第36話 告白
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「大丈夫?」
「大丈夫です」
私の問いかけに、伏黒君はピクリとも表情を崩さず返す。
「この辺りまで来ると、呪霊が出てくるんだね」
「ああ。高専も結界が緩んであちこち混乱が起きている」
「・・・あの、そのことなんだけど」
「何ですか」
「私、高専に戻って大丈夫なのかな?総監部に五条さんの・・・その・・・妻だとか勘違いされてて、そのうえ、子どもがどうとか・・・」
「それは大丈夫です」
ゴニョゴニョ話す私の言葉を遮り、伏黒君が言った。
「羂索が『死滅回游』の開始を宣言して以来、もはや総監部の関心は五条先生にない。それに連中は『獄門疆』の封印は解けないと思っている。だから五条先生関連のことは泳がせておくつもりらしい」
「そっか・・・」
それを聞いて、私はホッと安堵する。
しかし、ふと思い当たって再び尋ねた。
「悠仁君への死刑執行は?乙骨君は・・・」
すると、ずっと冷静だった伏黒君の表情が少し曇った。
「まだ取り下げられていない。乙骨先輩は虎杖探索へと高専を出た」
「・・・そっか」
まだ悠仁君の行方はわからないままなのか。
私は肩を落とした。
それから一時間ほどで高専に到着した。
伏黒君が話していた通り、高専の敷地内に存在しないはずの蠅頭が徘徊しており、総監部の対応の後手と混乱のほどが伺えた。
「とはいえ、あまり高専内を自由にウロウロとは出来ないッス。総監部関係者とバッタリ出くわす可能性もゼロじゃないッスからね。一応、鶴來さんには、潜伏生活というカタチでしばらく過ごしてもらうッス」
と、新田さんに連れて行かれたのは地下にある一室だった。
そこには、狭いながらもキッチンにトイレにバスルーム。そして一人掛けのテーブルと椅子、寝具と衣装ケースまで完備されていた。
「ご不便かけて申し訳ないッス」
「いえ、そんな」
申し訳なく言う新田さんを宥めながら、私は部屋を見回した。
すると、
「・・・サトル!」
ベッドの上でくったりと横たわる呪骸のサトルを見つけた。
私はベッドに駆けつけて、サトルを抱き上げた。
「鶴來さんが入院した際に、お預かりしてたッス」
新田さんが言った。
「あと、これも」
そして、軽く握った右手を私に差し出した。
私は「何だろう」と首を傾げる。
すると新田さんは私の手を取り、その手の平に握っていたものを渡した。
「・・・っ」
私は一瞬、言葉を失った。
それは、五条さんが私にくれたネックレスだった。
五条さんの瞳と同じ色と輝きを秘めた宝石の。
「鶴來さんが着てた服のポケットに入ってたッス。チェーンが千切れていたので修理しました」
「・・・・・・」
「元通りとは違うかもしれないッスけど」
「ううん」
私はそっと手の中にネックレスを握りしめた。
「ありがとう、新田さん。大事な物なの。直してくれて嬉しい」
私がそう言うと、新田さんはホッとしたように笑った。
「じゃ、私はそろそろお暇するッス。鶴來さんはゆっくり休んで下さいッス」
「うん。新田さん、色々ありがとう」
「いいえ。お安い御用ッス!それでは!」
と、新田さんは部屋を後にした。
私と伏黒君の二人きりになる。
私はようやく一息つけた心地になって、そっとサトルを抱き締めた。
「・・・俺も行きます」
伏黒君が言った。
「俺も虎杖を探しに行きます。天元様に会うのは、アイツも一緒じゃないと」
「私も一緒に行く」
と私が食いつき気味に言うと、伏黒君は呆れた顔をした。
「何言ってんだ。さっき新田さんに言われたこともう忘れたのかよ」
「でも」
「虎杖のことはこっちで何とかする。『死滅回游』のことも。アンタの父親と妹のことも」
「・・・・・・」
私は唇を噤んで、落胆する気持ちで伏黒君を見つめた。
伏黒君は気まずそう視線を泳がせながら口を開いた。
「だから、鶴來さんはここで待・・・」
「私は未だに部外者なの?」
と、伏黒君の言葉をかき消す。
伏黒君が驚きと戸惑いの目で私を見返す。
私は伏黒君を見つめたまま続けた。
「私は、自分が伏黒君たち呪術高専みんなの仲間の一人だと思ってる。だから、みんなと一緒に闘いたい。なのに、伏黒君にとってはまだ私は部外者で、無力な非術師でしかないの?」
