第35話 夢一夜
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人々が呪霊に噛み砕かれ踏みつぶされ命が蹂躙される最中を、返り血を浴びながら夜闇を進んでいく。
知らない。
こんなこと、私は知らない。
これは、誰の記憶?
これは───。
───傑君。
そうだ、これは傑君の・・・・。
「やめてぇ・・・っ!」
そう叫んで、目が覚めた。
「ハァッ・・・ハァッ・・・」
呼吸が荒く、胸が激しく上下している。
身体中に張り付くような汗が流れている。
「和紗」
私の顔を不安な面持ちで覗き込む硝子さんが視界に飛び込んできた。
しかしそれは一瞬だけで、
「・・・よかった」
と、心の底から安堵したように硝子さんは呟いた。
「・・・・・・」
その隣には五条さんもいて、胸を撫でおろしたようにホッと一息ついていた。
それでも私は自分が今置かれている状況が理解できず、呆然としながら辺りに目線を泳がせた。
私の傍らには点滴のパックが吊り下げられていて、そこから垂れ下がるチューブの先は私の手に繋がれている。
それで、私は自分が病院にいることに気づいた。
「・・・っ」
私は半身を起こそうとしたが、身体に力が入らず体勢を崩してしまった。
「無理しないで」
硝子さんが私を支え仰向けに体勢を戻し、ベッドのリクライニングを起こす。
そうしてようやく私はしっかりと五条さんと硝子さんと向き合うことが出来た。
「・・・傑君は・・・」
私が細く弱い声でそう言うと、二人の表情に影が差した。
その時だった。
バタバタと大きな足音を響かせて、病室に人が入ってきた。
「意識が戻ったか」
その一人は楽巌寺学長だった。
その後ろに、おそらく総監部の関係者であろう人物が二人。
そして、彼らから少し遅れて夜蛾さんもやって来た。
「和紗・・・」
夜蛾さんは私の顔を見て安堵の表情を浮かべる。
しかし、楽巌寺学長たちは厳しい視線を私に向ける。
「・・・っ」
怯え身を固くしていると、
「んだよ、うるせぇなぁ」
五条さんがその視線を遮る様に、私の前に立った。
「ここは病院だぜ、静かにしろよ。他の患者にメーワクだろ」
「夏油傑は」
しかし、楽巌寺学長は五条さんを無視して私に問うた。
「奴は何処へ行った」
その言葉を聞いて、高専側が既にあの村の出来事を把握していることを察した。
その一方で、傑君がまだ捕まっていないことも察し、何故か安堵していた。
答えられず黙っていると、
「奴は何か貴様に言い残したか」
楽巌寺学長は質問を変えた。
「・・・・・・」
私は答えない。
「おい」
五条さんが楽巌寺学長に咎めるように言った。
「コイツはさっき意識を取り戻したばかりなんだ。無理させんじゃねぇよ」
しかし、楽巌寺学長は構わずまた質問を変えてきた。
「何故、奴はこのような凶行に奔った」
その時。
『術師だけの世界を作るんだ』
傑君の言葉が脳裏に浮かんだ。
その動揺が、楽巌寺学長達に伝わってしまったようだ。
機を得たりと私に詰め寄る。
「どのような些細なことでもよい。話すのじゃ」
すると、五条さんが引き離そうと楽巌寺学長の肩を掴んだ。
「しつこいんだよ、ジジイ」
すかさず、取り巻きの総監部関係者が五条さんをいさめにかかる。
「楽巌寺学長に対して無礼であるぞ」
「無礼はどっちだよ」
と軽く揉み合いになり始めたところで、
「楽巌寺学長」
夜蛾さんが口を開いた。
「和紗は目覚めたばかりでまだ意識は鮮明でなく記憶も混濁としているようです。今日のところはお引き取りを」
と頭を下げた。
「・・・・・・」
すると楽巌寺学長は無言のまま踵を返し、病室を出て行った。
それに取り巻き連中も続いた。
「・・・三日間も意識を失っていたんだ」
夜蛾さんがこれまでの私が置かれた状況の説明を始めた。
「発見以前から数えるともっとか・・・。傑と和紗が任務に派遣されてから五日が過ぎたところで、高専関係者が旧◼️◼️村に向かった」
知らない。
こんなこと、私は知らない。
これは、誰の記憶?
