第35話 夢一夜
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そんなことに気づくはずもない五条さんは、おどけて話をしている。
「いや~、参ったねぇ。日中ずっと一緒だったのに。夜中まで会いたくなるくらい、オ・・・じゃなくて僕に夢中なんだ?」
「・・・(7、6、5、4)」
「オ・・・僕って罪作りなオトコ~」
「・・・(3、2、1)」
0を数えて、私は五条さんをパッと見上げて言った。
「お誕生日おめでとう」
すると、五条さんはそれまでヘラヘラと話していたくだらない言葉をクッと飲み込み、驚く。
そう、日付が変わって12月7日。
この日は、五条さんの誕生日なのだ。
「あの、本当は他の皆も集めてサプライズするつもりだったんだけど、ちゃんと計画が伝わってなかったのか、それとも皆忙しくて忘れちゃったのか、集合時間に来なくて」
そう話すと、五条さんの顔がみるみる不機嫌そうに歪んだ。
「・・・んだよ、皆薄情だなぁ」
「ごめんね・・・。真夜中だから呼び出すのもしのびなくて」
「って、ウッソ」
五条さんはフッと小さく笑った。
「嬉しいよ。ありがとう」
その表情を見て、私も微笑んだ。
だけど、五条さんはすぐにキョトンとして、
「つーか、オ・・・じゃなくて僕の誕生日知ってたんだ。教えてたっけ?」
と言った。
なので、私は頷く。
「教えてもらったよ」
そう答えながら、私は内心首を傾げていた。
そう、確か悟君本人に教えてもらったはずだ。
(そんなことより)
私は携えていた箱を悟君に差し出した。
「これ」
五条さんは小首を傾げつつ、それを受け取る。
そして、箱の蓋を開けた。
「お、美味そ」
と表情が綻ぶ。
それは、誕生日ケーキ風にデコレーションしたカップケーキだった。
五条さんのはにかむ顔を見て、私は嬉しく思う。
(だって、本当は二人きりの時におめでとうって言いたかった)
そう、独り占めしたかったの。
「あ、そーだ」
カップケーキにかぶりつこうとして、ふと思いついたように五条さんは言った。
「せっかくだし、もっと眺めのいい場所で食おうかな。オマエも来いよ」
「こんな夜中に出掛けるの?」
「高速移動出来るようになったから」
「高速移動って・・・えぇ!?」
言葉の途中で突然、五条さんに肩に担ぎ上げられて私は面食らう。
「ちょっと!?」
「しっかり掴まれよ。じゃないと振り落とされて、地面に真っ逆さまだからな」
そう言うやいなや、私達の身体はフワッと浮いて、瞬時に周りの風景が吹き飛んでいくように過ぎ去って行く。
「きゃあぁぁ〜〜〜っ!?」
と訳もわからず叫んでいるうちに、
「ほいっ、到着」
と地面に降ろされた。
「ここは・・・」
乱れた髪を整えながら、周りを見回す。
そこは高層ビルのヘリポートで、都会の眩い夜景が遥か遠くまで、360度余すところなく広がっている。
まるで宝石箱をひっくり返したようなきらめきを、私はしばらく見下ろした。
「綺麗・・・」
「だろ?」
「っていうか、ケーキ遠心力でグチャグチャなんじゃ・・・」
「大丈夫、無限で守ったから」
「あ、ホントだ」
と箱の中のケーキの無事を確かめた。
そして、五条さんは建物の縁ギリギリに腰かけて、
「こっちこっち」
と自分の隣をポンポンとタッチして誘うけれど、私は怖気づく。
「落っこちちゃいそうで怖いよ・・・」
「大丈夫だって。落っこちたら受け止めてやるからさ」
「んー・・・」
と、まだ腰が引けながらも私は歩み寄り五条さんの隣に座った。
「た、高いっ!怖いっ!」
「へへへ」
「っていうか寒・・・」
そう、高層ビルの屋上に吹き付ける風は強い。
しかも、今は12月・・・。
「確かに夜景は綺麗だけど、来る時期を間違ってるような・・・」
「でも、女を口説くにはもってこいのシチュエーションじゃない?」
「あっそ。本番は暖かい季節にしなさいよね」
ムッとしながらそう言い返すと、五条さんはフッと笑ってケーキにかぶりついた。
