第36話 告白
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「鶴來さん!?」
伏黒君が驚いて私の傍に駆けて跪く。
「大丈夫ですか?」
抱き起こして立たせようとするけれど、どうにも身体に力が入らない。
「あぁ、言い忘れてた」
奇子がひょっこりと影から顔を覗かせる。
「私の領域内で経過した時間は、現実の肉体にも反映されるの。和紗が領域内で過ごした一年半だっけ?その時間飲まず食わずの影響が出始めたみたいね〜」
それを聞いて、伏黒君はキッと奇子を睨む。
「テメェ・・・!」
「そぉゆう術式なんだもの〜。怒るヒマあるならさっさと病院連れて行ったら?」
そう言うと奇子は再び影の中へ引っ込んだ。
伏黒君は私の方を振り返る。
「鶴來さん・・・!」
伏黒君が心配そうに呼びかけるのを聞きながら、私の意識はゆっくりと消えて行った。
私の数メートル先を、お父さんが紗樹ちゃんの手を引きながら走って行くのが見えた。
「お父さん!」
私は必死に呼びかける。
二人が向かう先は危険だ。
「待って!ちがう、そっちじゃない!」
しかし、私の呼びかけに応じることなく、二人はそのまま走り続ける。
私も二人を追って走り出す。
「だめ!そっちは呪霊達が・・・!」
すると、二人を呪霊や呪術師らしき人物達が取り囲み始めた。
そして、その者達は無防備な二人を一斉に無慈悲に襲いかかった。
「やっ・・・」
私は叫ぶ。
「やめてーーーっ!」
ハッと息を吸い込み、目を覚ます。
朦朧とした意識と焦点の合わない視界が次第に鮮明になる。
私はベッドに横たわり、右手には点滴の管が繋がれていることに気づいた。
ここは病院だ。私はあの後運び込まれたんだ。
自分の置かれた状況はすぐ理解出来たのに、身体は鉛のように重く身動きが取れない。
「・・・・・・」
なす術なくジッとしてそのまま天井を見つめていた。
すると、
「鶴來さん?」
呼びかける声と人の気配を感じて、私は視線を病室の入り口へ向けた。
するとそこには、新田さん、そして硝子さんがいた。
「鶴來さーん!」
私と目が合うなり、新田さんが駆け寄る。そして、
「すんませんッス!私のせいッスー!私が、鶴來さんのウソを見抜いて糠田が森に向かうのをちゃんと見届けていたらこんなことにはーっ!」
と、ベッドに縋り付いて懺悔する。
「そ、そんな、新田さんが謝ることでは・・・」
と、しゃがれた声で私が新田さんをなだめていると、
「いたっ!?」
おでこに強烈なデコピンをくらった。
私は驚いて顔を上げる。
すると、硝子さんが怒った顔で私を見下ろしていた。
「硝子・・・」
「この、馬鹿」
硝子さんは私の言葉を遮り、怒気を含んだ声で言った。
「どうして、戻って来たの。どうして・・・」
だけどそれは一瞬で、すぐに悲しそうな表情に変わった。
その方が、私の心はチクリと痛んだ。
「ごめんなさい。でも、私・・・」
「話は伏黒から聞いたよ」
再び私の声を遮り、硝子さんは続けた。
「アンタの父親と腹違いの妹のことも」
そして、硝子さんは悔しそうに唇を噤んだ。
その表情を見て、私は何も言えなくなった。
しばしの沈黙の後、新田さんが現在の状況を説明してくれた。
現在は11月4日。
私は、倒れて伏黒君に病院に運び込まれた後、丸々二日間眠っていたらしい。
奇子の領域内で経過した時間の影響が、現実の肉体に反映され始めた直後、私は咄嗟に反転術式を始めた。
そして、伏黒君がすぐに病院に運び込んでくれた。
そのおかげで、私はミイラにならずに今もなんとか生きている。