これは───。
───傑君。
そうだ、これは傑君の・・・・。
「やめてぇ・・・っ!」
そう叫んで、目が覚めた。
「ハァッ・・・ハァッ・・・」
呼吸が荒く、胸が激しく上下している。
身体中に張り付くような汗が流れている。
「和紗」
私の顔を不安な面持ちで覗き込む硝子さんが視界に飛び込んできた。
しかしそれは一瞬だけで、
「・・・よかった」
と、心の底から安堵したように硝子さんは呟いた。
「・・・・・・」
その隣には五条さんもいて、胸を撫でおろしたようにホッと一息ついていた。
それでも私は自分が今置かれている状況が理解できず、呆然としながら辺りに目線を泳がせた。
私の傍らには点滴のパックが吊り下げられていて、そこから垂れ下がるチューブの先は私の手に繋がれている。
それで、私は自分が病院にいることに気づいた。
「・・・っ」
私は半身を起こそうとしたが、身体に力が入らず体勢を崩してしまった。
「無理しないで」
硝子さんが私を支え仰向けに体勢を戻し、ベッドのリクライニングを起こす。
そうしてようやく私はしっかりと五条さんと硝子さんと向き合うことが出来た。
「・・・傑君は・・・」
私が細く弱い声でそう言うと、二人の表情に影が差した。
その時だった。
バタバタと大きな足音を響かせて、病室に人が入ってきた。
「意識が戻ったか」
その一人は楽巌寺学長だった。
その後ろに、おそらく総監部の関係者であろう人物が二人。
そして、彼らから少し遅れて夜蛾さんもやって来た。
「和紗・・・」
夜蛾さんは私の顔を見て安堵の表情を浮かべる。
しかし、楽巌寺学長たちは厳しい視線を私に向ける。
「・・・っ」
怯え身を固くしていると、
「んだよ、うるせぇなぁ」
五条さんがその視線を遮る様に、私の前に立った。
「ここは病院だぜ、静かにしろよ。他の患者にメーワクだろ」
「夏油傑は」
しかし、楽巌寺学長は五条さんを無視して私に問うた。
「奴は何処へ行った」
その言葉を聞いて、高専側が既にあの村の出来事を把握していることを察した。
その一方で、傑君がまだ捕まっていないことも察し、何故か安堵していた。
答えられず黙っていると、
「奴は何か貴様に言い残したか」
楽巌寺学長は質問を変えた。
「・・・・・・」
私は答えない。
「おい」
五条さんが楽巌寺学長に咎めるように言った。
「コイツはさっき意識を取り戻したばかりなんだ。無理させんじゃねぇよ」
しかし、楽巌寺学長は構わずまた質問を変えてきた。
「何故、奴はこのような凶行に奔った」
その時。
『術師だけの世界を作るんだ』
傑君の言葉が脳裏に浮かんだ。
その動揺が、楽巌寺学長達に伝わってしまったようだ。
機を得たりと私に詰め寄る。
「どのような些細なことでもよい。話すのじゃ」
すると、五条さんが引き離そうと楽巌寺学長の肩を掴んだ。
「しつこいんだよ、ジジイ」
すかさず、取り巻きの総監部関係者が五条さんをいさめにかかる。
「楽巌寺学長に対して無礼であるぞ」
「無礼はどっちだよ」
と軽く揉み合いになり始めたところで、
「楽巌寺学長」
夜蛾さんが口を開いた。
「和紗は目覚めたばかりでまだ意識は鮮明でなく記憶も混濁としているようです。今日のところはお引き取りを」
と頭を下げた。
「・・・・・・」
すると楽巌寺学長は無言のまま踵を返し、病室を出て行った。
それに取り巻き連中も続いた。
「・・・三日間も意識を失っていたんだ」
夜蛾さんがこれまでの私が置かれた状況の説明を始めた。
「発見以前から数えるともっとか・・・。傑と和紗が任務に派遣されてから五日が過ぎたところで、高専関係者が旧◼️◼️村に向かった」
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