「大丈夫です」
私の問いかけに、伏黒君はピクリとも表情を崩さず返す。
「この辺りまで来ると、呪霊が出てくるんだね」
「ああ。高専も結界が緩んであちこち混乱が起きている」
「・・・あの、そのことなんだけど」
「何ですか」
「私、高専に戻って大丈夫なのかな?総監部に五条さんの・・・その・・・妻だとか勘違いされてて、そのうえ、子どもがどうとか・・・」
「それは大丈夫です」
ゴニョゴニョ話す私の言葉を遮り、伏黒君が言った。
「羂索が『死滅回游』の開始を宣言して以来、もはや総監部の関心は五条先生にない。それに連中は『獄門疆』の封印は解けないと思っている。だから五条先生関連のことは泳がせておくつもりらしい」
「そっか・・・」
それを聞いて、私はホッと安堵する。
しかし、ふと思い当たって再び尋ねた。
「悠仁君への死刑執行は?乙骨君は・・・」
すると、ずっと冷静だった伏黒君の表情が少し曇った。
「まだ取り下げられていない。乙骨先輩は虎杖探索へと高専を出た」
「・・・そっか」
まだ悠仁君の行方はわからないままなのか。
私は肩を落とした。
それから一時間ほどで高専に到着した。
伏黒君が話していた通り、高専の敷地内に存在しないはずの蠅頭が徘徊しており、総監部の対応の後手と混乱のほどが伺えた。
「とはいえ、あまり高専内を自由にウロウロとは出来ないッス。総監部関係者とバッタリ出くわす可能性もゼロじゃないッスからね。一応、鶴來さんには、潜伏生活というカタチでしばらく過ごしてもらうッス」
と、新田さんに連れて行かれたのは地下にある一室だった。
そこには、狭いながらもキッチンにトイレにバスルーム。そして一人掛けのテーブルと椅子、寝具と衣装ケースまで完備されていた。
「ご不便かけて申し訳ないッス」
「いえ、そんな」
申し訳なく言う新田さんを宥めながら、私は部屋を見回した。
すると、
「・・・サトル!」
ベッドの上でくったりと横たわる呪骸のサトルを見つけた。
私はベッドに駆けつけて、サトルを抱き上げた。
「鶴來さんが入院した際に、お預かりしてたッス」
新田さんが言った。
「あと、これも」
そして、軽く握った右手を私に差し出した。
私は「何だろう」と首を傾げる。
すると新田さんは私の手を取り、その手の平に握っていたものを渡した。
「・・・っ」
私は一瞬、言葉を失った。
それは、五条さんが私にくれたネックレスだった。
五条さんの瞳と同じ色と輝きを秘めた宝石の。
「鶴來さんが着てた服のポケットに入ってたッス。チェーンが千切れていたので修理しました」
「・・・・・・」
「元通りとは違うかもしれないッスけど」
「ううん」
私はそっと手の中にネックレスを握りしめた。
「ありがとう、新田さん。大事な物なの。直してくれて嬉しい」
私がそう言うと、新田さんはホッとしたように笑った。
「じゃ、私はそろそろお暇するッス。鶴來さんはゆっくり休んで下さいッス」
「うん。新田さん、色々ありがとう」
「いいえ。お安い御用ッス!それでは!」
と、新田さんは部屋を後にした。
私と伏黒君の二人きりになる。
私はようやく一息つけた心地になって、そっとサトルを抱き締めた。
「・・・俺も行きます」
伏黒君が言った。
「俺も虎杖を探しに行きます。天元様に会うのは、アイツも一緒じゃないと」
「私も一緒に行く」
と私が食いつき気味に言うと、伏黒君は呆れた顔をした。
「何言ってんだ。さっき新田さんに言われたこともう忘れたのかよ」
「でも」
「虎杖のことはこっちで何とかする。『死滅回游』のことも。アンタの父親と妹のことも」
「・・・・・・」
私は唇を噤んで、落胆する気持ちで伏黒君を見つめた。
伏黒君は気まずそう視線を泳がせながら口を開いた。
「だから、鶴來さんはここで待・・・」
「私は未だに部外者なの?」
と、伏黒君の言葉をかき消す。
伏黒君が驚きと戸惑いの目で私を見返す。
私は伏黒君を見つめたまま続けた。
「私は、自分が伏黒君たち呪術高専みんなの仲間の一人だと思ってる。だから、みんなと一緒に闘いたい。なのに、伏黒君にとってはまだ私は部外者で、無力な非術師でしかないの?」