おまけに、身体がカラカラに干からびたスポンジ状態なので、点滴による水分や栄養の吸収するのがすこぶる早く、グングン肉体は回復しているそうだ。
伏黒君が驚いて私の傍に駆けて跪く。
「大丈夫ですか?」
抱き起こして立たせようとするけれど、どうにも身体に力が入らない。
「あぁ、言い忘れてた」
奇子がひょっこりと影から顔を覗かせる。
「私の領域内で経過した時間は、現実の肉体にも反映されるの。和紗が領域内で過ごした一年半だっけ?その時間飲まず食わずの影響が出始めたみたいね〜」
それを聞いて、伏黒君はキッと奇子を睨む。
「テメェ・・・!」
「そぉゆう術式なんだもの〜。怒るヒマあるならさっさと病院連れて行ったら?」
そう言うと奇子は再び影の中へ引っ込んだ。
伏黒君は私の方を振り返る。
「鶴來さん・・・!」
伏黒君が心配そうに呼びかけるのを聞きながら、私の意識はゆっくりと消えて行った。
私の数メートル先を、お父さんが紗樹ちゃんの手を引きながら走って行くのが見えた。
「お父さん!」
私は必死に呼びかける。
二人が向かう先は危険だ。
「待って!ちがう、そっちじゃない!」
しかし、私の呼びかけに応じることなく、二人はそのまま走り続ける。
私も二人を追って走り出す。
「だめ!そっちは呪霊達が・・・!」
すると、二人を呪霊や呪術師らしき人物達が取り囲み始めた。
そして、その者達は無防備な二人を一斉に無慈悲に襲いかかった。
「やっ・・・」
私は叫ぶ。
「やめてーーーっ!」
ハッと息を吸い込み、目を覚ます。
朦朧とした意識と焦点の合わない視界が次第に鮮明になる。
私はベッドに横たわり、右手には点滴の管が繋がれていることに気づいた。
ここは病院だ。私はあの後運び込まれたんだ。
自分の置かれた状況はすぐ理解出来たのに、身体は鉛のように重く身動きが取れない。
「・・・・・・」
なす術なくジッとしてそのまま天井を見つめていた。
すると、
「鶴來さん?」
呼びかける声と人の気配を感じて、私は視線を病室の入り口へ向けた。
するとそこには、新田さん、そして硝子さんがいた。
「鶴來さーん!」
私と目が合うなり、新田さんが駆け寄る。そして、
「すんませんッス!私のせいッスー!私が、鶴來さんのウソを見抜いて糠田が森に向かうのをちゃんと見届けていたらこんなことにはーっ!」
と、ベッドに縋り付いて懺悔する。
「そ、そんな、新田さんが謝ることでは・・・」
と、しゃがれた声で私が新田さんをなだめていると、
「いたっ!?」
おでこに強烈なデコピンをくらった。
私は驚いて顔を上げる。
すると、硝子さんが怒った顔で私を見下ろしていた。
「硝子・・・」
「この、馬鹿」
硝子さんは私の言葉を遮り、怒気を含んだ声で言った。
「どうして、戻って来たの。どうして・・・」
だけどそれは一瞬で、すぐに悲しそうな表情に変わった。
その方が、私の心はチクリと痛んだ。
「ごめんなさい。でも、私・・・」
「話は伏黒から聞いたよ」
再び私の声を遮り、硝子さんは続けた。
「アンタの父親と腹違いの妹のことも」
そして、硝子さんは悔しそうに唇を噤んだ。
その表情を見て、私は何も言えなくなった。
しばしの沈黙の後、新田さんが現在の状況を説明してくれた。
現在は11月4日。
私は、倒れて伏黒君に病院に運び込まれた後、丸々二日間眠っていたらしい。
奇子の領域内で経過した時間の影響が、現実の肉体に反映され始めた直後、私は咄嗟に反転術式を始めた。
そして、伏黒君がすぐに病院に運び込んでくれた。
そのおかげで、私はミイラにならずに今もなんとか生きている。
おまけに、身体がカラカラに干からびたスポンジ状態なので、点滴による水分や栄養の吸収するのがすこぶる早く、グングン肉体は回復しているそうだ。