第36話 告白
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
(『みささぎ』、じゃない・・・)
私が呆然としていると、
「誰ですか?」
今度はこちらを振り向いて、男の子がもう一度尋ねてきた。
その時には、
「あ・・・」
呪霊の姿は消えていた。
唖然として問いかけに答えずにいると、
「真希さんの友達ですか?」
と男の子が重ねて尋ねてきた。
それで私はハッとして、改めて男の子の方を見据えた。
少し長い前髪をした黒い髪。
くりっとした大きな目。
呪術高専生の制服・・・を着ているけれど、その上着は見たことのない白色だ。
そして、背中には長い筒状の物を斜めがけに背負っている。
いや、それよりも。
「・・・今、呪霊が」
「え?」
「今ここに呪霊がいましたよね?」
と、彼の問いかけに答えず私は言った。
すると彼は「あ」という顔をした。そして、
「だ、大丈夫です!あの呪霊は問題ないです!」
と、困り顔で言った。
「問題ないって、問題大有りです!」
私は息巻き反論する。
「今すぐ祓わなきゃ!」
「いや、だから、その・・・」
「どこへ姿を消したのかな・・・」
「だから、大丈夫です!リカちゃんは僕の・・・」
と、私とその男の子がワタワタとしていたら、
「んー・・・、うるせぇなぁ〜」
ベッドで眠っている真希ちゃんが唸るように言った。
それで私と男の子は、ハッと慌てて自分の口を抑えた。
すると、真希ちゃんはムニャムニャと再び眠りについた。
見てみると、真希ちゃんは火傷の跡は依然として色濃く残っているものの、酸素マスクもしておらず、点滴もひとつだけで、確かに容態は安定した様子だ。山場は越えたらしい。
「・・・・・」
私はホッとした後、改めて男の子の方を見た。
すると男の子も私の方を見ていて、視線がぶつかると、彼は口を開いた。
「あの、もしかしてあなたは」
「はい?」
「ひょっとして、五条先生の・・・」
「乙骨先輩?」
男の子の私への問いかけは、突然割って入った声に中断された。
私と男の子は声の主の方を見た。そして、
「「伏黒君」」
と、同時にその名前を呼んだ。
声が重なって、私と男の子はお互い目を瞬かせながら再び顔を見合わせる。
伏黒君は私達の状況を察したのか、
「・・・紹介します。この人は二年生の乙骨憂太先輩です」
と間を取り持つように、私に彼のことを手短に紹介した。
「乙骨・・・」
と、私は小さく反芻する。
どこかで聞いた事があるような───
『なるほど。憂太と似たパターンか』
『憂太・・・?』
『乙骨憂太。呪術高専の二年生で、僕と同じ特級呪術師だよ』
───何度か反芻するうちに思い出した。
「あ」
そうだ、いつしか五条さんが話していた。
陵先生と同じように、特級過呪怨霊に取り憑かれた・・・。
(この人が・・・)
想像していたのと違う。
こんなにもおっとりとして、ごくごく普通の雰囲気の男の子とは思ってもみなかった。
そんなことを思いながらしげしげと乙骨君の顔を見ていると、乙骨君は気恥ずかしそうにはにかんだ。
「で、この人は鶴來和紗さん」
次に、伏黒君は乙骨君に向かって私のことを紹介した。そして、少し考えるような間を開けてから付け足した。
「五条先生の・・・婚約者です」
「やっぱり!」
伏黒君が言い終わるやいなや、乙骨君は嬉しそうに声を上げた。
「9月頃、僕を訪ねて来た時に五条先生があなたのことを話してたんです」
「え・・・」
9月。
確か姉妹校交流会の前に、五条さんは海外出張に行ってたっけ。
あれは、乙骨君に会いに行っていたのか。
「そっか。あなたが和紗さんなんですね」
と、乙骨君はニコニコしている。
(って、五条さん一体私のことを何て話していたんだろ)
何だか気恥ずかしくなって内心頭を抱える。
その間にも、乙骨君は続けた。
「一年生のこともよく聞いてる。特に、虎杖悠仁君のことは」
その名前を聞いて、私はハッと我に返る。