そして、口元に生クリームをつけたままご満悦な笑顔を浮かべる。
「いや~、参ったねぇ。日中ずっと一緒だったのに。夜中まで会いたくなるくらい、オ・・・じゃなくて僕に夢中なんだ?」
「・・・(7、6、5、4)」
「オ・・・僕って罪作りなオトコ~」
「・・・(3、2、1)」
0を数えて、私は五条さんをパッと見上げて言った。
「お誕生日おめでとう」
すると、五条さんはそれまでヘラヘラと話していたくだらない言葉をクッと飲み込み、驚く。
そう、日付が変わって12月7日。
この日は、五条さんの誕生日なのだ。
「あの、本当は他の皆も集めてサプライズするつもりだったんだけど、ちゃんと計画が伝わってなかったのか、それとも皆忙しくて忘れちゃったのか、集合時間に来なくて」
そう話すと、五条さんの顔がみるみる不機嫌そうに歪んだ。
「・・・んだよ、皆薄情だなぁ」
「ごめんね・・・。真夜中だから呼び出すのもしのびなくて」
「って、ウッソ」
五条さんはフッと小さく笑った。
「嬉しいよ。ありがとう」
その表情を見て、私も微笑んだ。
だけど、五条さんはすぐにキョトンとして、
「つーか、オ・・・じゃなくて僕の誕生日知ってたんだ。教えてたっけ?」
と言った。
なので、私は頷く。
「教えてもらったよ」
そう答えながら、私は内心首を傾げていた。
そう、確か悟君本人に教えてもらったはずだ。
(そんなことより)
私は携えていた箱を悟君に差し出した。
「これ」
五条さんは小首を傾げつつ、それを受け取る。
そして、箱の蓋を開けた。
「お、美味そ」
と表情が綻ぶ。
それは、誕生日ケーキ風にデコレーションしたカップケーキだった。
五条さんのはにかむ顔を見て、私は嬉しく思う。
(だって、本当は二人きりの時におめでとうって言いたかった)
そう、独り占めしたかったの。
「あ、そーだ」
カップケーキにかぶりつこうとして、ふと思いついたように五条さんは言った。
「せっかくだし、もっと眺めのいい場所で食おうかな。オマエも来いよ」
「こんな夜中に出掛けるの?」
「高速移動出来るようになったから」
「高速移動って・・・えぇ!?」
言葉の途中で突然、五条さんに肩に担ぎ上げられて私は面食らう。
「ちょっと!?」
「しっかり掴まれよ。じゃないと振り落とされて、地面に真っ逆さまだからな」
そう言うやいなや、私達の身体はフワッと浮いて、瞬時に周りの風景が吹き飛んでいくように過ぎ去って行く。
「きゃあぁぁ〜〜〜っ!?」
と訳もわからず叫んでいるうちに、
「ほいっ、到着」
と地面に降ろされた。
「ここは・・・」
乱れた髪を整えながら、周りを見回す。
そこは高層ビルのヘリポートで、都会の眩い夜景が遥か遠くまで、360度余すところなく広がっている。
まるで宝石箱をひっくり返したようなきらめきを、私はしばらく見下ろした。
「綺麗・・・」
「だろ?」
「っていうか、ケーキ遠心力でグチャグチャなんじゃ・・・」
「大丈夫、無限で守ったから」
「あ、ホントだ」
と箱の中のケーキの無事を確かめた。
そして、五条さんは建物の縁ギリギリに腰かけて、
「こっちこっち」
と自分の隣をポンポンとタッチして誘うけれど、私は怖気づく。
「落っこちちゃいそうで怖いよ・・・」
「大丈夫だって。落っこちたら受け止めてやるからさ」
「んー・・・」
と、まだ腰が引けながらも私は歩み寄り五条さんの隣に座った。
「た、高いっ!怖いっ!」
「へへへ」
「っていうか寒・・・」
そう、高層ビルの屋上に吹き付ける風は強い。
しかも、今は12月・・・。
「確かに夜景は綺麗だけど、来る時期を間違ってるような・・・」
「でも、女を口説くにはもってこいのシチュエーションじゃない?」
「あっそ。本番は暖かい季節にしなさいよね」
ムッとしながらそう言い返すと、五条さんはフッと笑ってケーキにかぶりついた。
そして、口元に生クリームをつけたままご満悦な笑顔を浮かべる。