背中をドアに押し付けた。
動きを封じられてなすすべなく、私は恨めしく伏黒君を見上げた。
伏黒君も私を見下ろしている。
視線がぶつかると、
「好きだ」
と、伏黒君が言った。
「・・・・・・」
思いも寄らぬ言葉に、私はただただ言葉なく伏黒君を見つめた。
伏黒君は私から目を逸らすと、
「・・・こんなこと、今話すようなことじゃないのはわかってる」
私の両肩から手を離した。
「それに、別にアンタと五条先生の仲をどうこうしたい訳じゃない」
「・・・・・・」
「俺の最優先事項は、津美紀だ。津美紀を『死滅回游』から抜け出させること。それ以外は二の次だ」
「・・・・・・」
「それでも、俺はアンタを殺し合いの螺旋に巻き込みたくない」
「・・・・・・」
「これは、俺自身の意思だ」