見ると、さっきまでにこやかだった乙骨君の表情が、今は、暗く険しい。
私が呆然としていると、
「誰ですか?」
今度はこちらを振り向いて、男の子がもう一度尋ねてきた。
その時には、
「あ・・・」
呪霊の姿は消えていた。
唖然として問いかけに答えずにいると、
「真希さんの友達ですか?」
と男の子が重ねて尋ねてきた。
それで私はハッとして、改めて男の子の方を見据えた。
少し長い前髪をした黒い髪。
くりっとした大きな目。
呪術高専生の制服・・・を着ているけれど、その上着は見たことのない白色だ。
そして、背中には長い筒状の物を斜めがけに背負っている。
いや、それよりも。
「・・・今、呪霊が」
「え?」
「今ここに呪霊がいましたよね?」
と、彼の問いかけに答えず私は言った。
すると彼は「あ」という顔をした。そして、
「だ、大丈夫です!あの呪霊は問題ないです!」
と、困り顔で言った。
「問題ないって、問題大有りです!」
私は息巻き反論する。
「今すぐ祓わなきゃ!」
「いや、だから、その・・・」
「どこへ姿を消したのかな・・・」
「だから、大丈夫です!リカちゃんは僕の・・・」
と、私とその男の子がワタワタとしていたら、
「んー・・・、うるせぇなぁ〜」
ベッドで眠っている真希ちゃんが唸るように言った。
それで私と男の子は、ハッと慌てて自分の口を抑えた。
すると、真希ちゃんはムニャムニャと再び眠りについた。
見てみると、真希ちゃんは火傷の跡は依然として色濃く残っているものの、酸素マスクもしておらず、点滴もひとつだけで、確かに容態は安定した様子だ。山場は越えたらしい。
「・・・・・」
私はホッとした後、改めて男の子の方を見た。
すると男の子も私の方を見ていて、視線がぶつかると、彼は口を開いた。
「あの、もしかしてあなたは」
「はい?」
「ひょっとして、五条先生の・・・」
「乙骨先輩?」
男の子の私への問いかけは、突然割って入った声に中断された。
私と男の子は声の主の方を見た。そして、
「「伏黒君」」
と、同時にその名前を呼んだ。
声が重なって、私と男の子はお互い目を瞬かせながら再び顔を見合わせる。
伏黒君は私達の状況を察したのか、
「・・・紹介します。この人は二年生の乙骨憂太先輩です」
と間を取り持つように、私に彼のことを手短に紹介した。
「乙骨・・・」
と、私は小さく反芻する。
どこかで聞いた事があるような───
『なるほど。憂太と似たパターンか』
『憂太・・・?』
『乙骨憂太。呪術高専の二年生で、僕と同じ特級呪術師だよ』
───何度か反芻するうちに思い出した。
「あ」
そうだ、いつしか五条さんが話していた。
陵先生と同じように、特級過呪怨霊に取り憑かれた・・・。
(この人が・・・)
想像していたのと違う。
こんなにもおっとりとして、ごくごく普通の雰囲気の男の子とは思ってもみなかった。
そんなことを思いながらしげしげと乙骨君の顔を見ていると、乙骨君は気恥ずかしそうにはにかんだ。
「で、この人は鶴來和紗さん」
次に、伏黒君は乙骨君に向かって私のことを紹介した。そして、少し考えるような間を開けてから付け足した。
「五条先生の・・・婚約者です」
「やっぱり!」
伏黒君が言い終わるやいなや、乙骨君は嬉しそうに声を上げた。
「9月頃、僕を訪ねて来た時に五条先生があなたのことを話してたんです」
「え・・・」
9月。
確か姉妹校交流会の前に、五条さんは海外出張に行ってたっけ。
あれは、乙骨君に会いに行っていたのか。
「そっか。あなたが和紗さんなんですね」
と、乙骨君はニコニコしている。
(って、五条さん一体私のことを何て話していたんだろ)
何だか気恥ずかしくなって内心頭を抱える。
その間にも、乙骨君は続けた。
「一年生のこともよく聞いてる。特に、虎杖悠仁君のことは」
その名前を聞いて、私はハッと我に返る。
見ると、さっきまでにこやかだった乙骨君の表情が、今は、暗く険しい。